劇場公開日 2023年12月8日

「「無国籍児」となって育った川辺市子」市子 大岸弦さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「無国籍児」となって育った川辺市子

2023年12月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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市子
神戸市内にある映画館「シネ・リーブル神戸」にて鑑賞 2023年12月20日
パンフレット入手
戸田彬弘監督が自身の主宰する劇団チーズtheaterの旗揚げ公演として上演した舞台「川辺市子のために」を映画化。

おかっぱ頭の川辺市子は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則からプロポーズを受けた翌日に失踪。
途⽅に暮れる⻑⾕川の元に訪れたのは、市⼦を捜しているという刑事・後藤。後藤は長谷川の目の前に市子の写真を差し出し「この写真は誰なんでしょうか」と尋ねると、「あんたの知っている川辺市子って人間は、存在せえへんのですよ」と告げた。
長谷川は後藤と協力し市子を探す決意をする。
幼少期に同じ団地に住んでいた幼なじみのさつき、高校時代の北、市子が同じバイト先で一緒に下宿していた友人キキらの話で、市子に妹がいたことや、違う名前、年齢など偽っていたことを知る。
長谷川は市子が置いて行った鞄の底の一枚の写真を発見、裏に書かれた住所を訪ねると、失踪中であった市子の母なつみにたどり着く。
「300日問題」により「無国籍児」となって育った川辺市子。なつみは筋ジストロフィーを患った妹・月子の戸籍を市子に使わせていたことが判明。

300日問題とは、明治時代に制定され戦後も変わることがなかった日本の民法772条は、母が離婚後300日以内に生まれた子は遺伝的関係とは関係なく前夫の子と推定されると規定いている(嫡出推定)。このため生まれた子が前夫の子となることを避ける目的で出生届を提出せず、無国籍の子が生じている問題をいう。
2022年に法改正がなされ、2024年4月1日から施行される。
女性の再婚を100日間禁止していた規定はなくなるものの、離婚後300日規定は残る

パンフレットには「市子」年表があり、時系列になっていますが、長谷川から市子がプロポーズされる前まで。

あまりにも過酷な境遇で翻弄されてきた女性、市子であった。

なお、この映画を鑑賞した理由はかつて「市子」という女性とお付き合いをしていた。
なんとなく思い出してしまうのでした。元気にしているのかなならいいんだよ。

大岸弦