中東にもオバマが必要?「シリアの花嫁」監督が会見
2008年12月3日 12:00
本作は、イスラエル占領下のゴラン高原を舞台に、シリア側へ嫁いでいくモナ(クララ・フーリ)の結婚式の1日を通し、複雑な中東情勢に揺れ動く一家を描いたユーモアあふれる社会派映画。
エルサレム生まれのリクリス監督は、「Lemon Tree(レモンの木)」で08年ベルリン国際映画祭パノラマ部門観客賞を受賞するなどの実力派。イスラエルと周辺国との“境界線”についての自身のドキュメンタリー「Borders」(99)から発想を得て本作を製作したと話すリクリス監督は、現在の中東情勢について、「私はパレスチナ人と仕事をするし、信頼し合える仲間と仕事をするということに国籍や人種は関係ないと思う。オバマがアメリカ大統領に当選したからか、私は今の世界状況には楽観的なんだ。中東にオバマがいないことは残念だけどね。メディアを超えたものを、真実の詰まった映画で若い世代に伝えていきたい」と真摯に語った。
日本では、イスラエルとシリアの関係が注目されることはあまりないが、リクリス監督は「この映画のテーマはどこの国の誰にでも起こりうる普遍的なもの。どこで撮られたかより、登場人物の心の中にあるものを見てほしい。私はニューヨークのイタリア人街を描いたマーティン・スコセッシ監督の『ミーン・ストリート』の大ファンで、25回は見ているけど、後になってロサンゼルスのスタジオで撮られたと聞いて驚いたものだ。でもそれが映画ってものだよ」と話し、会見を締めくくった。
「シリアの花嫁」は09年2月21日より岩波ホールにてロードショー。
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