劇場公開日 2023年12月8日

「杉咲花の杉咲花のための杉咲花による映画。」市子 mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5杉咲花の杉咲花のための杉咲花による映画。

2023年12月17日
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鑑賞方法:映画館

テーマは重い。がしかし絶望が支配してはいない。確かに周りの多くが不幸になるかもしれない。不幸が市子を支配し市子は周りを不幸にするかもしれぬが、それでも市子は生き抜いていく。市子の特殊な特性により物語は推進されるが、それでもこの映画、重い映画にありがちな性や暴力はほぼ前面に出ない・・むしろ不幸の中に降り注ぐ市子への一条の光にこそ、そこにフォーカスされる点がこの映画を救っている。そしてこの救いこそが実は現実にこの世界の見えぬところで起こっている真の人々の不幸が、重いテーマとなって観る者にのしかかってくる。それを見事に提示してくれた眞に静かな作品といえよう。主演が杉咲花でなければこの映画は成立しなかったであろう。

mark108hello