アカデミー賞は「シカゴ」が6冠。舞台では反戦メッセージ続々
2003年3月25日 12:00
イラク攻撃の最中に行われた第75回アカデミー賞は、いつものお祭り騒ぎとは違った雰囲気を帯びたものとなった。レッドカーペット取材が中止になったためか、出席者らの服装も例年よりも地味。同時に目立ったのが、平和を訴えるバッヂをつけたセレブとピースサイン。プレゼンターとして登場したスーザン・サランドンは客席に向かって無言でピースサインを掲げ、ガエル・ガルシア・ベルナル、バーブラ・ストライザンドもそれぞれ反戦のメッセージを口にした。「戦場のピアニスト」で主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディは、「この映画に出演したことで、戦争がいかに悲しく人間性を損なうものかを知った。一刻も早く平和が訪れることを願う」と述べたあと、「親友がクウェートで戦っている。無事に帰ってこれますように」とコメントし、出席者の喝采を浴びた。主演女優賞を獲得したニコール・キッドマンは欠席が噂されていたが「世界が混乱している時に、なぜアカデミー賞に来たのかと思う人もいるかもしれません。でも芸術は重要なのです。私がここにいるのは、自分がやっていることに信念を持っているからです」と堂々と語った。
もっとも物議を醸すコメントをしたのは、「ボウリング・フォー・コロンバイン」で長編ドキュメンタリー賞を受賞したマイケル・ムーア。同部門の他のノミネート作品の関係者と共に舞台に上がり、「私たちはフィクションではなく現実(ノンフィクション)が好きだ」とドキュメンタリー作家として誇りを述べたあとで、「しかし、いまは現実がフィクション化している」とブッシュ批判を開始。「偽りの大統領が、偽りの理由をでっち上げて戦争しているんだ。ミスター・ブッシュ、恥を知れ!」と声を張り上げた。ムーアのこのスピーチにより、会場はブーイングと拍手喝采が同時に起こり、一時騒然となった。受賞結果は、12部門で13のノミネートを受けていた「シカゴ」が、作品賞、助演女優賞(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)、美術賞、音響賞、衣装デザイン賞、編集賞の最多6部門を受賞した。主な受賞結果はこちらから。
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