市子のレビュー・感想・評価
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お祭りの焼きそば、妻も好きです。
こういう日本映画は、本当に苦手だ。重いテーマに対するリアルさがしんどい。この作品を観て思うのは、人には出生や家族、自身の闇などパンドラの箱が存在していて、この扉を開けられるのが映画なんだ、と気付かされた。
だからこそ、しかるべき役者だけが通る道なのかも。今回もその演技の凄まじさに感服した。
シーンに応じて適確に演じ分ける行き過ぎのない杉咲花の演技には、ぐーっと見入ってしまうほど。
?だった人必見
杉咲花ちゃんの朝ドラとか全く知らなくて初めて演技を見ましたがこんなに演技上手い女優さん居たんだ!ってビックリでしたよ(色々調べたら監督が直接指名で手紙まで書いてるんだけど納得)杉咲花の演技力が驚異的で泣きの演技のバリエーションだけで何パターン出来るのよ?(悲しい涙や嬉しい涙や感謝の涙などが全て完璧に演じられていてビックリ)って驚愕でした。
そこに関して更に言わせてもらうと喜怒哀楽の喜怒がほとんど無い演技の中で色んな感情を表現しているんですがそれが実に上手くて言葉以上に表情で語っている場面も多く演技が上手いとか凄いとかの次元を超えていて憑依タイプの役者なのがモロにわかるような演技してましたよ!
あと時系列がバラバラなので多少分かり辛いですが元々は舞台劇だったのを映画にしたらしいんですが舞台劇感が全く無くて入念に作り込まれたよく出来た素晴らしい作品だと思います(映画なのに舞台のように大袈裟に演技して声張って違和感だらけの会話をしてセリフで全部説明するふざけた映画もあるのでこういう作品を見ると本当に凄いって心の底から思えます)
あと杉咲花って28歳の設定でそのまま学生の頃の役も本人がやってるけど良い意味で年齢不詳感あって違和感無いし映画の設定でも年齢詐称してるってのが変にリアルで人選が素晴らしいなあって思いました(ここまで完璧に演じる事が出来る表現の神みたいな役者に自分の作品の主演してもらえるとか監督としてはその時点で勝ち戦なんですが演出や監督のやり方次第では役者の演技力を殺す可能性もあるのにそのポテンシャルを400パーセント引き出したのは監督と杉咲花の市子の人物像についての話し合いが上手くいってた証拠ですし実際に杉咲花は監督との話し合いの時に市子がどんな人生を歩んだのかって言う映画では無かった部分まで書いてある年表を渡されたってインタビューで言ってました)
あと更にインタビューの話になるんですが演じる時に市子になるのを意識して頑張ろうとするんだけど実際の市子がそんな事を思って生活してる訳じゃないからそこの演じ方って部分が難しいとか自分の想像などを超えてる領域の演技をしたシーンもあったとか言っていて演技に対する意識の高さが伺えました!
あとずーっとすっぴんで(すっぴんで暗い表情に見せるようなメイクなのかも)静かにしてるだけなのに男子が思わず虜になるような雰囲気も醸し出されていて監督次第では男を惑わす悪のビッチにもなりかねないキャラなのにめちゃくちゃ抑えた演技で魅了していくとか演技の鬼ですね!
しかし無戸籍や自殺したい人を助ける自殺ほう助などの問題もテーマにありつつそこが内容のメインじゃなくてあくまで市子の過去に何があったのかがメインの作りなんですよね〜
市子が妹の月子として生活する事で3歳年下の妹の年齢で生活していたという設定も実は市子と関わった人たちのシーンで同じくらいの年齢なのにめちゃくちゃ力が強かったとか言っていたりして整合性もちゃんと取れているのも2回目の鑑賞から気づくポイントだったりするのも凄いと思います。
あと若葉さんも抑えた演技ながら良い感じでしたし(プロポーズの後に市子が失踪して結局市子に最後まで会えないまま映画が終わってるのもビックリ!ここも長谷川が最後に市子に会って話をするシーンを普通は入れると思うので)この監督さんの静かでセリフで多く語らないし激しいシーンも特に無いのに市子の人物像がジワジワ明らかになる過程の描き方が上手いので飽きるシーンが一切無い作り方って凄いとおもいました。
ここが1番凄かった部分で最初と最後に同じシーンがあり(厳密に言うと同じでは無い)童話の虹を鼻歌で歌うシーンと結婚を申し込まれて泣くシーンがあるんですが、同じシーンなのに最初と最後で観ているこちらが全く違う感情で見る事になる構成になっていて(最初にプロポーズされて泣いてるのを見ても市子の真相を知らないから単純に嬉しくて泣いてるとしか思わない)最後に全ての真相を知ってから見ると結婚を申し込まれた時の涙の意味が全く違う見え方になるのは見事だしあの鼻歌の童話すら2度と楽しい気分や普通の感情で聴けなくなるように仕掛けられていて監督天才かよっておもいましたよ。(更に言うと2回目の鑑賞だと最初のプロポーズされて市子が泣くシーンの意味とか色々分かった上で見てるので最初から号泣間違い無しですよ!)
ラストの最初に出会って焼きそばを食べるシーンからの今までの幸せだった生活を見せつつ感謝の涙を流しながら2人で撮った写真見て終わるエンディングは控えめに言って超完璧なラストシーンだったと思います(アフターサンと市子のラストに関しては余韻を残す終わらせ方が上手過ぎて過去数年の作品でもここまで見事なオチって自分の見てる作品では無いです)
あと市子は連続殺人犯で警察に自首するつもりも無いしサイコパスな面もあるんですがその部分を一切映像で映さないし最後の自殺志願者の女子に戸籍を持って来させて自分のこれからの新しい名前を入手しつつストーカー男の所に行かせた後に電話で一緒に海に呼び出ししてまとめて2人死ぬ事になるんだけどここの部分が市子が北君に手をかけて心中と思わせる擬装なのか北君の自分にしか市子を守れ無いっていう強迫観念を利用して言葉巧みに市子がこのあと戸籍を入手して逃亡出来るよう助ける為に自殺志願の女と死ぬように仕向けて北君も自殺志願の女と一緒に死ぬように誘導した可能性が高い事にコメント下さった方の意見で恐らくそれだろうなあって事で腑に落ちましたがそのシーンが一切無いのは面白いと思いました!(絶対このシーン普通ならあると思いますが無くて正解だと思います、2人が死ぬ場面が無くてニュースの場面のみでの説明なのでここがわからない人も多いんですが確信犯ですね、そこを描くくらい親切作品にするつもりだったらそもそも時系列をバラバラにしないだろうし普通に連続殺人犯が逃亡生活するサイコサスペンスとして公開されてますから)
あと市子の見た目が今の状態で月子を介護していて殺すってシーンがあるんですが市子は小さい頃から月子って名乗っていたのなんで?って考えて矛盾するよなとか考えたらあの月子を殺す場面の月子がやたら幼なかったよあって所で気づいて、あの月子を殺すシーンは今の市子の脳内での再現シーンで実際市子が殺した場面はもう少し若いはずだと思うんですが 学生時代の場面も杉咲花が演じているので不自然では無いですね!
難しくは無いけどあえて説明を省いた考察ありきの内容なので評価が分かれるでしょう。
それとストーカー君が市子の家の中を覗いているシーンで中での会話が絶妙に聞こえなくて後半は比較的聞き取れるんだけどあのシーンでストーカー君と同じ状態を疑似体験させる演出も面白いと思いました!
しかし普通に人の戸籍を奪いつつ逃亡する連続殺人鬼が出てくるサイコサスペンスな内容のはずなのにそこの映像を省いて表面上は感動の人間ドラマっぽく演出する発想も自分的には超絶に最高でした。
長谷川が結婚してくれと言い出すまでが一緒にいるタイムリミットだって言うのが重大ポイントになっていて結婚を申し込まれて逃亡するまでは今まで出来なかった人並みの普通の生活が出来て幸せだった事を思い出しながらの市子のラストの涙には完全にノックアウトされました。
余韻と精神的ダメージが凄まじくてその後一切なにもする気にならなくて(ベタ褒めしてます笑)
クリスマスイブなのに真っ直ぐ家に帰って感想書いてるって次第です。
市子のような考察作品は評論家でも意見がハッキリ別れて説明不足でオチもモヤっとするし時系列もわかりずらいので だからなに? 自分が考え無いとダメなの? で?ってなりがちではありますね、だから高評価と低評価が極端になって普通の割合が低くなる傾向あるんですが正に市子はそのパターンで刺さる人にはヤバイくらい刺さるんだけどピンと来ない人にはゴミクズ作品で今年のワースト候補くらい嫌われますからね!更に言うと完全に善で可哀想な被害者では無いから主役に感情移入するタイプの人は面白いって言う訳無いので(感情移入した上で良かったとか言ったら単なる犯罪者の思考ですから)
あとこれ伏線の部分全部気づいてる人ってほとんど居ないと思うし分からないと面白く無いからかなりリスクのある作りだと思います!
市子の杉咲花の演技には衝撃を受けて今後の作品はドラマも含めて全作品無条件で絶対に観る誓いを立てるくらい影響された作品になりました(衝撃度でいうとセブン、オールドボーイ、ミスト、愛アムールくらいの衝撃受けました!!!結局自分はガツンと強烈なパンチを喰らうような作品が映画を見る上で1番求めるモノなので最上級の映画体験できましたよ。)
余談ですが市子の監督が落下の解剖学をべた褒めしていてこの監督なら落下の解剖学大好物だろうなあって言うのがめちゃくちゃ理解できます。
思った通りの彼女の独り舞台⁈
この作品は期待をかなりしていたが…。
予想通り?と言うか,思っていた通りの?私的には彼女の独り舞台という気がしてならなかった⁈
[他に誰が出演していたかを思い出せない程?]
女性という分類に区分けしちゃうと、話題になる様な目立つ作品と云(イ)うとどうも露出系,風俗系(肉体系)になる作品が多い様に想われるが、
<決してそんな事はない‼︎そんな事言おうモノならば、女性皆を敵に廻(マワ)し兼ねない発言だったと思い直し,後から訂正(テイセイ)する文章を書き足した次第で有ります>コレはあくまでも<私自身が勝手に話題になり易(ヤス)い女性の一例として,書き込んでいた事がとんでもない発言をしちゃっていました,失礼致(イタ)しました🙇。>
非常に話が逸(ソ)れちゃいました。
杉咲花の巧(タク)み?な話術に?作品の面白味を感じ取れたなんて処(トコロ)かな⁈
杉咲花の熱演は見事だが・・・
市子に突き動かされた映画
この映画の市子を徹底的に描く姿勢が素晴らしかった。多分この映画は市子に突き動かされて作られた映画なんだなと伝わってきた。
市子の時には観客に寄り添って時には突き放して、同化と異化のバランスが絶妙すぎる。杉咲花が今までの杉咲花じゃないのは皆が感じたことだと思う。弱々しさとその裏にある魔性とが表情に現れてて恐ろしかった。
また観客のオリジナル脚本(元々戯曲)にも関わらず、しっかりとしたミステリ展開で映画自体の掴みも強いし、映像だったり物語だったりのトリックも良かった。
映画自体のコンセプトだったり市子の魔性さだったりは好きだけど、
最後の展開含めてストーリーの華のために映画全体の人間描写のクオリティが下がっているように思う。
筋ジストロフィーというシリアスな病気を、このストーリーの為に道具として利用した様にも感じられる。もう少しその点を説明しないと配慮やリアリティが欠けてしまう。
お母さんの「ありがとう」というセリフは自分には違和感だった。なんか当事者のリアルと言うより外側から見た演出のような感じがした。
またこの映画は万人向けの王道を捨ているだけあって、最後の回想シーンは違和感。
ただやっぱり市子を映画で描ききったのは本当に凄い。
市子ってなんだ
杉咲花さんの素晴らしい芝居を見るだけで、鑑賞する価値があった。
市子は存在しない。そこから彼女を探すミステリーが始まるのだが、冒頭、婚姻届を若葉さんが、杉咲さんに渡すシーン終盤にリフレインされる訳だが、意味が変わって見える点、グッときました。
酷い生い立ちで戸籍もない、不幸を詰め込んだ映画で、それを解決する、結婚する方法ってなかったのかなぁ。やるせない最後。僕は苦手です。映画の作りは良かったです。
市子は幸せを実感できた。人は再生できるのか。
「逃げたのは彼を信じられなかったから」なんて言いたくない。次元が違う。あー、、、あんまり深入りしたくないテーマ。できれば目を背けていたい。だって…まー良いか。「花は好き。水を遣れば枯れないから。」枯れてしまった市子。普通なら空っぽな自分を抱えて、薬物やら自傷やら性的逸脱やら、行き着くとこまで行ってもおかしくない。そこに幸せという文字は存在しない。てかそれが普通?と思ってしまう自分の感覚がもう少しアレなのかもなー。でも素直で優しい市子が、真正面から現実を受け止めて、ここまで壊れなく居られるのは凄い。家族との幸せな時間が彼女の原体験として支えになってるからなのだろうか。今は何が幸せか分かりにくくなっている時代だなと感じるけど、ささやかな自分の人生、間違って無かったなとしみじみ感じました。
タフでハードなものがたり
涙の理由
●追記(12月23日)(アプソさんのレビューを読み、返信したことを補足し)と、前後の入れ替えをしてわかりにくさを整理しました。(12月26日)
●追記(1月8日)反逆についての補足、修正済み
市子はあそこまで過酷な人生を経て
自分の幸せを諦めながらも生きることを選ぶ。
その強さはどこからくるのか。
それは幼少期からの自分の存在を認め救済するための精神的な行為で、大人になった自分にしかできないことを知っているからなのか。
市子の諦めは無言の享受ではなく、自分自身の過去への反逆の糧として確かに息づいていたのだと思う。
(反逆というと、あまりに乱暴な仕返しのようだし、市子の罪から考えてそこに結びついてしまうかもしれないのですが、私の思う市子の反逆とは、精神的なバランスをとるために本能的に自分を保つための思考のはたらきみたいなことをイメージした言葉です。市子の場合はどうにもできなかった幼少期のかなしみやつらさの記憶を大人になっていきながら違う感情で塗り替えることが生きていく意味だったのではないかと。楽しさと辛さの両方の記憶にあるケーキ屋さんの仕事の誘いに応じたのもそのひとつ。辛さで終わったものを塗り替える行為だったのではないだろうか
?)
あのままおだやかな時間が続くならどんなに良かっただろう。
しずかに寄り添う人の嘘のない笑顔と言葉への
素直な喜びがあるのに、変えられない出自と消えない過去が市子の頬に大粒のかなしみをつたわす
抱きしめられるほど砕け散る繊細なガラスは
眩しすぎる時間をまた逃がす
胸の奥を突き刺す切なさが
味噌汁のしあわせそうなにおいも
浴衣や祭りの華やぎも憧れのままにする
海辺で口ずさむあの日の母と同じ鼻うたが
ぽつりぽつりと乾いた道に転がり落ちていく
本当はみつけてほしい落とし物なのだ
明るいほど濃く写る影もいつか離れて行くように
彼女は
彼女を知らないところへ
遠ざかる
ーーーーーー
市子に息吹を与える杉咲さん。
その憑依で表す心情、背景から目が離せない。
犯罪は許されるものではないが
平和な日常に麻痺した心ほどこの重みに押されつけられ不思議な感覚でえぐられるものがあるかも知れない。
念仏
余韻がしっかり残る映画だった。 暑い夏の日、ザラザラとした感情や違...
2人ではなく、きっと3人なんだと思う。
太陽の下汗ばみながら鼻唄を口ずさんでいるのは、一体誰なのか。
私の苦手な時間軸が行ったり来たりするパターンで、あれ?これ何歳なん?なんかおかしくないか、ってなりながらの前半。市子の秘密を知ってからはこの苦しい物語をどう締め括るんだろうと思いながらクライマックスへ。これは切なすぎる。お母さん、色々あったで片付けないでよ、あなたが悪いよ。本当に母親を張り倒してやりたい気分になった。
自分ではどうしようもできなかった市子がそれでも自分自身として生きると決めた。与えられなかった人生と与えられたはずの人生の狭間でもがきながら。杉咲花が普段のほんわかしたかわいらしい一面を封印し何者にもなれない一人の女性を見事に体現しています。
そして市子を支えようと奔走する二人の男性。長谷川はあくまでストーリーテラーのような存在でむしろ重要なのは北。彼には市子と関わった全てで違う選択をしてほしかったな。
法律の不備よりもダメ母親の元に生まれた姉妹の悲劇
どうする市子、どうなる?
なかなかな重たさ
3年間一緒に暮らした恋人からプロポーズされた市子は突然姿を消してしまう。
そこから市子の過去がどんどん浮き彫りにされていくのだが、市子の幼少期からかなりヘビー。
家庭環境の悪さが育ちを悪くしてしまったのかと思ったが、そんな生易しいものではなかった。
市子として生きられなかったのには凄まじく不運な背景があり、胸が押し潰されそうになった。
そうか。長谷川にプロポーズされたのは 心から、本当に、嬉しかっただろう。それなのに、ちゃんと働くことも出来ず、病院にも行けない市子に、1枚の婚姻届。何とも辛く悲しかっただろう。
冒頭の市子の涙と最後の市子の涙は同じだが、市子のそれまでの壮絶な人生を知った後では、ものすごくその意味が重く揺さぶられた。
最後 ニュースで伝えられた海に落ちた車の男女はどういう事だったんだろう。
市子を守るために北が北見と心中したということにしたのだろうか。エンドロールで聞こえて来た関西弁は誰のものだったのかな?
最後いろいろと謎が残ったのだけれども、観る人に委ねる系なのだろうか。
子役も含めて個性派俳優が勢揃いという感じで、しっかり心に残った作品。
ある女
話題になっていたので、観に行こうと思いましたが満員御礼なくらい人がいたので、なんとかタイミングを見つけての鑑賞。
友人から聞いてた通り、「ある男」と似たようなテーマを扱っており、あちらもそこまでハマりませんでしたが説得性は「ある男」の方があり、比べるとこちらの方が映画として見劣るかなと思いました。
なんだか人尋ねの様子がドキュメンタリーの様に思えてしまい、映画的なメリハリが失われていたのも残念だなと思いました。演技も舞台と映画と異種のものが同じ空間にいて、それがうまく噛み合っていなかったのも違和感を感じる要因でした。
市子と関わってきた人物のほとんどが大変な未来を迎えており、現代的な問題を多く抱えているのはフィクションとはいえどやり過ぎだよなぁと思ってしまいました。
まだ普通に過ごしている北くんも市子のストーカー的なポジションも、好意を持っているくらいで抑えられなかったのかなと思いましたし、自殺願望の子は物語に必要だったのかとも思ってしまいました。
関わる人物が多いせいか、一つ一つのシーンが作業的に進められており、テンポがいいと思うのとは裏腹に雑だなと思ってしまったのが惜しかったです。
市子の身勝手さ、ホラ吹きな感じは普通になりたいという願望から生まれたもう1人の自分だろうなと思いましたが、身勝手さが先行して感情移入できず、それでいて逆の意味で凄いと思えなかったのも残念だなと思いました。
杉咲花さんが今作では素晴らしい活躍をされていました。心ここに在らずな女性を見事に演じ切っていましたし、観客を見つめる黒目がこれはこれは大きくて吸い込まれてしまいました。
普通の人生を生きたい女性が、普通の人生を過ごす女性になり変わって過ごすというテーマ自体は良かったですし、杉咲さんの演技には惹き込まれましたが、映画として面白かったかと聞かれると微妙な作品だなと思いました。驚きのあった「ある男」とはまた違う切り口で終わらせるのかと思いきや、中盤で明らかになってしまって消化不良だったのも残念でした。
元々が舞台スタートな作品という事で、舞台版を観たら印象も変わるのかななんて考えたりしてしまいました。
エンドロールでの鼻歌、良い味を出していました。
鑑賞日 12/19
かわいそうだった
貧困かつ無戸籍で、ヤングケアラーでもあり、最終的には4人の死に関わっている市子、気の毒ではあるけど手を差し伸べるとしたら相当な覚悟が必要で、距離をおきたいタイプだ。しかし美人なので好きになってくれる男性には不自由しない。見てくれが悪かったらなお悲惨だ。
児童相談所や福祉のお世話になれるレベルではないだろうか。親切な共産党系の弁護士さんなら無料でケアしてくれることもある。
北くんが、ベランダから部屋をのぞく場面がすごく面白い。臨場感がすごいし、結果的にことが起こるまで何もしないのがリアルだ。
高校時代の彼が団地についてきてドン引きする。若いし、子どもだし、そりゃそうなるでしょうね。男気を見せられても嘘くさい。
市子が長谷川くんと暮らし始めてすごく幸せそうで、ケーキ屋でバイトしていた時も表情が明るい。新聞配達の時は暗い。風邪もひいていた。
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