若手女性監督3人、それぞれの思い抱きポルノに挑戦
2011年11月25日 21:19

[映画.com ニュース] 気鋭の若手女性監督3人が、女性ならではの視線で“彼女たちの恋とセックス”を描き出す「ポルノチック」が、11月26日から東京・銀座シネパトスで3週間限定公開される。メガホンをとった日向朝子監督、吉田良子監督、池田千尋監督が、どのような思いを抱き、作品を完成させたかを語った。
日向監督の「フォーゴットン・ドリームス」は、荒戸源次郎監督作「ファザーファッカー」で鮮烈なデビューを飾った中村麻美が、川岡大次郎とともに、すれ違いの生活を続ける若い夫婦の心と体のすれ違いを描く。日向監督は、これまでの自らの作品を「濡れ場というか、キスシーンもセックスシーンもでてこなかった。だから、あえてこの企画に飛び込んでみることで、何か新たなものが見えるのではないかと思った」と述懐。主演の中村については、「セリフのニュアンスにはっとさせられたり、動きの加減にぐっときたり。全ては小さくてさりげないのだけれど、“人間”がそこに生きていると思えた」と絶賛する。
瀬々敬久監督に才能を見出された吉田監督が手がける「惑星のかけら」は、柳英里紗が主演。家庭問題を抱えた孤独な少女と、ナルコレプシーのストーカー青年(渋川清彦)の一夜限りの刹那的な恋物語が、深夜の渋谷で繰り広げられる。柳扮する主人公・和希を演出するうえで、「何らかの“不自由さ”」がポイントだったという。そして、濡れ場の演出は相当の緊張を要したそうで「ふだんであれば、お互い以外にいない世界での出来事です。それを芝居として演じてもらい、カメラで記録するというのはきちんと捉えきれるのかという不安がつきまといます。とにかく役者さんを信頼し、その流れをこちら側でつかむしかない。今回も役者さんに助けられました」とコメントを寄せた。
東京藝術大学で黒沢清監督、北野武監督に師事した池田監督は、吉井怜、桃生亜希子、柄本佑というキャストを得て「夕闇ダリア」を撮りあげた。ひとりの男性をめぐる、ふたりの女性の不思議な愛の形を通して、主人公の心の軌跡をたどる。今作のポイントは、三角関係の相手の女性の「生き霊」。主人公・かなえ(吉井)が、生き霊の由起子に心を許していく過程が軸になる。「現状への不安、不満、由起子への感情により、かなえは常に心が揺れ動いており、そのシーンごとの加減についても意識した」と演出のこだわりを告白。吉井には「力を抜くこと」を求めたそうで、濡れ場については「具体的な“動き”しかそこにはないという点では、アクションシーンの演出と同じような感覚になるのだと思った」と語る。
3人の女性監督が心を砕いて完成させた「ポルノチック」は、11月26日から銀座シネパトスで3週間限定公開。その後、名古屋シネマテーク、大阪・第七藝術劇場ほか全国で順次公開。
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