「専門知識なくとも気軽に味わえる入門編として最適」ボブ・マーリー ONE LOVE 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
専門知識なくとも気軽に味わえる入門編として最適
伝記映画といえども、ごく限られた一点に人生を凝縮させるタイプの作品だ。物語は1976年、政党間対立が暴力の応酬へと発展したジャマイカの混沌状況の中で、ボブ・マーリーが音楽の力で全てを変えようと行動するところからスタート。この映画で最も緊迫する銃撃シーンはごく序盤で起こり、その後の大部分では彼がロンドンへ逃れ、名盤「エクソダス」を生み出すまでの経緯が綴られていく。すなわち、これがマーレイの選び取った、暴力をいっさい用いない唯一無二の戦い方であり、愛であり、生き様だったのだろう。これまで彼の人生に触れる機会のなかった不勉強な私としては、専門知識がなくとも気軽に味わえるこの手の作りは「入門編」としてありがたかった。評価は割れるかもしれないが、マニアックすぎたり、盛り込みすぎることなく、むしろ上映時間に及ぶ107分の観賞後に併せて「エクソダス」を聴きたくなる、そうやって初めて完結する作品に思えた。
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