アカデミー賞ノミネート「善き人のためのソナタ」監督が語る
2007年2月6日 12:00

徹底した監視態勢を敷き、反体制的な人間を次々と捕らえていった旧東ドイツの秘密警察・諜報機関シュタージ(国家保安省)の諜報員が、1曲のピアノソナタに心を動かされ、人間らしさに目覚めていく様子を描いたドラマ「善き人のためのソナタ」。リサーチ期間に4年を費やし本作を完成させ、本年度アカデミー賞の外国語映画賞に見事ノミネートされた、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督に話を聞いた。
第2次大戦時におけるナチスやゲシュタポを描いた映画は多数あるが、旧東ドイツ時代のシュタージについて本格的に扱った作品は、ドイツ映画史上初と言ってもいいという。「ベルリンの壁崩壊後、ドイツ国民は自分たちで立ち直らなければなりませんでした。そのために人々は、シュタージやそれに関する事件を忘れようとしたのです。あれはなかったのかもしれない、悪夢だったのかもしれないと、自らをだましてしまう傾向があるのです」
本作の主人公で、シュタージの諜報員ヴィースラー(演じるウルリッヒ・ミューエも、旧東ドイツ時代にシュタージにより監視されていたという経験を持つ)は、劇作家ドライマンらの反体制的な証拠を見つけるために盗聴・監視を開始するが、やがて彼が恋人や仲間たちと交わす自由な思想、さらには「この曲を本気で聴いたものは、悪人になれない」と言われる「善き人のためのソナタ」というピアノソナタを盗聴器越しに聴くことにより、次第にシュタージへの忠誠心が揺らいでいく。
「芸術は人を変えることができると信じています」と語る監督は、このキーとなるソナタの作曲を、アカデミー賞作曲家ガブリエル・ヤレドに依頼。「もしもヒトラーに2分間だけ会うことを許され、話すことはできないが自分の曲を聴かせることができるとして、その曲によってその後の人類の歴史を変える――つまり彼を変えることができるものを作ってほしい」と頼んだという。「レーニンも、ベートーベンの『情熱のソナタ』を聴いてしまうと革命が成し遂げられないので聴かなかった、と語った逸話があります。それだけ芸術が人に与える影響は大きいと思うのです」
「善き人のためのソナタ」は、2月10日ロードショー。
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