吉永小百合、氷点下11度の礼文島で教え子役の森山、宮崎らを「ハグしたい」
2012年1月17日 05:00
同作は「告白」の湊かなえの「往復書簡」(第二話「二十年後の宿題」)が原案で、利尻島、礼文島を主要舞台としたサスペンス。20年前に起きた事故がきっかけで、島を出た小学校教師の川島はる(吉永)が、教え子の一人が事件を起こしたことを知り、かつての教え子たちに会う旅に出る……。
今回、氷点下11度という厳しい寒さの礼文島で2日がかりで撮影されたのは、吉永扮するはる先生が、かつて天使の歌声を持っていた教え子6人と時を経て思い出の島の学校で再会するというシーン。森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平が成人した6人を演じる。
吉永は、6人との合唱の練習のシーンを振り返り「指揮をする私を6人がまっすぐ見てくれた。もうそれだけで胸がいっぱいになって泣きそうになった」という。そして「みんなかわいくて、役ではなく私、個人としてもハグしたくなります。俳優をやっていなかったらこんな素敵な教え子たちに出会えなかった。お芝居もみんな20年の歳月をきちっと作って、それを埋めて表現するのを目の当たりして、逆に学ぶことも多かったです」と、感慨深げに語る。
日本を代表する大女優・吉永との共演に、「サロベツ原生公園はとても寒かった。そんな中、吉永さんがシャドーボクシングをしていて、結構お上手なんですよ」(満島)、「共演シーンでカットがかかった後に、吉永さんがハグしてくれて。寒い現場ですが、温かい現場です」(宮崎)、「はる先生(吉永)とお芝居すると言葉では言い表せない感情になるんです。先生を目の前にすると、甘えられて、自然と演技ができました」(小池)と、3人の若手女優陣はそれぞれの思い出を語る。
森山は「家でダラダラしていたら、この自然に負けてしまうような気がしたんで少し早めにこちらに入って、島を北から南まで歩き回りました。島を歩いたおかげで、役作りに役立ちました」。松田は、「実際にこちらに来てみると、想像していたものと全然違っていて、校舎もスタジオじゃなくて、丸々ひとつ作っている。冬の景色のなかにあることで、気持ちも入るし説得力もある。役作りをする条件がそろっている贅沢な現場」と過酷な環境条件ながらも、島での撮影に大きな意味を見出したようだ。
勝地は「この6人はすごくバランスがよく、居心地がいいです。札幌で撮影した吉永さんと共演したシーンは、凄く緊張していたのですが、話しかけたときの表情がすごく温かくて、自然と話せました」と、チームワークの良さをアピールした。
そして、最後に吉永は「空白の20年間を6人の方々が見事に表現して下さっている」と若手俳優陣の演技を絶賛。「今回の作品は現在と過去が交互に出てくるシナリオになっています。“再生”というか、明日に向かって新しい第一歩を踏み出していくような新しいジャンルの映画になるのではと思っています」と、本作への深い思い入れを語った。
「北のカナリアたち」は、2012年秋以降に全国で公開。
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