尾野真千子は「生まれついての女優」と奥山和由プロデューサー絶賛
2009年10月23日 17:14
[映画.com ニュース] 第22回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門に出品された「真幸(まさき)くあらば」の記者会見と舞台挨拶が10月23日、会場の東京・六本木ヒルズで行われ、主演の尾野真千子、久保田将至、監督の御徒町凧(おかちまち・かいと)、奥山和由プロデューサーらが出席した。
金欲しさに殺人を犯し、死刑囚として服役する青年・淳(久保田)と、被害者男性の婚約者だった女・薫(尾野)が惹かれ合っていく物語。刑務所の面会室で決して触れ合うことなく愛を深めていく2人を演じるにあたり、尾野は「撮影中もなるべく触れ合わないようにした」といい、久保田も「指1本触れられない状況だったので、終わったあとは思わず抱き合いました」と感慨深げ。モデル出身で演技経験が少ない久保田は、初主演にあたり「ダメだったら引退するつもりで、全身全霊でやった」と不退転の覚悟で臨んだことを明かした。
プロデューサーとして「遠き落日」「うなぎ」、自らのメガホンで「RAMPO」など数々の名作を輩出してきた奥山プロデューサーは、「なかなか製作費が集まらず、40年近く映画製作をしていて初めて、クランクインしてからも製作費が足りていなかったが突っ切った」と苦労話を告白。さらに、「尾野さんの演技のすごさを目の当たりにできたのは幸せだった。彼女は“演技”というものをしない、裸で生の感情を出すことができる。生まれつきの女優さん」と絶賛した。音楽を手がける歌手・森山直太朗の多くの楽曲で作詞を担当してきた詩人・作詞家の御徒町監督は初メガホンで、「奥山さんが作ろうと言い出した映画なので、良い意味で変な映画ですが、映画を作るということはこういうことかというのを体をぶつけて教えていただいた。特殊な作品になったと思うけれど、ただ目の前のスクリーンで起こっていることを感じてほしい」と訴えた。
また、映画の前章となる描き下ろしコミック「真幸くあらば/終わりと始まりの夏」を漫画家・江川達也が制作中。12月1日よりiPhone向けにデジタル配信される予定で、会見には江川も出席した。
「真幸くあらば」は2010年1月9日から全国で公開される。