黒澤明賞受賞のニキータ・ミハルコフ、チェン・カイコーが喜びを語る
2008年10月27日 12:00
[映画.com ニュース] 第21回東京国際映画祭で黒澤明賞を授与されたニキータ・ミハルコフ監督(ロシア)とチェン・カイコー監督(中国)が10月25日、映画祭会場の東京・渋谷Bunkamuraで記者会見を行った。
黒澤明賞は、故・黒澤明監督と同様に、ヒューマニズムと娯楽性に富んだ優れた作品を製作し続け、映画界に貢献した映画人に対して贈られる名誉賞で、第17回東京国際映画祭から設立され、今年で5回目を数える。
「ウルガ」(91)でベネチア映画祭金獅子賞、「太陽に灼かれて」(94)でカンヌ国際映画祭グランプリに輝く巨匠で、生前の黒澤監督とも親交のあったミハルコフ監督は、「夢を見ているようで、どれだけ名誉なことか筆舌に尽くしがたい。これまで多くの賞をもらったが、この賞ほど特別なものはない」と受賞の喜びを語り、「私は学生のころに初めてクロサワさんの作品を見て、それ以降いつも思うのは、彼は本当に偉大な監督だということ。素晴らしい監督はたくさんいるが、クロサワさんの占める位置は特別だ」と故人を称えた。また、黒澤監督が「乱」においてミハルコフ監督が提案したアイデアを使ってくれたというエピソードを話し、それによって「自分にも正しいところがあるのだという自信と、映画監督として働き続けるという思いをくれた」と話した。
一方、黒澤監督よりも若い世代にあたり、「さらば、わが愛/覇王別姫」(93)で中国人監督として初のカンヌ映画祭パルムドールを受賞したチェン監督は、「とても光栄だが思いがけない気持ちでいっぱい」とコメント。黒澤監督との面識はないものの、「中国の私たちの世代の映画監督に最も影響を与えた」とし、「クロサワ監督は人間の深層を掘り下げ、人の善も悪も我々に見せてくれた。クロサワ監督には人間に対する慈悲深い気持ちと悲観する思いとがある。変わりやすく不安定な世界にあって、自分の世界を表現していくことが彼の精神であり、今回の賞はそうしたクロサワ監督の精神を与えられたようだ」と偉大な先達に敬意を表しながら話した。