是枝裕和監督、新作「奇跡」は兄弟芸人まえだまえだ主演
2010年9月16日 08:00
[映画.com ニュース] 是枝裕和監督が、兄弟お笑いコンビ「まえだまえだ」の2人を主演に迎えた新作「奇跡」を手がけることが分かった。是枝監督にとっては、柳楽優弥にカンヌ国際映画祭最優秀男優賞をもたらした「誰も知らない」(2004)以来となる、子どもを主人公にした作品。まえだまえだの2人は、今回が映画初主演となる。
同作は、九州新幹線全線開通に沸く九州を舞台に、両親の離婚で鹿児島と福岡に離れて暮らす兄弟が、ある“奇跡”を起こそうとする姿を描く。母親と祖父母と鹿児島で暮らしながら、家族4人が元通りになることを夢見る兄・航一を前田航基(「まえだまえだ」兄)が、福岡で父親と暮らす弟・龍之介を前田旺志郎(同・弟)が演じる。
航基は、初主演に「とてもうれしいですが、とても緊張しています。自分も役と一緒の小6なので、中学生になる前に旺志郎と一緒に映画に出演できるのもうれしいです」と喜ぶ。旺志郎も「代表作になるとマネージャーさんに言われました。初めて映画に出るので めちゃめちゃうれしいです! 九州はゆっくり行ったことがないので楽しみです。九州はご飯も美味しいと聞いたのでいっぱい食べたいです!」と撮影を心待ちにしているという。
2人の両親に大塚寧々、オダギリジョー。ほか、夏川結衣、阿部寛、長澤まさみ、原田芳雄、樹木希林、橋爪功ら、是枝作品の常連俳優が多く顔をそろえる。
九州新幹線は、2011年3月に博多・鹿児島間で全線開通予定。09年冬、JR九州とJR東日本企画との間で、同線開通をきっかけに新幹線に関係する映画製作を検討する話が持ち上がったことが同作の発端となった。この話が鉄道好きとして知られる是枝監督の耳に入ると、撮影許諾取得が難しい新幹線を撮影できるだけでなく、自身に子どもも生まれ「誰も知らない」とは違う子どもを描く映画を作りたいと思い、アイデアが浮かんだという。今年2月に是枝監督へ正式オファー。3月にプロットが完成し、5~8月にキャスティングと脚本を固めた。9月18日、福岡でクランクインする。
是枝監督は、「子どもと一緒に映画を作るのはとても刺激的で、ワクワクの連続です。まえだまえだ兄弟をはじめ、この時期の子どもたちが持っている『奇跡』のような輝きをフィルムに焼きつけるべく頑張りたいと思っています」と意気込む。鉄道については、「出演していただく原田芳雄さんなどを前にして、とても鉄道マニアなどとは言えません。撮り鉄でも乗り鉄でもありませんが、電車が通過する時の……すれ違う時のワクワク感というかゾワゾワ感を、何とか映画の中で描きたい」と話している。
2011年初夏に全国で公開予定。
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