「ホテル・ルワンダ」のジョージ監督、新作「帰らない日々」で命の重さを語る
2008年7月18日 12:00
[映画.com ニュース] ルワンダ大虐殺を描いた「ホテル・ルワンダ」のテリー・ジョージ監督が、再び命の重さをテーマに描くヒューマンドラマ「帰らない日々」が7月26日に公開される。公開に合わせ、精神科医の香山リカと女性ファッション誌マリ・クレール編集長の生駒芳子が、7月17日、東京・汐留のスペースFS汐留にて対談トークショーを行った。
大学教授のイーサンは突然のひき逃げ事故で息子を失くし、その悲しみと罪悪感から家族はバラバラになっていく。イーサンは犯人を突き止めるため弁護士に調査を依頼するが、実はその弁護士がひき逃げ犯だったという、被害者と加害者の苦悩を描いたシリアスドラマ。息子を失くした夫婦に「グラディエーター」のホアキン・フェニックスと「ビューティフル・マインド」のジェニファー・コネリー、ひき逃げ犯の弁護士に「ゾディアック」のマーク・ラファロと、アカデミースターが迫真の演技を見せている。
精神科医としてさまざまなメディアで活躍する香山は、「どんな幸せな家族にも戸棚にミイラが隠れている」という言葉を引用し、問題がない家族など存在しないことを強調した。離婚歴のある生駒は“悲しみを乗り越える方法”を聞かれると、「とことん悲しんだ方がいい。その後は浮かび上がってくる自分を励ますこと。離婚してから離婚に対する価値観が変わった」としみじみと自身の過去を語った。「悲しみを受け入れることで人生に深みが増す」と、2人とも悲しみの中に再生を見出す本作に深く共感したようだ。
家族をめぐる犯罪が多い昨今、「帰らない日々」は決して他人事ですますことができない作品だ。