辻井伸行、渡辺謙版「はやぶさ」映画音楽を奏でる
2011年11月3日 06:00

[映画.com ニュース] 盲目のピアニストの辻井伸行が、渡辺謙が主演を務める映画「はやぶさ 遥かなる帰還」の映画音楽を手がけることになった。これまでにも映画やドラマにテーマ曲という形で楽曲提供することはあったが、映画全編の音楽を担当するのは今回が初。辻井は、「渡辺謙さんをはじめとする素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんと一緒にこの作品にかかわれたことを誇りに思います」とコメントを寄せている。
今回の起用は、坂上順エグゼクティブ・プロデューサーが、テレビ番組の中で雪景色を前に、即興でイメージを演奏した辻井の姿に感銘を受けオファー。辻井自身も“宇宙空間”に興味を抱いていたそうで、ぜひ挑戦してみたいと快諾した。制作にあたっては、渡辺の提案により、専門用語が多い台本を専門家の手で音声化が実現し、イメージをふくらませていったという。
6月には撮影現場を訪れ、プロジェクトマネージャーを兼ねる主演の渡辺がセット内を案内したほか、実物大の“はやぶさ”と対面。渡辺について、「シーンの撮影中にもかかわらずセットの説明をしてくださったり、模型を自ら持ってきて構造の説明を丁寧にしてくださいました。世界的な俳優の方なのに、その優しい気配りに感動しました」と感慨無量の様子だ。
音楽に関しては、瀧本智行監督から「研究者や技術者たちの挫折や葛藤(かっとう)、そして達成を自分の音楽で表現してほしい」と提案を受け、二人三脚でテーマ曲を完成させた。渡辺は当初、映画音楽の作曲は制約が多いため危惧していたという。だからこそ、出来上がった楽曲を「辻井くんの情熱と想像力は我々の想像をはるかに超えていました。我々も(おそらくJAXAの皆さまも)聴いたことのない、孤独に宇宙空間を航海しているはやぶさの声を、彼は心の五線譜に書き写したのだと思います」と手放しで絶賛している。
辻井は、11月末にアメリカから帰国し、映画全体の音楽録音を行う予定だという。
映画の原作は山根一眞の「小惑星探査機 はやぶさの大冒険」で、さらに徹底的な独自取材を脚本に盛り込んだ。JAXA(宇宙航空研究開発機構)の川口淳一郎教授をモデルとした山口駿一郎を渡辺が演じ、幾多の困難に見舞われながらも、絶望感に打ちひしがれるプロジェクトチームを建て直す姿を描く。ほか、江口洋介、吉岡秀隆、夏川結衣、小澤征悦、石橋蓮司、中村ゆり、藤竜也が共演。
「はやぶさ 遥かなる帰還」は、2012年2月11日から全国で公開。
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