DOGMAN ドッグマン

劇場公開日:2024年3月8日

DOGMAN ドッグマン

解説・あらすじ

「レオン」のリュック・ベッソンが実際の事件に着想を得て監督・脚本を手がけたバイオレンスアクション。

ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代。犬たちの存在に救われながら成長していく中で恋を経験し、世間になじもうとするも、人に裏切られて深く傷ついていく。犬たちの愛に何度も助けられてきた彼は、生きていくために犬たちとともに犯罪に手を染めるが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう。

「アンチヴァイラル」「ゲット・アウト」のケイレブ・ランドリー・ジョーンズが主演を務め、圧倒的な存在感でドッグマンを演じきった。共演は「フレッシュ」のジョージョー・T・ギッブス、「ザ・ベイ」のクリストファー・デナム。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

2023年製作/114分/PG12/フランス
原題または英題:Dogman
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年3月8日

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(C)Photo: Shanna Besson - 2023 - LBP - EuropaCorp - TF1 Films Production - All Rights Reserved.

映画レビュー

4.0 ベッソン、犬、そしてあの楽曲の組み合わせの妙

2024年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ベッソン新作と聞いても大して触手が反応しないほど、かつての勢いはすっかり霞んでしまったかに見える。だがこの久々の監督作には、プロデューサー目線の「プロットの面白さ」とは異なる、一時代前のベッソン監督作にあった「生き様」感がふたたび強く発露しているように思う。冒頭の箴言を地で行くように、幼少期のベッソンも犬以外とは言葉を交わさない子供だったとか。ならば主人公の人物像にもいくらか彼自身の内なるマグマが投影されているというのは言い過ぎだろうか。さながらアメコミ・ヴィランを主役に据えたかのような印象を受けつつ、犬との連携プレーを十二分に生かした小気味よいアクション場面には目を見張るものがあるし、やがてエディット・ピアフの楽曲が悠然と流れ出す頃にはベッソン作の新たな旗印と言うべき主演ケイレブの得体の知れぬ輝きがより深遠なものとなって迫ってくる。このユニークかつ豊かな組み合わせに思いのほか魅せられた。

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牛津厚信

4.0 聖俗の反転を象徴する主人公にケイレブ・ランドリー・ジョーンズの好配役

2024年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

GODの綴りを逆にするとDOGになるという言葉遊びは昔から知られさまざまな作品にも使われてきたが、本作では犬の檻に張られた「IN THE NAME OF GOD」の標語のスペルの一部が裏から見て「DOG MAN」になるショットで分かりやすく示されている。負け犬、権力の犬といった具合に犬は洋の東西を問わず卑俗なものの象徴とされがちだが、反転させると聖なる存在になる。社会の底辺で生きるダグラス・マンローにはほかにも、男性でありながら女装を好む、弱者でありながら犬たちを仲間のように操りギャングにも負けない強者になる、といった具合に属性の反転がいくつも重ねられている。

そんなダグ=ドッグマンに、繊細さと脆弱さ、純粋さと狂気を秘めたケイレブ・ランドリー・ジョーンズがまさに適役だ。狂気あるいは狂信の先にある聖性という点で、リュック・ベッソン監督はかつて「ジャンヌ・ダルク」でその生涯を描いた信念に殉ずる聖人を重ねたのかもしれない。その一方で、イタリア映画「幸福なラザロ」で描かれたような“聖なる愚者”を想起させもする。それにしてもベッソン監督、60代半ばにして新境地というか、新たな一面を見せてくれて嬉しいではないか。犬たちの名演技もほほえましい。

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高森郁哉

4.5 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ何者だ

2025年12月7日
iPhoneアプリから投稿

最初はポスターのビジュアルから「ジョーカー的な模倣感」を受け、宣伝会社の必死さが透けて見え、正直B級映画だろうと侮っていた。だが、冒頭からその予想は裏切られる。
あと、パルムドッグ賞とかあげなくていいのだろうか。

🕺ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
存在感に圧倒され、彼は一体何者なのかと惹き込まれてしまった。女性的でありながら狂気的、化け物のようでありながら繊細さを漂わせる。その得体の知れない雰囲気は、まさに唯一無二。

😈 人間の奇妙さ
主人公ダグラスは純粋で素直、理にかなった人物として描かれる。しかし突如として豹変する姿は、人間の愚かさを鮮烈に映し出す。犬は純粋で素直で愚かだが、人間もまた虚栄心や尊大さ、傲慢さに支配されている。では、犬と人間のどちらがより愚かなのかなのか。その愚かさに人間性を感じてしまったのも束の間、犬と人間どちらが人間的なのか。その問いが作品全体を貫いている。

🐕 犬の忠誠と欠点
犬たちがダグラスに忠実に従う姿は爽快であり、同時に切ない。犬の唯一の欠点は人間を信じてしまうこと。ダグラスを囲む犬たちの姿は、まるで彼をキリストとして拝んでいるかのようだ。幼少期に銃弾を受けて倒れた場面と、クライマックスの構図が重なることで、彼の人生は「迫害と救済」の円環を描いているように見える。

⛪️ キリストとの重なり
ダグラスは明らかにキリスト的な側面を持つ。
そして同時に「人間性」とは何かを突きつける。

1. 犬との無条件の愛と絆――犬はダグラスの信徒。

2. 社会から迫害される救済者としての構図。

3. 女装という異端的な自己表現。

これらを通じて
「人間が失った愛の形」
「犠牲によって人を救うことは人間性なのか」
「自分らしさを表すことは異端なのか」
という問いを投げかけている。

📖 詩的な台詞
物語に繰り返し登場するシェイクスピアの引用は、主人公の「本好き」を反映し、詩的な台詞として響く。一瞬「それはどういう意味?」と考え込ませる言葉は、ダグラスの異端性や奇妙さを強調し、キャラクターをより魅力的にしていた。結果として映画全体に統一感と洗練された雰囲気を与え、独特のおしゃれさを生み出していた。

🎞️総評
とてもおしゃれな映画だった。そして、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの存在感が凄まじい。声優も良い意味で奇妙さを出していた。
この作品は、ダグラスと犬の無条件の愛と絆が「人間性とは何か」を問いかけ、自分らしさが異端であることされ社会から迫害される矛盾を私たちに突きつける作品だった。
人間は最も残酷で愚かな動物であることは間違いない。

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れっどべるべっどケーキ

3.5 続編はCATWOMANはいかがでしょう。

2025年11月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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そろそろだな。