市子のレビュー・感想・評価
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あとを引く感覚がすごい
もちろん杉咲花は素晴らしい。こんなに悲しくて苦しくて切ない役を完璧に演じています。若葉さんや他の俳優さんたちも皆さん素晴らしいです。何時間でも観てられます。このようないろんな時間軸で行ったり来たりしてると何か訳分からなく事になったりする事もありますが、本作は出てくる役者さんたちのメリハリが効いた芝居や演出が素晴らしく完璧です。最後の方に出てくる自殺願望の人やストーカー的な森永さんも最後そうなるんだ!という感じでした。最近ハピネットファントムスタジオは素晴らしい作品を送り出しますね。たしかバンダイ系のおもちゃ問屋さんから始まってテレビゲーム流通で大きくなり、ミニシアター系の洋画の配給からはじまり今や映画界のメインプレイヤーになりつつあり、キノフィルムもそうですが新興勢力が邦画界を盛り上げてくれて嬉しい限りです。
天使と、悪魔と
いやぁ~、今年も終わりかけの時期に問題作を見てしまいましたよ。 本作を見ていると、それぞれの映画にはそれぞれの目指す地平があり、それがどんどんと多岐にわたり、昨今の作品は昔の様に単純には理解や感動を見ている者に与えてくれない作品が増えてきたように感じてしまいます。 本作などはまさにそれで、確実に力作だとは思うのだけど、何か理解できないモヤモヤも残り、その為に単純に絶賛したり傑作だって言われることも拒否している様な気配も感じられました。この辺り、最近の日本映画の力作に共通している要素であり項目かも知れません。 基本的に、サスペンス&ミステリー風味の作品なので、何を言ってもネタバレに繋がってしまい感想が書き難いのですが、別にネタバレ書いても読み手には何のネタバレにもなっていない様な作りにもなっています。要するに答えを用意していない作品であるからです。 “答え”というのは“テーマ”でも“メッセージ”と置き換えて貰っても良いのですが、珍しくもテーマもメッセージもない問題作なのです。 だからと言って、決して空っぽの映画ではなく、非常に濃い密度の作品でもある訳です。なので鑑賞後モヤモヤとしてしまうのです。 モチーフ的には『ある男』に通じる作品で、物語的には主人公「市子」とは一体何者だったのか?を探す旅という部分では同様でした。 しかし過去が明らかになったとしても、結局彼女がその状況下でどのように性格形成されたのかは他の登場人物にも観客にも理解できないし、その行動について(神目線もなく)肯定も否定もせず観客に委ねられるのは、多くの観客にとってはしんどい(というより答えのない)宿題を突き出された気分になるのです。 ナポレオンのキャッチコピーが「英雄か、悪魔か」で、本作のコピーは「本当の彼女を誰も知らない」ってなっていましたが、こちらは「天使と、悪魔と」で良いのでは…
杉咲花の杉咲花のための杉咲花による映画。
テーマは重い。がしかし絶望が支配してはいない。確かに周りの多くが不幸になるかもしれない。不幸が市子を支配し市子は周りを不幸にするかもしれぬが、それでも市子は生き抜いていく。市子の特殊な特性により物語は推進されるが、それでもこの映画、重い映画にありがちな性や暴力はほぼ前面に出ない・・むしろ不幸の中に降り注ぐ市子への一条の光にこそ、そこにフォーカスされる点がこの映画を救っている。そしてこの救いこそが実は現実にこの世界の見えぬところで起こっている真の人々の不幸が、重いテーマとなって観る者にのしかかってくる。それを見事に提示してくれた眞に静かな作品といえよう。主演が杉咲花でなければこの映画は成立しなかったであろう。
色んな問題が詰め込まれてて、誰も幸せにならなくて観てるの辛い。 低...
色んな問題が詰め込まれてて、誰も幸せにならなくて観てるの辛い。 低所得者に七万円配るの頭ごなしに反対してる人。これ観ても、やっぱり低所得者は怠惰な生活送ってるって思うのかな。 誰でも生まれた時から、平等に幸せになる権利が与えられてること、覚えておきたい。 あの結末になる前に行政の助けとか得られなかったの悔しいな。本当に助けなきゃいけない人達やろ。知らん顔せず目凝らして見ろよ、政治家たち! 原付乗る時はヘルメットのベルトせな意味ないでー。
花ちゃん大人になったね。
杉咲花演じる市子が、突然いなくなる。プロポーズされて嬉しそうだったのになぜ?それから始まる市子探しと、過去の話。小さい頃や学生時代に学生やめてから。苦手な時間の行ったり来たり。過去に戻る時は表示されるが現在に戻る時は、えっ!?の繰り返し。最初に、あれ?って思ったのは初めて月子が出てきた時、この子市子じゃなかったっけ?自分の目が悪いのかと思ったら、あらそうだったのね。それにしても学生時代は自分の真実を隠し続ける嘘つき女子なのにモテまくり。それだけ気遣いをしてたって事なのかな。とにかく市子の事が可哀想で、ずっとウルウルしてました。大人になった同級生の男子も一生懸命探してくれる。なんで?ずっと惚れっぱなしってことかな?そりゃ無いよな。えっ!そこにいたの?でもまた逃げた?良い子の市子、殺人犯だったの?色んな事がハッキリしないでモヤモヤ。ラストはオチ無し? この話、もう少し法律とのやりとりが欲しかったな。だって現実にこんな人いるでしょ。自分も巻き込まれるかもしれないんだもん。結構重い流れで、市子はほとんど喋らない。けど周囲の人達の優しさに共感。かなり楽しめました。
ひた隠すにも
三年同棲した彼女に結婚申し込んだら翌日失踪 なんとか会いたいと、かすかな痕跡を辿りたどる中で見えてきたその半生の輪郭 追い込まれた社会の隘路で積みかさなっていく、あとには引けないいろんな出来事、誰にも語らず誰にも悟られず ひた隠すにもほどがある
俳優陣の演技が光るも評価が難しい
杉咲花は裏を抱える複雑な役、若葉竜也は素直でまっすぐな役。それぞれの演技が印象的で堪能できた。 物語はミステリーとして、回想と周囲の人々から、謎が明かされていく形だが、それ自体は目新しくもないし、真相も途中で想像がつくもので、驚きはなかった。 むしろ、そこにいたる経緯までの登場人物の心情が良く表されていたと思うし、俳優陣はしっかり、そこに答えていた。 ただ、自分の好みの問題なのか、表現がオーバーだったり、妙に狙いすぎてセンチメンタルにしたり、共感できない部分が多かったのも事実だった。 タイトル、ポスター、作品の中での一貫性と世界観はとても良かった。 2023年劇場鑑賞112本目
明日、自分がどこにいるかも分からないとしたらどんな希望があるのだろう
映画館告知で少し見てフライヤーのインパクト強く気になったので鑑賞しました 全体的に暗くジメジメっとしたたまにある暗い邦画と思いますが最後までドキドキしました 物語は平坦に進んでいきますが… 説明しすぎないところが良くてプロファイリング的に過去に関わりがあった人の名前だして過去と現在を転換したのが入ってきやすかったです テーマとしては重いしすぐ解決できるわけではなくヤキモキした気分で映画館を後にしましたがこれはこれで好きなんですよね〜 杉咲花さんのミステリアス感出すの凄いですよね 直近の法廷遊戯でも思いましたが😤 これでもか!ってくらい市子は過去でも現在でも黒い服着てたけどどんな意味合いだったんだろう… 嘘や隠し事が強いほど黒い服になるんかなぁ… でもそうだとしたら長谷川と写真撮ったとき市子が白い服で長谷川が黒い服だったんだよなぁ… 最後のシーンは不気味だけどそれが良かったです😀
「砂の器」の現代版、今年見た映画の中では最高傑作です
今年見た映画の中では最高傑作です。 笑いがない、勧善懲悪でない、救いを入れない、重たいテーマなのに主張していない、 かつて見た「砂の器」を彷彿させます。 見事な場面は2つ まず、殺人シーン、殺す方、殺される方の目の表情がすごい、殺す方の目の表情は「2001年宇宙の旅」のHAL9000と同じ、その後の「市子、ありがとう」の言葉が秀逸 次にラスト「結局、どうなったのだろう」と言うところをあえて描かないところがすごい。「あとは見た人が想像しろ、たぶん、そのとおりだ」と監督が言っているような気がしました。 時系列が頻繁に前後するので、映画館でじっくり見ないと分からなくなってしまいます。その意味では、映画らしい映画だと思っています。 他のレビューでも触れられておりますが、杉咲花さんの演技がすばらしい。
杉咲花の演技力
ほぼBGMも無く、重たい話が続きます。 出演者の皆さんの演技力に惹き付けられました。 特に杉咲花さん、凄い役者さんですね。 最低でも4人殺してるシリアルキラーを淡々と演じてますが、全然違和感感じませんでした。
粗はあっても演技で持って行く力技
杉咲花という女優は、結構小さいときからテレビで見ていた記憶がある。子役あがりとまではいかないけど、それに近い印象。だから、大人の女性として恋したりセックスする役柄を演じているのを観ると複雑な気持ちになる。娘が(いたら)彼氏といちゃついているのを見てしまったときにこんな感情になるのかもしれない。 本作ではプロポーズされた翌日に失踪する市子を演じている彼女。穏やかな話し方で家庭的だった印象が、過去のエピソードとともに徐々に塗り替えられていく。なかなか壮絶な人生。でも、周りに振り回されながらも自分の人生を生きようとする姿がとても清々しかった。たとえ許されないことをしていたとしても。杉咲花だから醸し出せる雰囲気かもしれない。北くんのように魅了されて人生を狂わされてしまうのも少しだけわかってしまった。 杉咲花だけでなく、他の俳優たちもとても上手なので、あの世界観につい引き込まれてしまった。自分があの世界で疑似体験している気分。刑事が聞き込みに一般人(しかも重要参考人の恋人)を連れて行くわけがないといった脚本上の粗があったことはたしか。でも、そこまで嫌悪感を覚えるものではなかった。元々は芝居の脚本なら、そんな展開もあり得るかと妙に納得する。ただというか、だからというか、スッキリする終わり方ではない。観る者の判断に委ねる部分もかなりある。とてもつらいことが待ち受けている予感はあるが、市子の未来に少しでも幸せがあればと願うだけだ。こんなことを感じてしまうのだから完全に世界観に浸っている証拠。 杉咲花の女優としての凄みを存分に感じることのできる本作。確実に彼女の代表作の一つになるばだ。
果たして市子は悪魔なのか
つい最近たまたま市子のような人たちの記事を読んだばかりで、なんとなく途中で市子の境遇が想像出来たので、あまり衝撃的でなはかった。 だけどこれまでの市子の人生は、なかなか過酷だった。 月子を見下ろす市子と、市子を見上げる月子。おそらく衝動的ではない姉妹の覚悟のような視線。 そして、その後の『市子ありがとう』はぎゅっとなった。市子もお母さんもしんどかったんだなぁ。 逃げる市子と、市子の人生を辿る長谷川君、なんかずっとイラついてるように見える北君。それぞれまっすぐなのに、どこか不安定。 演じる3人は若いけどキャリアは長いから、安定感があって良かった。 ラストで市子と北君が、どういうやりとりがあったのか気になる。
市子とは
想像していた以上に壮絶で生々しい1人の人間の人生の一部を垣間見たようだった。 市子は1日1日をどんな思いで生きていたのか。 彼女の笑顔と涙が頭から離れない。 笑顔と涙の裏側にはいったいどれほどの葛藤や孤独、苦しみがあったのだろうか。 当たり前に存在するものが当たり前ではなく、細やかな幸せが細やかではないのだということ、忘れてはいけないなと思う。 最後まで市子という人物が掴めなかった。 けれどその掴めなさこそが、人間の真の姿なのかもしれない。市子という人物、市子の人生について、想像することはいくらでもできるけれど、きっと想像には及ばない。 他人から目に見えるものなんてきっとほんの一部で、それさえも正しいといえるのだろうか。この人はこうだ、こうに違いないと想像することはいくらでもできるが、他人が簡単に決めつけて言い表わしてしまっても良いのだろうか。 きっとこの世界には、まだまだ自分の想像も及ばないような人間がいて、物事があるのだろうと思う。 杉咲花さん素晴らしかったです。圧巻でした。 市子は誰よりも力強く確かにそこに生きていました。
映画.COM 等での評価が高いので鑑賞しました。
市子は「ただ幸せになりたい」だけなのに、 日本の!"戸籍制度" から、産まれた闇の中で、彼女は生きる為に もがき、苦しむ。 年齢を感じさせない 杉咲花さんの演技力と存在感が素晴らしく 本作は彼女の良さを最大限に引き出せた映画となった。 <主演賞> 撮影、脚本も素晴らしく、鑑賞者を 素直に推理させず、翻弄させる小ワザも多く埋め込んでいる脚本は傑作だ。 その脚本で、映画の最後は「ありがとう」と、結んだ。<脚本賞> 観客に臨場感を与える為に、撮影は ほぼ全部 三脚を使わずにハンド撮影 演出された微妙さは絶妙だった。<撮影賞> 印象的なのは序盤にある"トンネルのシーン"だ。 このカットこそが この映画を投影する 全てだった。 また、学生時の雨のシーンでのことば「みんな、流れてしまえ」と、彼女が口付ざさむ“虹になる曲(題名わからず)”は、彼女の中の深層心理を うまく表現できていると、思います。 この映画を観たら、「ある男(2022)」を観るといいでしょう。
思ったほどでもなかった
時間の流れに従って進行する映画ではなく、たびたび場面が逆〔さか〕のぼり、登場人物も単発で登場する。しかし、映画の内容は把握できるように制作されている。 ただ、内容は期待していたほどでもなかった。この映画に対する評価は人それぞれだろうが、私としては、市子の生い立ちを考慮しても、彼女は自らの課題や責任に向き合うことなく、逃げ回っている臆病者としか受け止めることができなかった。 何をこの映画は訴えたかったのか?〔※戸田監督は社会問題を提起し、「映画の結末は読者に預ける」と言っている・・・・〕それが伝わってこない。
悪魔のような女?
「法廷遊戯」のときにも感じましたが、杉咲花さんの存在感が圧倒的でした。特に今回のように謎めいた役柄の場合は殊更に。小悪魔でもないし、絶世の美女でもないし、清純派でもない。あらゆるカテゴライズを拒むかのような、唯一無二の女優さんだと思います。
「長谷川さんこれ誰なんですか?」「市子です。」「そりゃどうも。存在せえへんのですよ。」
訳あって、なりすます物語。最近だと「ある男」とかと同類の物語。共通するのは、なりすました人間が悲しいサガを抱えていること。自分自身では抗えない人生を生きてきたこと。そして、そんななかでも幸いなのは、わずかでも味方になってくれる人間がいたこと。そして、残念なことに、なりすました人間は結局幸せをつかむことができないこと。 「みそ汁の匂い。幸せそうな匂い。憧れの匂い。」 「うちな、花火好き。」 「嫌いな人おらんで。」 「でもな、みんなが上見てるとき、うち安心すんねん。」 「最高や。全部流れてしまえ。」 なりすましと分かったうえで頭から見ていれば、市子のひとつひとつのセリフが全部フラグになっている。初めから人生を諦めてる市子のテンションは終始低く、ときに夢を見る気持ちが芽生えたときに見せる笑顔が反動で切なく見える。その絶妙な熱量を杉咲花が好演している。長谷川役の若葉竜也もよい。二人ツーショットの写真が飾られている本棚には、サニーデイのCD。そのセンスがまた、いい。 ただ、北君と自殺志願(?)の女はなぜああいうことに?市子がそうしたのか?もしくは、市子を守るために二人がその行為を選んだのか?それによっては市子に対するこちらの気持ちはずいぶんと変わってくるな。 ふと思う。世の中、これだけの人が生きている。例えば年間自殺者の数はかつては3万人といわれた(近年は若干減少したようだが)。そこに意識が行きそうだが、じつは失踪者の数においては8万人ちかい。その8万人がすべて自分の意思で消えたわけではないだろう。何人か、いや何割かはこれと似た状況での失踪(市子だけでなく、北君や自殺志願者含めて)であると思えなくもないな。
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