オスカー狙いの「朗読者」、公開時期をめぐり製作者同士が対立
2008年9月24日 12:00
[映画.com ニュース] 米インディペンデント映画界の大物プロデューサー2人が、ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説「朗読者」をスティーブン・ダルドリー監督(「めぐりあう時間たち」)が映画化した「愛をよむひと(原題:The Reader)」の全米公開のタイミングをめぐって激しく対立しているようだ。同作の製作には、ワインスタイン・カンパニーのハーベイ・ワインスタインと、文芸映画を得意とする映画プロデューサーのスコット・ルーディンが関わっているが、米ハリウッド・レポーター誌によると、今年12月の公開を主張するワインスタインに対し、ルーディンは来年度の公開を主張して譲らないという。
同作はまた、ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズという演技派として有名な俳優が出演している注目作品であることに加えて、現代ドイツ文学の世界的ベストセラーである文芸小説の映画化であることからオスカーレースに絡むことは必至。テスト試写の評判も上々で、あとはポストプロダクションの終了を待つという状態だ。
ところが、「ノーカントリー」で昨年度のアカデミー作品賞を受賞しているルーディンは本年度のオスカーレースにも、リチャード・イェーツの文芸小説「家族の終わりに」を原作としたレオナルド・ディカプリオ&ケイト・ウィンスレット共演のドラマ「レボリューショナリー・ロード(Revolutionary Road)」(サム・メンデス監督)と、オスカー受賞経験があるメリル・ストリープ&フィリップ・シーモア・ホフマン共演で人気ブロードウェイ劇を映画化する「ダウト(Doubt)」(ジョン・パトリック・シャンレー監督)をぶつける予定。「愛をよむひと」は来年度の賞レースに回したい考えだという。
ちなみに、ワインスタインとルーディンは共同でプロデュースした「めぐりあう時間たち」の時にも、フィリップ・グラスの映画音楽をめぐって激しく対立した過去があり、映画業界では犬猿の仲として知られている。