劇場公開日 2008年11月1日

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ブタがいた教室 : 映画評論・批評

2008年10月28日更新

2008年11月1日よりシネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館ほかにてロードショー

子どもたちの本音を引き出した即興演出が奏功

まず何よりも6年2組の小学生が小鳥や兎や山羊ではなく、ブタを飼育した実話に意外性がある。物語は担任が「大きくなったらみんなで食べよう」と教室に子ブタを連れてくるところから始まり、子どもたち26名が“Pちゃん”と名付けて世話をしながらペットとして愛情を抱く展開は予想通り。実話の映画化だから奇想天外な事件は起こらないが、家庭環境の違う子どもたち一人一人の表情が生き生きしている。卒業式を控えた子どもたちがPちゃんを「食べるか、食べないか」でディベートするクライマックスでは、27人目の生徒になった気分でドキドキした。

教育映画的なうさん臭さをまったく感じないのは「命の大切さ」や「食」についての考え方を押しつけないで、子どもたちの本音を引き出しているからだろう。主役の子どもたちをサポートする担任役の妻夫木聡が自然体で好感を持てるし、出番は少ないが校庭でブタの飼育を認める校長を演じる原田美枝子の包容力も印象に残る。

前田哲監督は、子どもたちにセリフ部分や結末が白紙のままの脚本を渡したという。ドキュメンタリーに近い即興演出は、ドラマを凝縮したセリフになりにくいのだが、周到な準備のおかげで奇跡的に成功している。子どもだけでなく誰にとっても「食」の問題は無関心ではいられない時代である。この映画を見たことで、殺生と「いただきます」の意味を再認識した。

(垣井道弘)

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