ブッカー賞作家カズオ・イシグロ、代表作の映画化は「期待以上」
2011年1月24日 17:24
[映画.com ニュース] 英文学界最高峰のブッカー賞作家カズオ・イシグロが1月24日、代表作の映画化「わたしを離さないで」の公開を記念して10年ぶりに来日し、東京・駐日英国大使館で会見した。同作を鑑賞したイシグロ氏は、「私は小津安二郎や成瀬巳喜男の映画に大きな影響を受けて育った。完成した映画は期待以上のもので、イギリス俳優の出演している日本映画のようだった」と称賛した。
5歳のときにイギリスへ移住した日系英国人のイシグロ氏は、1989年に発表した長編3作目「日の名残り」で英文学界最高峰のブッカー賞を受賞した世界的ベストセラー作家。アメリカ人監督マーク・ロマネクが映画化した同作は、“特別な子ども”として育てられた3人の若者の苦悩と葛藤(かっとう)、切ない恋愛模様を描いた。
イシグロ氏は、「ある特殊な若者たちが限られた人生を生きるという話だけど、読み終わるころには誰もが共感できる普遍的な物語にしようと思った。長い間温めていたアイデアだけど、3度目の挑戦でようやく書き上げることができた」と述懐。そして、「人生は思ったより短く、そのなかで最も重要なことは何かを考えさせるようなものを描きたかった。決して悲観的な物語ではない」と訴えた。
英国を代表する若手実力派俳優が結集しているが、「キャシー役を演じたキャリー・マリガンは、セリフだけでなく演じ方そのもので感情を喚起させてくる。日本映画の黄金期を支えた高峰秀子や原節子のようだった」と大絶賛。また、「西部劇だとジョン・フォード、クリント・イーストウッド、サム・ペキンパー。70年代のハリウッドだとフランシス・フォード・コッポラ、マーティン・スコセッシ。アメリカに渡る前のアルフレッド・ヒッチコックも好きだし、最近の日本映画だと『フィッシュストーリー』が良かった。好きな映画作家を挙げればキリがない」と映画への造詣の深さで報道陣を驚かせた。
「わたしを離さないで」は、3月26日から全国で公開。
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