悪夢探偵は「ウルトラQ」や、かつて見た悪夢へのオマージュ。塚本晋也監督
2008年12月26日 12:00

[映画.com ニュース] 「鉄男」「ヴィタール」「六月の蛇」などで知られる日本映画界が誇る鬼才・塚本晋也監督の最新作「悪夢探偵2」。現在絶賛公開中の本作について塚本監督に話を聞いた。
本作は、他人の夢の中に入り込むことが出来るという特殊能力を持つ青年・影沼京一(松田龍平)の活躍を描き、世界30カ国以上で公開され話題を呼んだ「悪夢探偵」の続編。本格的なサイコスリラーの印象が強かった前作から一転、本作では京一の新たな依頼者である女子学生の悪夢の謎と、京一の亡き母にまつわるエピソードが交互に描かれ、ホラーと人間ドラマが渾然一体となった異色作になっている。
「パート2は最初からホラーにするつもりだったんですが、どんなホラーにするかを考えているうちに“怖がる女の子”を主人公にするアイデアが浮かんだんです。僕自身、その“怖がる女の子”の画を思い浮かべて背筋が寒くなったので、この怖さを追求してみようと思ったんです。実は京一と母親のエピソードはパート3用にとっておいたのですが、この“怖がる女の子”のエピソードにくっつけてしまった方がより“怖さ”の正体に近づける気がしたので、合わせてみたんです」
最初から「悪夢探偵」をシリーズものにするつもりだったという塚本監督。元々はTV用の企画だったものを長編映画にしたという。「このアイデアを思いついた時には、鉱脈を掘り起こしたような気になりましたね(笑)。僕は子供の頃『ウルトラQ』というTVドラマを見て育ったんですけど、それが夢か現実か分からないような雰囲気を作り出していたんです。だから『悪夢探偵』は、『ウルトラQ』や怖い思いを抱えて眠った時に見た悪夢に対してオマージュを捧げるような作品にしようと思っていました。悪夢探偵というメインキャラクターを作り上げてしまえば、不思議な夢の話や実験的な作品などさまざまな形で成立すると思うので、ある時は寅さん風、ある時はアメリカンホラー風と、いろいろなことが出来ると思っていて、今後はいろいろな悪夢に入れる自由な悪夢探偵にさせようと思っています」
探偵と言えば、映画や小説の定番キャラクター。塚本監督の探偵へのこだわりとは? 「本当の意味での探偵ものを作るほど僕は頭が論理的ではないので無理ですけど、自分だけの探偵を生み出したいという思いは強いですね。昔、ある雑誌に『昭和の名探偵』というような特集が掲載されていて、そこにはいろいろな探偵の名前や性格が書かれていて、それを見た時、『この中に自分の探偵を入れてくれないかな』と思ったんです。たぶんその思いがこの悪夢探偵につながっていると思います。僕自身はカッコいい探偵よりは、人間味のある探偵の方が好きですね」
「悪夢探偵2」は、シネセゾン渋谷ほかにて公開中。
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