「ウィンター・ソング」監督が見た金城武の“激しさ”
2006年11月7日 12:00
本作は、かつて恋人同士だった男女が、お互い人気俳優となってミュージカル映画で共演を果たし、10年前の愛をたどるラブストーリー。まず、ミュージカルという手法を選択した理由を尋ねると「映画監督としてより良いものが作れるように、あえて自分のスタイルとかけ離れたミュージカルに挑戦した」と話す。特にミュージカルファンではないという監督は「一番難しかったのが心情表現。ミュージカルは表現が大げさでシュールだから、繊細でリアルな私のスタイルと常に綱引きしているようだった」と苦労話を吐露した。参考にした作品があるか尋ねると「いろいろな作品を見たけど、シュールとリアルのバランスを保っている作品はなかった。ただ、細かいところではボブ・フォッシーの『キャバレー』を参考にした」と答えた。
金城武の撮影エピソードも披露。クライマックスに描かれる主人公2人が抱き合うシーンは、撮影4日目に行われたという。「スタッフ、キャストともにまだ打ち解けておらず、照明もカメラも演技も全て酷かったんだ。困惑する(金城)武から“どうすればいい?”と聞かれ、僕も“分からない”と答えるしかなかったほど(笑)。翌日撮影をやり直したんだけど、その時突然マジックが起きたんだ。照明もカメラもバッチリで、カメラが抱き合う2人にクローズアップしていくと同時に、武の瞳から涙がとめどなく流れ落ちてきた。内向的な彼が初めて見せた激しい感情に、スタッフ全員が静まり返り、カメラマンのクリストファー・ドイルは興奮して私の肩をバンバン叩いてきたよ」と、シャイな金城が見せた激しい一面を話してくれた。「ウィンター・ソング」は11月11日よりロードショー。