東京国際映画祭閉幕。「トルパン」が作品・監督賞2冠
2008年10月27日 12:00

[映画.com ニュース] 10月26日、9日間にわたった第21回東京国際映画祭が閉幕。東京・渋谷Bunkamuraオーチャードホールでクロージングセレモニーが行われ、コンペティション部門の最高賞、東京サクラグランプリには、今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ受賞作でもあるドイツ・スイス・カザフスタン・ロシア・ポーランドの5カ国合作の「トルパン」が輝いた。また、同作のカザフスタン出身セルゲイ・ドボルツェボイ監督は最優秀監督賞も受賞した。
「トルパン」は、広大なカザフスタンの草原で生きる遊牧民一家の姿を描く作品。初の長編フィクション映画で栄冠を手にしたドボルツェボイ監督は、「2つも賞がもらえるなんて、大変な名誉で驚いている。この受賞は私の将来にとって非常に有益なものになるでしょう」と喜びを述べた。審査委員長のオスカー俳優ジョン・ボイトも、「作品賞は満場一致で決まった。素晴らしい芸術であり、複雑な世界に生きる我々に心のありかを教えてくれた」と称えた。
コンペ部門の日本映画では、妻夫木聡主演の「ブタがいた教室」が観客賞を受賞。同作の前田哲監督は授賞式後の会見で11月1日の劇場公開に期待を寄せ、「観客賞をもらったということは、大ヒット間違いなしってことですよね(笑)」とコメント。ボイトも相当惚れ込んだ作品のようで、会見で「個人的に賞を設けて受賞させたかった」と絶賛した。一方で、俳優・渡部篤郎の初監督作「コトバのない冬」は惜しくも無冠に終わった。
その他、最優秀男優賞には、フランスの実在した犯罪者ジャック・メスリーヌを熱演した「パブリック・エナミー・ナンバー1(Part1&2)」のバンサン・カッセル。「日本映画・ある視点」部門作品賞には、先月19日に急逝した市川準監督の遺作「buy a suit」が輝き、市川監督夫人が涙で言葉を詰まらせる場面も。また、今年から新設されたTOYOTA Earth Grand Prixは、公害から桜の木を守ろうとする人々を描いたスペイン映画「フェデリコ親父とサクラの木」が受賞した。その他、受賞結果は以下の通り。
▼審査員特別賞 「アンナと過ごした4日間」(イエジー・スコリモフスキ監督/フランス=ポーランド)
▼最優秀監督賞 セルゲイ・ドボルツェボイ(「トルパン」/ドイツ=スイス=カザフスタン=ロシア=ポーランド)
▼最優秀女優賞 フェリシテ・ウワシー(「がんばればいいこともある」/フランス)
▼最優秀男優賞 バンサン・カッセル(「「パブリック・エナミー・ナンバー1」/フランス)
▼最優秀芸術貢献賞 「がんばればいいこともある」(フランソワ・デュペイロン監督/フランス)
▼観客賞 「ブタがいた教室」(前田哲監督/日本)
▼「日本映画・ある視点」部門作品賞 「buy a suit」(市川準監督)
▼「日本映画・ある視点」部門特別賞 岸部一徳(「大阪ハムレット」)
▼「アジアの風」部門最優秀アジア映画賞 「私のマーロンとブランド」(フセイン・カラベイ監督/トルコ)
▼TOYOTA Earth Grand Prix 「フェデリコ親父とサクラの木」(ホセ・アントニオ・キロス監督/スペイン)
▼TOYOTA Earth Grand Prix審査員賞 「ブタがいた教室」(前田哲監督/日本)
▼TOYOTA Earth Grand Prix特別賞 「ミーアキャット」(ジェームス・ハニーボーン監督/イギリス=アメリカ)
▼黒澤明賞 ニキータ・ミハルコフ監督(ロシア)&チェン・カイコー監督(中国)
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