新鋭・石井裕也、商業映画デビュー作で「ダメな人たちの横顔」写しだす
2010年4月30日 15:56

[映画.com ニュース] 「剥き出しにっぽん」「ばけもの模様」など、野心的な作品をハイペースで撮り続ける新鋭・石井裕也の商業映画デビュー作「川の底からこんにちは」。新人監督の登竜門「PFFアワード2007」でグランプリを受賞し、翌年にはアジアで最も期待される若手映画監督に贈られる「第1回エドワード・ヤン記念アジア新人監督大賞」を受賞した若手注目株に話を聞いた。
同作は、自堕落なOL佐和子が、余命わずかな父親に代わって実家のしじみ工場を継ぐことになり、やがて平凡な人生と対峙(たいじ)し成長する姿をコミカルに描く人間賛歌。「愛のむきだし」でその年の新人賞を総ナメにした満島ひかりが、主人公・佐和子に扮する。
弱冠26歳の石井監督は、「自分に自信が持てなかったり、平均より低いかもしれないという恐怖や不安。程度の差こそあれ、そういう気分を誰しもが抱えているんじゃないか」と現代の若者を分析。だからこそ、「中途半端に生きてきた人が、開き直って輝き出す姿というか、力強く生きていけるようになるまでの過程に興味があった。現代を逆手にとったうえで横からパンチするような、ダメだけど一生懸命に頑張っている人の横顔のようなものを描きたかった」と製作意図を語った。
「リーマンショックのときも、政府は株価を戻そうとすぐに経済政策に走ったけれど、『経済が立ち直ったら、みんな幸せなの?』と疑問を持った。もっと見なきゃいけない場所があるのに、そこをあえて見せないようにしている何かに対する怒りや不満を覚えた。愛というものも、ちゃんと考えたうえで見つけにいかないと。だって愚かな人間の愛も愚かなんですよ、きっと(笑)」
自主映画出身の石井監督にとって、商業映画であってもインディペンデント時代とスタンスは変わらない。「あまりその垣根を意識していなかった。自主映画を一生はできないけれど、僕が今いわゆるメジャー映画を作っても仕方がないことは確か。ただ、『商業映画だと自分の好きなことができない』という意見をよく聞くけど、その感覚が僕にはない。自分の好きなことって、ある制約のなかで生まれるものだから、『イケメンとかわいい女の子が出てくる誰も傷つかないストーリーを書いてくれ』って言われたら、それはそれで燃え上がるものがある」
「川の底からこんにちは」はユーロスペースとぴあの共同配給で、5月1日から公開。
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