イランの巨匠アミール・ナデリ「暴力を描かざるをえなかった」
2011年12月1日 16:45

[映画.com ニュース] イランの巨匠アミール・ナデリ監督が11月30日、日本外国特派員協会(外国人記者クラブ)主催の外国人向け記者会見に出席し、日本を舞台に西島秀俊とタッグを組んだ最新作「CUT」について語った。
売れない映画監督の秀二(西島)が、死んだ兄の借金返済のために殴られ屋をしながら、狂気的なまでに映画への愛を訴える姿を描く。共演に常磐貴子、笹野高史、菅田俊ら実力派俳優がそろう。
先日終幕した、第12回東京フィルメックスの審査委員長を務めたナデリ監督。日本での撮影を振り返り、「もちろん撮影は大変だった。異文化ということもあるし、アメリカで自主映画を撮るときは素人を使うので、逆にプロの俳優をキャスティングする苦労もあった」と意外な苦労を明かした。しかし、「西島さんはもちろん、常磐さんもとても素晴らしかった。彼女は私に『この映画で今までと違うことをしたい。あなたの要求することは何でもやる』と申し出てくれ、実際にとてもプロフェッショナルだった」と称賛した。
長年に渡りインディペンデント映画を製作し続けてきたが、「シネコンがアートフィルムの居場所を奪っている。若い監督や脚本家が表現の場を失っていることに、私はまさにパンチを食らったような気分がしている。暴力は嫌いだが描かざるをえなかった」と殴られ屋という設定に至った経緯を説明。そして、「暴力と怒りがこの映画の根本にある。西島さんも現代の映画界も怒りを抱えていて、彼自身その心の叫びを表現する必要があったと思う」と話した。
同席したプロデューサーのエンギン・イェニドゥンヤは、「フィルメックスに歓迎され、『最もオリジナルな映画』という感想を頂いたとき、やはりやるべき映画だったと確信した。とても低予算だが、従来の日本のシステムではできなかったことを成し遂げた」と感慨無量の面持ちだった。
「CUT」は12月17日から全国で順次公開。
フォトギャラリー
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

映画「F1(R) エフワン」
【語れば語るほど、より“傑作”になっていく】上がりきったハードルを超えてきた…胸アツをこえて胸炎上
提供:ワーナー・ブラザース映画

たった1秒のシーンが爆発的に話題になった映画
【この夏、絶対に観るやつ】全世界が瞬時に“観るリスト”に入れた…魅力を徹底検証!
提供:ワーナー・ブラザース映画

でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
【あり得ないほど素晴らしい一作】この映画は心を撃ち抜く。刺すような冷たさと、雷のような感動で。
提供:東映

186億円の自腹で製作した狂気の一作
【100年後まで語り継がれるはず】この映画体験、生涯に一度あるかないか…
提供:ハーク、松竹

なんだこの映画は!?
【異常な超高評価】観たくて観たくて仕方なかった“悪魔的超ヒット作”ついに日本上陸!
提供:ワーナー・ブラザース映画

すさまじい映画だった――
【あまりにも早すぎる超最速レビュー】全身で感じる、圧倒的熱量の体験。
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

“生涯ベスト”の絶賛!
「愛しくて涙が止まらない」…笑って泣いて前を向く、最高のエール贈る極上作【1人でも多くの人へ】
提供:KDDI

究極・至高の“昭和の角川映画”傑作選!
「野獣死すべし」「探偵物語」「人間の証明」…傑作を一挙大放出!(提供:BS10 スターチャンネル)