地域メディア、興行関係者らが映画による活性化に思い馳せる
2010年3月26日 20:13
[映画.com ニュース] 第2回沖縄国際映画祭が開催されている沖縄コンベンションセンターで3月26日、シンポジウム「地域と映画 ラフピーな関係」が行われた。映画業界紙「バラエティ・ジャパン」の関口裕子編集長のナビゲートで、沖縄発の映画「ニライの丘」プロデューサーで製作会社シュガートレインの井手裕一代表、北日本新聞社の堀井政彦氏、吉本興業の田中宏幸エリア開発センター統括部長らがパネルディスカッションを展開した。
同シンポジウムでは、「映画が地域を変え、地域が映画を変える」をテーマに、地域映画の製作や興行、宣伝、支援にかかわった担当者が多角的な実証例を挙げながら、今後の展望と課題を模索していく試み。「ガレッジセール」のゴリが初監督を務めた「南の島のフリムン」など沖縄を舞台にした作品の製作を続けている井手氏は、「僕らは本当に沖縄にこだわって作っている。沖縄の人たちが喜んでさえくれればいい、という強い気概が必要なんじゃないか」と“地元愛”を強調した。
堀井氏は、「釣りバカ日誌13・ハマちゃん危機一髪!」と「劔岳 点の記」の共通点を指摘。両作ともに富山を舞台としており、「釣りバカ日誌13」はメガホンをとった本木克英監督が出身者という“縁”もあった。「誘致の段階から、キャスト決定などのニュースを取り上げたことで盛り上がりを見せ、ロケ地決定につながった。結果として、全国の観客動員65万人のうち15万人が富山だった。『釣りバカ』シリーズで劇場に行列ができたのには驚いた」と振り返る。「劔岳」も同様の動きを見せ、動員は16万人に到達する勢いだったそうで「木村大作監督が映画化したいということで北日本新聞社に来てくださり、いきなり構想を発表されたんです。それ以降、製作段階から追いかけることで、県民のみんなが『自分たちの映画』だと感じるようになったんじゃないでしょうか」と語った。
また、「スターは僕らが作るんじゃなくて、お客さんが作っていくもの。それは映画にも言えることじゃないか」と断言する田中氏。日本テレビ系バラエティ番組「秘密のケンミンSHOW」を例に挙げ、「日本全体のムーブメントが地方に向かっているんじゃないか。地域性の高いものに注目が集まると面白くなるように思う。なまりは格好悪いものと思っていたが、ひょっとしたら5年後くらいに格好いいものという流れが来るかもしれない」と持論を展開した。さらに、地域プランナーの谷國大輔氏が「文化的多様性にあふれた地方都市というのは、規模は小さいかもしれないけれど、ハリウッドとは違う魅力が世界に羽ばたいていく日が来ると思う」と話すと、登壇者全員が強く同意していた。
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