オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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最新の理論を形にしたら悪魔の兵器になった
難しいことはよくわからない。
その時代の超天才たちが最新の理論を実践して実験を成功させた。そのプロジェクトは実は国の威信をかけた、大金と大人数を投資して作られた兵器で、たった一個の爆弾で数万の人を一度に消せる、とんでもない代物だった。
研究者として最新の理論を全力で試せる方向が結果的に兵器を作ることになったこと。
最初から作りたかったものは兵器だったわけではない。と信じたい。良心と自分の理論とその実践の成功を見たいという気持ちの中で揺れ続けていた心は、人間らしさがあった、と信じたいのだ。
アカになりたかったわけではなく、その思想の中の一部に共感していたことからも、彼は常に自分がその時その考えが正しいとか共感できる、つまり自分が興味を持った思想やらなんやらを突き詰めて考えたい人だったんだろうなと思う。
この映画自体は、原爆を作った人たちの倫理観を問うというより、オッペンハイマーがどういう経緯で原爆を作って、成功までどれだけの紆余曲折があったか、という、天才物理学者が原爆という悪魔の作品を制作する過程を描いた物語、に見えた。
作り上げたものがうまく機能し、希望した結果を出せたのをみた時、研究者たちの喜びは実験の成功だけであったことを信じたい。
同時にこれは大量殺人兵器であることも彼らはもちろんわかっていたので、実際に使うことに対しての葛藤は見え隠れしていた。
そして次なる水爆に繋がる、学者としての次の大作への、止められない新しい理論への挑戦と好奇心も。
もし違う種類の天才であったなら、こういう葛藤も賞賛もない人生だったろうなぁ。
天才は羨ましい。
がしかし、天才であるが故にある意味その頭脳を利用され続けるのは、そしてそれが世のため人のためという大義名分のもとに兵器を作らされるのだとしたら、それは本当に苦しい生き方だろうと思う。
オッペンハイマー、すごかった。
日本人としては複雑な題材……でも、まずは観た上で論評してほしい
まぁ、被爆国日本としては、色々と複雑な感情を抱くのは仕方のない題材の映画であるのは事実
とは言え、実際観てもいないのにあーだこーだ言うのは一番ダメなことだと思ったので、180分という上映時間にビビりつつもしっかり腰を据えて観て来ることにしました
実際観て分かったのは、この映画が「原爆の父」と呼ばれたオッペンハイマーだけではなく、
ルイス・ストローズという人物についてを描いた映画でもあるということ
その人を見事に演じ挙げたダウニーJr.がアカデミー助演男優賞取ったのも納得
ただ、この人がどういう立場の人で、たびたび出てくる公聴会のシーンが、一体何を議題にしているのか、という点についての予備知識くらいはないと、ちょっとわかりづらい展開になってしまってますね。あまりその辺については説明してくれてないですし
私は観た後でネットでこの人調べたことで、「ああ、そういう事だったんだ……」と腑に落ちましたが、観てる最中は結構わかりづらかったかな
映画の本筋はあくまでオッペンハイマーの人生についてを描いている
原爆開発と、その後についての経緯をあくまで彼目線で描くことに集中した結果、
当初原爆の標的となるはずだったドイツや、そのあと実際に落とされた日本からの視点は完全に排除された形となっていますね
そのことで、「実際に被爆した広島・長崎がどうなったのかを作品の中に出さないのはヒドイ!」という意見もよく見かけましたが……
この映画をオッペンハイマーとストローズの二人の人間からの一人称、として描いた以上はそうなるよね、というのは、手法としては理解できました
あくまで彼らの視点から描いたのなら、実際に自分で見聞きしたわけではない現地の悲劇についてはああなってしまうのも已む無しではある、と
ただ、よくあるあらすじ紹介なんかだと、「実際に原爆が使用された後の惨状を知って、オッペンハイマーは水爆反対に変わった」と書いていますが……
本作内の描写ではそれは明らかに違いますよね
作中でオッペンハイマー自身が言っていますが、「科学者は理論から結果が予想できるから、どんなことが起こるか想像できる。だけど普通の人はそれが出来ないから、実際に事が起きてからでないと物事を理解できない」(大体の要約)
その言葉の通り、作中のオッペンハイマー自身は、原爆投下後の現地写真を見るより前の時点、原爆投下の知らせを受けたそのすぐ後の時点で、実際に人々がどのようにして死んでいったのかを概ね理解し、その光景を幻視しています
彼は原爆を使えばどうなるか理解していたうえで、
一度これを使い、その結果どうなるかを知れば、人々はもう二度とこれを使おうとは思わなくなるはずだ……という事に期待していた、というのがこの映画での描かれ方
しかし現実にはそうはならず、核開発はその後も続き、
かつて「核爆弾が爆発すれば、連鎖反応が止まらず大気にまで火がついて世界が滅ぶ」という結果としては間違えていたはずの計算と同じように、
最初の核爆弾の火を人類にもたらしたことで、連鎖的に核開発が加速し、世界を滅ぼしうるきっかけを作ってしまった……という事に苦悩するプロメテウスになってしまった……というのがこの映画内におけるオッペンハイマーに対する解釈
広島・長崎への原爆投下が成功して浮かれ騒ぐ人々の描写も、日本人からしたら「何笑ってんだよ……人が大勢死んだんだぞ」って思ってしまうけど、
少なくとも当時の一般的な米国民にとってはああ受け止められていた。立場の違いというのはそういうものなんだ、と受け止めないとキツイものはありますが、
オッペンハイマー自身や、陰で泣いたり嘔吐したりしている科学者たちの反応で、そこは緩和されているように思います
ちゃんと物事を理解できる人々にとっては、自分たちが何をしてしまったのか、その罪深さは自覚できていたのだ……という形で
全体としては、最初の原爆が開発されるまでの経緯と、その中心だった科学者のその後を描いた映画ではあるが、
決して核兵器肯定でも、それを産み出したオッペンハイマー礼賛でもなく、むしろ反核寄り
ただ単に「オッペンハイマーが主役ってだけでけしからん! ふざけんな!」って拒絶するだけの人には、ちゃんと観た上で物申してほしいと思う映画
そして政治的・感情的なお話とは別の、映画としての評価
まる3時間という長丁場にも関わらず、引き込まれる演出と映像・緩急の妙で、その長さを長いと感じさせないノーランの手腕は流石の一言
決して共感は出来ないが点は上げざるをえない。
正月に見直しましました、今回は吹き替えプラス字幕ありで。
やはりこの作品をちゃんと理解しようと思ったら、主要人物を多少学習しないと無理ですね。日本語で観るとここまでスピーディーなのかと驚きました、映画館では音と映像を感じただけでした。今回も全部理解したとは思いません。5回位見ればもう少し理解出来るかもしれない、でも観るのにもエネルギーが必要な映画です。エンタメ要素があまりないと最初書きましたが、原爆実験にエンタメ的ピークがあるのがこの映画の分かれ道です、そこでどう感じるかでこの映画の評価は大きく分かれてしまうのは致し方ないでしょう。
色んな感情が渦巻くのですが、オッペンハイマーという人は天才ゆえ周りを気にせず実行してしまったのは間違いない、最後のシーンでアインシュタインに告白してる時もう彼には見えていたにも関わらず作ってしまった。どこまで史実に沿っているのか分かりませんが上手く出来てると今回は思ってしまった。奥さんには関心したな、芯がある。吹き替えの方が感情が分かり易かった。
**************************最初の感想****************************
流石のノーランも今回はエンタメとして仕上げるのは無理だったかな。町山智浩が一回観ただけじゃ理解出来ないと言っていたが確かにその通り。色んな登場人物の説明は全くないし、ナレーションもない。カラーとモノクロの意味も全く説明ないので時代で変えてるのかと思ったら違うし。解説聞いたらやっと半分くらい理解出来た、しかしながら全く共感は出来ない。自分は被爆2世だし。
もう一度観ればより理解出来るとは思うが前半とかたるいし映画館でもう一度はないです。配信されたら又観るかも。
オッペンハイマーの幾多の苦悩を描写
原爆産みの親オッペンハイマーの人となりや開発過程や赤狩りにおける苦悩が描かれていました。オッペンハイマーの笑顔が殆ど観られなかったようにやや重いストーリーでした。戦後の時代背景である赤狩りでは権力志向が強い老策士に嵌められたり人生は決して幸福な道のりではなかったようです。ただ素朴な性格なのか女性関係には驚きもありました。広島長崎への原爆投下についてはロスアラモスでの核実験成功後のスピーチの場面で幻想としてケロイド状の女性の顔や誰もいない座席を映すことで被害者への心の葛藤を描いているように思いました。なお赤狩り追及場面などで登場する数多くの人物とポジションは追いきれず。3時間の長さは感じませんでした。
予習は必要
学者先生という職業は思想や感情もなく象牙の塔にこもりただただ研究に没頭して、と思いがちなところ。
作品中ではそうではなく共産党員にもなりかけたり組合活動したり女にだらしなかったりという学者像とは違う面が見える。
英雄だったりレッド・パージされたり毀誉褒貶半ばする人で研究と実践と国家への貢献でハイになったり投下したことによりダウナーになったり人となりが描かれるわけだけどなんかこの人に感情移入がなかなかできないのは話がわかりにくいからだと思う。
時間軸が行ったり来たりするしアインシュタイン以外は誰が誰だかよくわからなくなるし。
原爆ができたところでほぼほぼ使う必要がなかったのに詭弁でもって落とした、というのが日本公開が遅れたように思えた。
しかし、それが当時の対日感情でありイエローモンキーになら落として万人単位で死んだって構わないという差別感情だろうから当時を反映してるなら変なポリコレする必要ない。
つまり何が言いたいかというとクリストファー・ノーランらしく難解にして冗長
テーマがテーマだけに面白いとかって感想にはなりにくい作品。 前半は...
人間の欲望と限界
研究者から破壊者、世界の憂い
ノーラン監督、ごめんなさい
白状すると公開2日目に一度通常スクリーンで観に行ったのだが、満腹感と寝不足、事前になんとなく耳にしていた複雑な構成に頭がついていけず、あんなに楽しみにしていたのに途中うつらうつらしてしまう始末。ものすごい敗北感と後悔で、2度目の鑑賞へ。今度はさらによい環境でということでDolby cinemaを選択。
結果として2度目であっても、事前情報を入れた上で観ても十二分に楽しめる作品だと認識。
説得力のないコメントだと言われておかしくないのだが、なぜこんなに面白いのに初回ドロップアウトしてしまったのかわからない。
ただ伝記映画であることを考えるとネタバレだのはそこまで意識しなくてもよくて、ある程度予習したほうが楽しめる作品なのではと思った。
日本の描かれ方については賛否両論あるのだろうけど、自分はこの作品でも原爆の恐ろしさを感じられると思う。
最後に必要なのは想像力だから。
なので直接的な表現がないから観るべきでない作品だとか言う意見には全く賛成できず、我々日本人を含め世界の人に観て欲しい。
あの熱狂した学生達のシーンからは、実験シーンと並ぶ怖さを感じる。
一言でまとめられないが複雑な心情を、主観と客観で描いていったのはすごかった。
感情の揺れを自然現象のカットを通すのもよくできてるなあと改めて思う。
IMAXではないが、大画面でよい音響で観るのは本当におすすめだという意見に同意。
映画館で観て欲しい。
最後にもう一度、1度目はついていけなくてごめんなさい。
面白かった
複雑だと聞いていたのでネットで登場人物の予習をしてから見た。おかげで、人間関係を見失う場面は少なくて済んだ。それでもあまりにも密度が濃すぎて、頭がついていけない箇所がいくつもあり、もう一度見るか解説読むか、、となった。そうした複雑さや情報の過剰さも含めたエンタメとして、高いレベルの演出テンションを保ったまま最後まで突っ走る充実した3時間だった。
モノクロ部は、最初はこの部分いるの?と思ったが、見終えると、主人公を捉えるもう一つの側面として必須だったと分かった。ダウニーJRの小物感溢れる佇まいは見事だった。
人物評伝ものは、つい一歩引いて見てしまうことが多いが、ネタが原爆なだけに読後感は超重量級だった。日本人にとっても特別なテーマで、敢えての間接描写が続く一連のシーンは動悸が止まらなかった。変な横槍を跳ね除けて、公開されたのは本当に良かった。
人類がまだ存続しているのはただの偶然か
全日本人が観るべき
この映画の内容を知らずに観たのですが
たまたま偶然、数日前に広島の平和資料館を観に行ったばかりというタイムリーなタイミングでした
こっちの世界で何が起きていて
あっちの世界では何が起きているのか
それはお互い実際には見ても聞いてもいないわけで
ちょっとした日常の口げんかと同じことだと思うのです
日本の描写が無かったことはどうでもいいことで
あちらで何が起きていたのかを中心に描写するのであればあえて必要なかったことなんだろうと思います
何でもそうですが
新しいものを発明や発見した科学者は尊敬に値すると思いますし、作った人は賞賛されるべき
それをどう使うかは、全くもって別の問題です
どう感じるかは観た人それぞれで結構だと思いますが
とりあえず
日本人全員観た方がいいんじゃないかと思います
今一度、風立ちぬを見直したい
バカにされて狂暴化する男たち
面白かったです!ド文系監督が超カッケェ物理学に宛てた尊崇のラブレターみたい。サントラも異常値を叫び続ける計測器のように本能をビビらせてきて効果的。けっこうウルサイから普通の映画館で良かった。私は。
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実験苦手キャラのオッピー...って、ビーカーよく倒すとかそんなレベルでニガテだったの⁉️ホントかよ~😂。
わかりやすさ重視でサクサク進むから飽きずに観れちゃう。
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「恰好だけは科学者でいてくれ」って悲しそうに笑う友人がいいねぇ🥲。
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きっとノーランって「恋人との時間は速く進む」みたいな特殊相対論ギャグ好きなんだと思うわ🤭。いっぱい覚えてそう。
オッピーの失墜をストローズの愛憎嫉妬だけで説明するアマデウス展開はいくらなんでも無理あると思うけど、世界情勢はそういう愚かしい私利私欲で動く...という側面もあり、波動を捉えたら粒の質が永久にわからなくなる不確定性原理のド文系解釈に帰結するようでもあり、とってもノーランぽい。見立てがいちいちダサいっつーか💦なんかかわいかった。シメの台詞が私の思った通りすぎて笑ってしまった。
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オッペンハイマーが目をつぶる仕草、とても異様で良かった。
自分が目の当たりにすることよりも、脳内でスパークさせる壮絶な光景の方を重視する人物のようでもあり、ただ目を背けただけのようでもあり、だから彼への解釈は観客によって変容するのでしょう。
観た人それぞれによって如何様にも変質変化する映画だし、観客の内面もすさまじく変容させる危険な映画でもあると思いました。
それこそ、ヒロシマがテーマじゃない作品なのに、観客が被爆表現の是非に囚われて内圧を高め爆発の連鎖をおこしてる様もマンハッタン計画テキ。
よくぞ日本公開を....配給会社さんありがとうございます。
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実はすごい『プレステージ』に似てるかも!
長い‥ついていくの大変
アインシュタイン多め
アインシュタインの出番が結構多めでしたw
似てる! w
て言うか似すぎてて意識を持っていかれ過ぎて困った
むしろアインシュタインの映画観たくなるw
てかオッペンハイマーとアインシュタインてそんなに親交あったのか?
アカデミーも取ったしこれはいよいよ観に行くぜ!と気分も盛り上がってたところ、早々に縮小傾向で、コナン公開日には虫の息 wいつ打ち切りになるかと怖くなって有休取って朝から観に行く。
大画面のスクリーンで上映してる所も無く小さなスクリーンばかりで、客も朝イチとはいえかなりまばら。客層の年齢も定年後の爺さんばかり、、そりゃ爆死するわ
デカいスクリーンで観れなくなって後悔してたけど、観終わってからは、、高い金払わなくて済んで良かったwでした
デューンみたいに大画面で見るべきシーンなんてあった?
そういう意味でも、今までのノーランの大作気分で行くとガッカリするかも
点数低めなのは、いつもの思ってたんと違ったから…でもあるんだけど、そうでなくてもポイントを変えて撮ったら良かったのにと思わずにはいられなかった
最初から最後まで、ずーっと「オッペンハイマーは共産主義に加担したのか?」という疑惑についての話が何度も何度も出てきて…え?コレがこの映画のポイント?て思った。正直面白くも何ともない部分を掘り下げてる感じで、何でここを強調したのかサッパリだった
逆に、原爆開発や研究についてはお飾りみたいな扱いで、爆発シーンもショボい
そして実験成功から後の上映時間が長い長い!むしろそこからが本編 w何度か落ちた
あとセックスシーン含めて恋人との話全く要らんやろ?
コレ無くしたら2時間に収まるんじゃね?w
オッペンハイマーの苦悩とかも、描けば描くほどしらけてくるのは目に見えてるので、最初からどうでも良かったし
これを反戦映画とか被爆者のシーンが無いとか、、そういう目線で見るのは全然あたらないとおもた
これはオッペンハイマーがアカだったかどうかを問うた映画だからw
と言うわけでノーランさんには次回作に期待です
でもこれで日本では大損こいたろうな…😅
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