大林宣彦監督「本当の復興は子どもたちが未来に希望をもつこと」
2012年2月24日 17:59
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[映画.com ニュース] 大林宣彦監督の最新作「この空の花 長岡花火物語」の完成披露試写会が2月24日、東京の有楽町朝日ホールで行われ、大林監督ほか、主演の松雪泰子、高嶋政宏、原田夏希、猪股南、富司純子らが舞台挨拶に登壇した。大林監督は、「これまで支えてくれた方々、大変お待たせいたしました。この映画は、極めてパーソナルな徒然なる思いを映画にしようとした74歳の冒険です」と挨拶し、満席の会場に拍手で迎えられた。
熊本・天草の地方紙記者の玲子(松雪)は、中越地震を乗り越え復興し、東日本大震災の被災者をいち早く受け入れた新潟・長岡を取材するため同地を訪れる。さらに、長年音信不通だった元恋人(高嶋)からの「長岡の花火を見てほしい」という便りを胸に、さまざまな過去や未来が交錯する不思議な世界へと飛び込んでいく。
松雪は、「長岡発の世界平和を願う映画。見終わった後、放心状態になってしまうくらい感動しました」。初の大林組の現場は「毎日が驚きの連続で、自分の想像力なんて小さいなと感じた。監督の生み出す世界はいつも新しい。本当に充実した時間でした」と感無量の面持ち。高嶋も、「台本を読んだ時はしばらく椅子から立ち上がれなかった。試写を見終わった後、小1時間は両手から握力がなくなるほど、ももを握り締めていた」と万感の思いを語った。
ベテランの富司は、「地元の方から直接長岡弁のアドバイスを受け、あったかい素敵な映画に仕上がりました。長岡は笹団子やお魚がおいしくて、毎日居酒屋に入り浸っておりました」と述懐。本作が映画初出演となった一輪車の元世界チャンピオン・猪股は、劇中にも登場する見事な演舞を披露。「こんな素晴らしい映画に一輪車を使って出させていただけるなんて思ってもみなかった。この作品の一員になれたことを誇りに思う」と感激していた。
大林監督は、平和を祈って打ち上げられる長岡の花火をたまたま見たことから、本作の製作を決意したそうで「長岡市民の思いを深く心に感じた。長岡をワンダーランドと名付け、戦争を知らない世代にも平和を作る時間を体感してほしかった」と胸中を吐露。また、「東日本大震災が起きた時、劇映画は行方を見失った。これを契機に色々と考えていきたいという思いから、この映画にはエンドマークを付けていない。本当の復興はモノや金じゃなく、子どもたちが未来に希望をもつことだと思います」と力強く訴えた。
「この空の花 長岡花火物語」は、4月7日から新潟・長岡で先行公開。初夏に全国で公開。
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