美しい殺人者「キング 罪の王」のガエル・ガルシア・ベルナル
2006年11月17日 12:00
澄んだ美しい目が印象的なガエル・ガルシア・ベルナルに、最新作「キング 罪の王」で演じたクールな殺人者エルビスについて、eiga.comはロンドンで話を聞いた。
「エルビスという男は、最後まで何をしでかすか分からない危険な男だ。その不可解な世界をどう解釈して演じていくか、すごく魅力的な仕事で興奮した。彼は父親の家庭を破滅させるけど、それをモラルで計ることはできないと思うんだ。もしかすると、父親が過去に犯したことを償うために、エルビスは送られてきたのかもしれない。そう思うと、すべての惨劇はあらかじめ決められていた宿命って気もしてくるよね」と、エルビスというキャラクターを分析するガエル。その宿命感を強調する演技については、「まるで夢の世界にいるような、静かでゆったりとしたペースで演じるように工夫したんだ。彼の行動を後からト書きで説明すると、白昼夢を見ていたってことになるんじゃないかな。舞台の演技や演出に近いところが気に入った。セリフが少ないのは、彼の英語が下手だからだよ。そこは僕と同じだね(笑)」
アメリカ批判のメタファーが含まれていることについては、「メキシコ人の母を持つ私生児というエルビスの生い立ちに、すでにそれが現れているよね。彼が海軍に入ったのもパスポートを取得するため。不法移民の私生児でも、軍隊に入って戦争に行けばパスポートを貰える。そんな国なんだよ、アメリカは」と、手厳しい。『ボーン・アイデンティティー』シリーズ3に出演が噂されているが、彼の頭は今、完成したばかりの初監督作「Deficit」でいっぱい。「ものすごく疲れたけど楽しかった。これからも作り続けたい」と意欲的だった。「キング 罪の王」は11月18日公開。