濱田岳が中村義洋監督が…被災地・仙台へ捧ぐ新作「ポテチ」製作
2011年8月17日 08:00
[映画.com ニュース] 伊坂幸太郎が2007年に発表した「ポテチ」(「フィッシュストーリー」所収)が、中村義洋監督、濱田岳主演で映画化されることになった。製作のきっかけとなったのは、3月11日に発生した東日本大震災。中村監督は、これまでに「アヒルと鴨のコインロッカー」「ゴールデンスランバー」など伊坂作品を、仙台を中心にオールロケで撮りあげてきた。今回は、伊坂とともに「今までの恩返しとして、現在の仙台の姿を通して皆に勇気を与え、復興の後押しをしたい」という思いが結実した。
中村監督が伊坂作品を映画化するのは、これで4作目。もちろん今回も宮城・仙台でのオールロケを敢行する。伊坂と中村監督の思いに賛同し、過去2作に参加している斉藤和義が映画音楽を担当。主演は、伊坂×中村監督作には欠かすことのできない存在となった濱田が務める。ファン待望のチームが再結集し、仙台から新たな絆(きずな)の物語をおくりだす。
原作者の伊坂と中村監督は、「ゴールデンスランバー」の映画化で達成感を覚え「またいつか一緒にやりたいけれど、当分のあいだ映画化は見合わせておこう」という意見で一致していたという。しかし震災後の5月、伊坂から中村監督に今作の映画化について相談を持ちかけた。中村監督は、躊躇(ちゅうちょ)することなく「いいですね。やりましょう」と即決した。
映画化決定から約3カ月でのクランクイン。脚本を急ピッチで仕上げた中村監督は、「これは今すぐに撮られるべき作品だと思いました」と強調する。そして、「『撮影に来てくれるだけでうれしい』と言っていただいている仙台の皆さんの気持ちに応えるためにも、現在の仙台の街並みを映していきながら、仙台に限らず、映画を見た人すべてに少しでも勇気を与えられるような作品にしたい」と意気込む。
伊坂にとっても、予想外の展開だったはずだ。「まさかこんなに早く撮影に入るとは想像もしておらず、驚いています。きっと、多くの人たちが損得を抜きにして行動してくれた結果ではないかなと想像します」。主演の濱田も、仙台には一方ならぬ思いがある。「いつか皆さんが映画を見られる状況になったら、1分でも、1秒でも、あの日のことから離れて心の底から楽しんでもらえる作品にしたい」とコメントを寄せた。
映画は、約60分の中編映画になり、9月中旬にクランクアップ予定。物語は、同じ年、同じ日、同じ病院で生まれた2人(プロ野球のスター選手と凡人)が運命に翻ろうされながらも、家族や恋人を巻き込んで目に見えない強い絆によってつながれていく姿を描く。
「ポテチ」は、2012年春に全国で公開予定。
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