江口洋介、未来の巨匠・深川栄洋との出会いの先にあるもの
2011年2月10日 08:21

[映画.com ニュース]1987年、「湘南爆走族」で主人公・江口洋助役に抜てきされ、映画初主演を果たしてから24年。90年代前半のトレンディドラマ全盛期をリードした江口洋介は、映画出演27本目となる「洋菓子店コアンドル」で円熟味を増した演技を披露している。心に大きな痛みを抱える元“伝説のパティシエ”十村遼太郎という役どころを得た江口が、何を思い、感じたのかに迫る。
同作は、「白夜行」「60歳のラブレター」など公開作が相次ぐ深川栄洋監督のオリジナル作で、江口が演じるのは、ある悲しい出来事をきっかけにスイーツ界からこつ然と姿を消した十村役。物語の舞台となる「パティスリー・コアンドル」はオーナー・パティシエと旧知の間柄ということもあり、スイーツ評論家として足繁く通っている。そんなある日、鹿児島から上京したケーキ屋の娘・臼場なつめが恋人を追いかけて同店を訪れる。失敗を繰り返しながらも、ひたむきに頑張るなつめと触れ合うことで、長く心を閉ざしていた十村にも心境の変化が訪れる。
江口は、“伝説のパティシエ”十村を演じるに当たり、都内の洋菓子店に何度も足を運んで役づくりに励んだという。「辻調理師専門学校へも行きましたよ。そうすると、パティシエにあこがれている女の子がたくさんいてね。それって見ていて楽しいもんですよ」。だからこそ、“伝説”の二文字を目にしたときは「レジェンド!? どういう風に表現したらいいのか」と迷いもあったという。それでも、脚本を読み進めるうちに役どころへの理解を深めていった。「伝説であろうがなんだろうが、こんな悲劇が起これば人は立ち止まっちゃうと思いますよ」。
43歳の江口にとって、いつしか撮影現場を見わたすと年下が増えている。今作のメガホンをとった深川監督とは、初タッグ。今年は「白夜行」「神様のカルテ」の公開も控えており、引っ張りだこの存在だ。江口は9歳下の深川監督に、「闇の子供たち」で仕事をともにした阪本順治監督と相通ずるものを見出している。「ある意味、似ているかもしれませんね。2人とも、インディーズ的な問題作と“That’s エンタテインメント!”的な話題作を行ったり来たりしているじゃないですか。深川さんも、『映画を撮らなかったら自分はダメ人間』と言っています。そういう危機感を抱いて映画を撮るって面白いですよ」
江口が深川監督を面白がったのには、誰もが胸に秘めた危機感をより顕著に表出したからにほかならない。「この作品が終わったら、もうおしまいかもしれない。みんな、そう思っていますよ。どういう評価を受けるかわからない怖さもありますしね。そういうことを深く話せたし、ものをつくるうえでのモチベーションが役者と近かったりすると、後に残りますよね」。近い将来、深川監督と再び相対する機会がめぐってくるはずだ。「違う形でやりたいと思うし、監督は年齢を重ねた俳優とでもうまく話せると思うし、年をとることにすごく興味をもっているんですよ」。そう語る江口は、満面の笑みで再会を待ち望んでいる様子だった。
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

片思い世界
【“鑑賞確定”の超期待作】広瀬すず×杉咲花×清原果耶主演×「はな恋」製作陣…そして涙腺崩壊へ
提供:リトルモア

ミッキー17
【前代未聞のオール社畜レビュー】史上最凶のブラック仕事を描いた痛快作…社畜が観たらどうなった!?
提供:ワーナー・ブラザース映画

侍タイムスリッパー
【ついに見放題“最速”配信中!!!】観たかった人も、何度も観た人も今すぐ観て!【ネタバレ厳禁】
提供:JCOM株式会社

この村の住人は、人間を喰ってる――
【衝撃の問題作】異常なクオリティで世界が熱狂…“絶対的支持”の理由を徹底解説!
提供:ディズニー

観ないとぜっったい後悔する
【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――
提供:東和ピクチャーズ

映画を安く観たい人、絶対にチェックして!
【映画2000円は高すぎる!!?】知らないと損な“1250円も安く観る裏ワザ”、ここに置いときます
提供:KDDI

厳選した名作“だけ”をあなたに。
【探す時間、ゼロ】家のテレビが「あなただけの24時間シアター」に!(提供:BS10 スターチャンネル)