劇場公開日 2024年1月12日

「作品構造はおもしろいが、引っかかりも多いかな」ある閉ざされた雪の山荘で おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0作品構造はおもしろいが、引っかかりも多いかな

2024年1月13日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

本作は東野圭吾さんの小説の映画化らしいですが、そんなことは全く知らず、原作も未読です。でも、ミステリーは大好きなので、予告に惹かれて公開初日に鑑賞してきました。

ストーリーは、新作舞台劇の主役オーディションとして集められた男女7人が、「大雪に閉ざされた山荘」という設定で4日間の合宿に参加するが、一人また一人と誰かが消えていき、仲間内に殺人犯がいるのではないかと疑心暗鬼となる中で、その裏にある真相が明らかになっていくというもの。

いかにも舞台劇に向きそうなシチュエーションで、密室殺人ミステリーを思わせる内容は悪くないです。実際に殺人事件が起きているのか、それともオーディションのためのシナリオなのか、謎めいた展開に興味をそそられます。それでいて、物語全体が二重三重構造となっているのがおもしろいです。そして、それをわかりやすく運ぶ展開も好印象です。

ただ、その構造自体がキモで、トリックらしいトリックがなかったのはちょっと残念です。後半に差しかかる頃には、なんとなく動機も察しがつき、そうなると犯人も絞り込まれてしまい、解明シーンでの爽快感はあまり得られません。ラストもいい話っぽくまとまって、なんとなくよかったねという雰囲気に包まれますが、あそこまで憎み合っててすんなり和解できるのはちょっと違和感を覚えます。

あと、私が何か見落としたか、聞き落としたのかもしれませんが、そもそも久我をなぜこのオーディションに参加させたのでしょうか。また、これをいうと身もふたもないですが、誰も謎解きできなかったらどう決着させるつもりだったのでしょうか。その場合、今回の計画に加担した者とそうでない者は、今後も同じ劇団でやっていけるのでしょうか。鑑賞後に冷静になって考えてみると、いろいろ引っかかることも浮かんできてしまいました。

キャストは、重岡大毅さん、中条あやみさん、間宮祥太朗さん、堀田真由さん、戸塚純貴さん、岡山天音さん、西野七瀬さん、森川葵さんら。主役を張れる実力派若手俳優をずらりと並べ、物語としても作品としても演技のぶつかり合いは見どころの一つとなっています。中にはちょっと物足りないかたも見えましたが、総じて見応えがあります。

おじゃる
おじゃるさんのコメント
2024年4月19日

クリティカル幸子さん、コメントありがとうございます。本作のレビューを上げておられないようなので、こちらに返信いたします。
原作では、そんな動機が描かれているんですね。それだと久我の印象がずいぶん変わってきそうです。
貴重な情報をお知らせいただき、ありがとうございます。

おじゃる
クリティカル幸子さんのコメント
2024年4月17日

原作では由梨江に近づきたいから、という不純な動機とあわよくば水滸の有名脚本家が手掛ける舞台に出演してのしあがろうという描写があります。
由梨江を自分の伴侶にと妄想するかなりイタい奴で、重岡くんの爽やかさとのギャップに驚くので原作も読んで欲しいです。笑

クリティカル幸子
おじゃるさんのコメント
2024年4月10日

hiroさん、共感&コメントありがとうございます。本作のレビューを上げておられないようなので、こちらに返信いたします。
若手俳優陣の演技力と熱量で押し切った感はありますが、作品全体としては重岡くんの役どころは微妙ですよね。原作との違いが気になるところです。

おじゃる
hiroさんのコメント
2024年4月9日

配信でみたのですが、狂言回しの重岡くんの役どころは原作には出てくるのかなぁ。。。
俳優がみんな上手かったので、忘れられそうな着眼点ですね。
わたしは、好きな役者さんが出ていたのですが「あれ?この方の演技はイマイチ?!」と思って何回も見て、脚本として撮り直したのかな??とかいろいろ。

正直、鑑賞者に推測させるのは映画は早いですね

hiro
ゆり。さんのコメント
2024年1月20日

私も主人公の存在理由が謎でした。たまたま応募してきたのだとしても、一次選考で落としますよね。謎解き要員という事でしょうか。

ゆり。