奥田瑛二“支配人”、「下関スカラ座」再オープンに感無量!
2007年11月12日 12:00
[映画.com ニュース] 映画監督・俳優の奥田瑛二が劇場支配人を務める山口県下関市の映画館「下関スカラ座シアター・ゼロ」が11月10日にオープン。同劇場は旧東宝系映画館(2スクリーン)が10月28日に閉館したことから、昨秋に、次女・安藤サクラを主演にオペラ歌手を目指す女子高校生のヒロインと在日朝鮮人のラブストーリー「風の外側」のご当地ロケを行った奥田監督が今年10月、経営に乗り出すことになったもの。その日は同劇場のこけら落としとして、「風の外側」全国先行公開の初日舞台挨拶が行われた。
妻でエッセイストの安藤和津、同作の主演を務めたモデル出身の新人俳優の佐々木崇雄と共に登場した奥田“支配人”は、「お客さんから『下関に映画を残してくれてありがとう』と言われた時、胸にぐっときた。5度涙が出そうになって、こらえた」と感無量に語り、うっすらと涙を浮かべた。舞台挨拶の1回目、2回目とも補助席が出る大盛況ぶり。同劇場が満席になったのは、地元出身の佐々部清監督が下関を舞台に撮った03年の「チルソクの夏」以来のことだった。
奥田は「かつて下関は映画の町でした。田中絹代、木暮実千代、松田優作という大スターが誕生した所。近頃は数多くの映画が下関で製作されてもいる。なのに、下関から映画館がなくなるところでした」と語り、加えて「下関から(映画の灯り)が消えることがあってはなりません。下関の方々と一緒になって、下関が映画文化の発信基地になるよう頑張りたい」と意気込んだ。
年内は、デビュー作「少女」やモントリオール国際映画祭グランプリ受賞作「長い散歩」など奥田監督の旧作も上映される予定、その後は良質の名画も上映されるという。支配人として月1回は下関を訪れるという奥田は、「映画館を持つのは夢だった。上映機会の恵まれない若手の新作や短編、名画をかけ、超恒久的に運営したい」と構想をぶちあげた。
また、関門海峡を挟んだ福岡県北九州市出身の青山真治監督からもエールを送られており、「近辺で映画祭をやったら面白い」と奥田支配人のアイデアは止めどなく語られた。
「風の外側」は11日、下関スカラ座シアター・ゼロほか、山口県と北九州市の合計5館で先行公開。12月22日より東京・新宿K's cinema、大阪・第七藝術劇場ほか、順次全国ロードショー。