ウェイン・ワン監督「千年の祈り」が中国から出資を受けられなかった理由とは?
2009年11月13日 18:48
[映画.com ニュース] 「スモーク」で第45回ベルリン映画祭銀熊賞を受賞するなど国内外で高い評価を集める、ウェイン・ワン監督の最新作「千年の祈り」が11月14日から公開される。来日したワン監督に話を聞いた。
米在住の中国系女流作家イーユン・リーが、フランク・オコナー国際短編賞を受賞したデビュー短編集を映画化。中国に暮らす父とアメリカに暮らす娘が12年ぶりに再会し、生活をともにしながら徐々に距離と溝を埋めていく姿を描く。
原作を読んだワン監督は、すぐに作品の映画化を切望したそうで「僕自身も父親と微妙な関係だったし、アメリカに行って自分が変わった部分があったから、娘の方に自分の感情を投影して小説を読んだんだ。僕は自分がまだ若いと思っているんだけれど、いまだに父親とどんな風に接すればいいか分からないんだよ」
アメリカで暮らす中国系の人々の姿に焦点を当てることがを多いワン監督は、その理由をこう話す。「僕自身、中国の文化や伝統に馴染めなかったという事実がある。『スモーク』では父と息子だけど、孤独を抱えた人物がお互いに何とか繋がり合おうと模索するという意味では今回も同じテーマなんだ。僕が最も影響を受けた監督の1人が小津安二郎なんだけれど、彼もいつも家族というテーマで映画を作っていたよね。でもそれは同じことを繰り返しているというより、いつでも自分の抱えている葛藤を描こうとすることで、それをリサイクルしている感じなんだ」
さまざまな人種の人生模様が描かれる本作には、監督のこだわりで役者ではない一般の人々が数多く登場する。「俳優って大げさに見せたがる傾向があるから、俳優には『とにかく何もするな』と演出したよ。最近の映画はVFX、アクション、セリフなど全てが過多だと思う。だからこそシンプルにすることを目指したんだ」
中国人を描いているものの、これはあくまで中流階級のアメリカの物語だと監督は話す。「グローバルな製作環境は楽しいよ。中国側の出資者から、父親のセリフで『共産主義が悪いんじゃなく、それが悪い人々の手に渡ったからだ』という部分を書きかえろと言われんだけど、変えなかったから投資がなくなってしまったんだ(笑)」
ワン監督の次回作は、中国系アメリカ人作家リサ・シーの長編小説「雪花と秘文字の扇(原題:Snow Flower and the Secret Fan)」の映画化で、チャン・ツィイーの主演が決定している。
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