西田敏行「玄太は大声で泣いている」 長門裕之さん訃報を受け
2011年5月23日 12:32
[映画.com ニュース] 日本中を感動に包んだ小惑星探査機「はやぶさ」を題材に、20世紀フォックスが実話を映画化する「はやぶさ HAYABUSA」の製作報告会見が5月23日、神奈川・相模原にあるJAXA相模原キャンパス(宇宙科学研究所)で行われ、主演の竹内結子、西田敏行、メガホンをとる堤幸彦監督が出席。西田は5月21日に死去した俳優・長門裕之さんについて「津川さん(弟の津川雅彦)から直接メールで知らせていただいた。『池中玄太80キロ』でご一緒したときはアドリブ合戦だった。玄太はきっと大声で泣いているはず。俳優・西田敏行としては、現実に受け止められずにいる」と思いを吐露した。
宇宙科学研究所(現JAXA)の若き女性研究者の視点から、7年間にわたる挑戦と苦闘を繰り返した「はやぶさ」プロジェクトを見つめ、自らも成長する姿を描く。竹内が主人公の水沢恵を、西田は恵を研究スタッフ兼広報要員にスカウトする上司・的場泰弘を演じる。
竹内は首から下げた入館証を手に「これで毎日通勤するのが楽しい。大変な時期ですが、宇宙を身近に感じていただき、いろんな人を元気にすることができれば」。ほぼノーメイク&めがねという地味なたたずまいに「監督から『存在を消してほしい』と言われて(笑)。今回はメイク時間も男性陣とほぼ同じです」と明かした。西田は「日本人のメンタリティにじわっとしみ込む『忠臣蔵』のような物語」とアピール。「まるで太陽のような人。その向こうに小惑星イトカワがある」と竹内を称えた。
4月13日にクランクインし、5月25日にクランクアップの予定。JAXAの全面協力のもと、相模原キャンパスでのロケをはじめ、「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルが着陸したオーストラリアのウーメラ砂漠など海外でも撮影を行った。竹内、西田をはじめ、高嶋政宏、佐野史郎、山本耕史、鶴見辰吾、筧利夫らが出演。堤監督は「はやぶさの軌跡をほぼ完コピといっていいくらい詳細に描いている。厳しい局面のなか、ちょっとでも明るいものになるよう仕上げたい」と早くも自信をのぞかせた。
会見には、國中均氏(JAXA宇宙科学研究所教授/イオンエンジン開発担当責任者・カプセル回収安全責任者)、20世紀フォックスのジェシー・リー日本代表、プロデューサーの井上潔氏も出席。國中教授は「最初は映画化に当惑する部分もあったが、厳しい局面で復興を目指す方々を鼓舞することができれば、はやぶさプロジェクトとしても本望」。リー代表は「極めて日本的であり、同時に世界に通じる物語。震災後、復興を目指す日本の姿が世界を感動させている今、世界に配給できる映画にしたい」と意気込みを語った。
「はやぶさ HAYABUSA」は、10月1日から全国で公開。