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C・キュアロン監督、村上春樹短編の意外な難点に機転きかす

2010年11月2日 16:53

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村上のユーモアのセンスに共感
村上のユーモアのセンスに共感

[映画.com ニュース] 「天国の口、終りの楽園。」「ルドandクルシ」などで知られるメキシコの俊英カルロス・キュアロン監督が、村上春樹の短編小説を映像化したショートフィルム「パン屋再襲撃」。「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2010」でワールド・プレミア上映されるために来日した、キュアロン監督とプロデューサーのルーカス・アコスキンが、インタビューに応じた。

同作は、空腹のため眠ることができない新婚夫婦が、真夜中にハンバーガー屋を襲撃するという突飛な物語。キルステン・ダンストと「ハート・ロッカー」のブライアン・ジェラティが奇抜な夫婦役に扮する。

今年は偶然にも「神の子どもたちはみな踊る」「ノルウェイの森」など、村上作品の映画化が相次いでいる。「読んだ瞬間に短編映画のイメージが浮かんだ」と話すキュアロン監督は、「村上春樹はとても日本人らしい感性をもった作家だけど、描かれるテーマやキャラクターは世界共通のもの。特に彼の人間の描き方が好きだし、ユーモアのセンスに共感した」とその魅力を語る。

ハンバーガー屋の店員役として出演もこなしたアコスキンは、「舞台をカルロスの出身地メキシコにするか、僕の出身地であるアルゼンチンのブエノスアイレスにするか、原作通り東京にするか、僕の住んでいるニューヨークにするか、ずっと悩んでいた。ニューヨークに決まった時点でキルステンに脚本を送ったら、とても気に入ってくれて、すぐさまカルロスのもとに電話がきた。ブライアンも企画に飛びついてくれて、2人の組み合わせは完ぺきだったよ」とキャスティングの経緯を明かした。

原作では夫婦が世界最大手のフランチャイズ・ハンバーガーショップ「マクドナルド」を襲撃するが、映画では「アメリカ・バーガー」という架空の店舗の設定になっている。キュアロン監督は「『マクドナルド』での撮影が難しかったから、架空のバーガー屋をつくろうと考えたんだ。ある日、ブルックリンで『オール・アメリカン・バーガー』という店を見つけてピンときたよ。アメリカの帝国主義と植民地主義を表す3つのシンボルといえば国旗、アンクル・サム、マクドナルド。それに代わるのが、まさに『アメリカ・バーガー』だったんだ」と逆境を機転で乗り越えた。

「パン屋再襲撃」は、横浜のショートフィルム専門映画館「ブリリアショートショートシアター」で11月29日まで上映中。


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