フセインの息子の元影武者、「ドーハの悲劇」の背景を暴露
2011年10月21日 11:15
[映画.com ニュース] 権力と莫大な富にものを言わせ、数々の悪行を重ねたサダム・フセインの息子、ウダイ・フセインの影武者だったラティフ・ヤヒア氏が、自伝を基にした映画「デビルズ・ダブル ある影武者の物語」の日本公開を記念し、来日することが明らかとなった。
バグダッド有数の実業家の息子であるヤヒア氏は、エリート学校でウダイのクラスメイトとなり、大学卒業後、ウダイと顔が似ているという理由で影武者になることを強要された。許諾するまで1週間、窓のない、座る隙間のない狭い赤い部屋に閉じ込められ過ごしたという。1987~91年までウダイの影武者を務めた後、ヨーロッパへ亡命、現在は作家、国際法律博士として暮らしている。
ヤヒア氏の自伝には、数年に渡って強いられた任務の中で、暴力や淫行など常軌を逸したウダイの行動、おぞましい事件など驚がくの事実が事細かに書かれており、イラクオリンピック委員会の委員長を務めていたウダイは、1993年に「ドーハの悲劇」と呼ばれた、サッカーW杯アジア地区最終予選イラクVS日本戦の際、イラクの選手に日本に負けたらムチ打ちの刑にすると脅していた。映画の中でも、実際に自国の成績不振のスポーツ選手にひどい拷問を行っていた様子が描かれている。
R18+指定の本作は、「マンマ・ミーア!」「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」などで注目の若手実力派、ドミニク・クーパーが1人2役で主演を務め、サンダンス・ベルリンを始め各国の映画祭で絶賛された。このほど公開された予告編では、己の欲望のままに悪事を続けるウダイと、自分の立場に苦悩するヤヒア氏を見事に演じ分けている。
脚本を担当したマイケル・トーマスは「本当は脚本にした以上に、もっとひどい事実があった。映画に適さない部分が多々あり渋々諦めざるを得なかった」とのコメントを発表しており、今回のヤヒア氏来日によって、さらに隠された史実が語られるのか、注目が集まる。
「デビルズ・ダブル ある影武者の物語」は、2012年1月13日から全国で公開。