鬼才キム・ギドク監督来日 3年間の隠遁生活から生まれた新作を語る
2011年11月21日 20:37

[映画.com ニュース] 韓国の鬼才キム・ギドク監督が11月21日、新作「アリラン」の第12回東京フィルメックスオープニング上映に際し来日し、都内で会見した。
「サマリア」(2004)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞、「うつせみ」(06)でべネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞するなど、世界的に高い評価を得ているキム監督だが、オダギリジョー主演作「悲夢」(08)で、女優の生死にかかわる事故が起きる。そのショックから自分を見失い、3年ものあいだ韓国映画界からの接触を一切断ち、ひとり山中に引きこもって生活していた。
今年5月の第64回カンヌ映画祭ある視点部門最優秀作品を受賞した「アリラン」は、その隠遁生活の中で、映画作家としての自己に向き合ったセルフ・ドキュメンタリーだ。
山中での生活を「理論的ではわかっているけれど実践できないことがあります。小屋に住むのも、自然の中で用を足したり、水を汲みに行ったりするのも初めてで、人間の小さな生活の中で得たものがたくさんありました」と振り返る。旧知のプロデューサーを含めた3人のみが小屋を訪問したといい、「オダギリ(ジョー)さんが遊びに来たことがあったんです。秘密だったんですけど、言ってしまいました(笑)」と明かす。
本作では、キム・ギドクとして1人3役を演じ、それ以外に自身の影として4番目の自分も登場させている。「『アリラン』という作品は、(山中の生活で)撮った全体の20分の1の長さです。最初は自分自身の気持ちを自分の言葉で撮ろうとしたもので、誰かに見せようと思わなかったんです」と話し、「撮影しているうちに服を一着ずつ脱ぐような気持ちになり、服は脱いでも積もり積もった気持ちが表れているように思えたんです。何かに取りつかれたように出来上がった作品です」と製作の経緯を説明した。
「毎日映画1本分の素材、モチーフを考え、映画を撮っていない間もシノプシスを毎日書いていました」と語るキム監督。「映画監督は天職ですね」と、記者から評されると「天職かどうかは分かりません。でも自分のことを語るのは苦痛の時間ですが、その中でもテクニックを入れたり、キャラクターを考えていたので、ああ、私は映画監督なんだなと思いました」と述懐する。
また、映画産業の大企業化を憂い、「映画というものはある程度社会に何らかの影響を与えられると信じています。私は今までお金ではなく、心をこめて、精神を込めて映画を作ってきました。世界の監督が同じ気持ちを持ち続けてほしいと願っています」と力強く訴えた。
「アリラン」は、2012年3月シアター・イメージフォーラムで公開。
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