「悪とくくる安易さ」悪は存在しない DEPO LABOさんの映画レビュー(感想・評価)
悪とくくる安易さ
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自然を開拓して暮らしを営んできた町民と、利益優先のグランピング場建設を計画する都会人の明快な対立の中で、極めて理性的に振る舞う主人公。
町民と交渉しながらも、現状の生活に嫌気が差していた都会人一行は、主人公との交流を経て、田舎町での暮らしに感化されていく。
娘が行方不明となり、主人公の中に眠る独善的な思惑が、"自然"に実現する条件が整ったとき、それが実行されるお話。
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衝撃のラストについて個人的な感想。
異様なまでに娘の迎えの時間を忘れる、
娘の甘えより、環境を守る誓いのお絵描きを優先するといったあたりから、
主人公は妻なき今、心の底では娘を愛せていなかったのではないか?
と思いました。
自然の摂理によって起きた事故として、
娘を救わなかった目撃者を消し、
遭難の二次災害が起きてしまった悲劇として、
町民に語り継がれるように実行された。
娘が生還するか、都会の男が生還するか、
もしくは両者とも死ぬか。
それは自然の摂理に委ねた。
そんな独善的な行動の条件が整う瞬間を、
主人公は心のどこかで待ち続けていたのではないか。
そんな主人公の思惑がチラ見えしたときの、
ゾッっと感が忘れられない。
そこには主人公の抱える"弱さ"や"狡猾さ"、
自然を知り尽くした"賢さ"や"畏敬の念"もあるかもしれない。
それを単なる"悪意"とくくってしまうのは、
安易なのかもしれないと思いました。
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