「もっと広く」月 nik1954さんの映画レビュー(感想・評価)
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見たくないものには目を背けてしまうという趣旨のセリフが出てきますが、この映画が短期間でさして話題にもならず限られた上映館で終わってしまうことが惜しまれます
障がい者の問題に正面からぶつかった映画です。事件を起こす元職員の描き方もリアルです
妄想的解釈や幻覚らしき症状もかなりリアルに描かれ、モデルになった事件の犯人と重なるところが多々あります。元職員の考えを独善的妄想的と批判するのは簡単ですが、それでは済まされないよと問いかけてきます。やや説明的なセリフもありますが、この問題の深さ、難しさを考えさせられます。
残念なのは、結局、世間はこの映画に背を向けて、見ざる、聞かざる、言わざるになるだろうなということです。この映画がヒットするような社会であってほしいです。
レビューを書いている人も内容を見ると施設の関係者や患者等の経験を持つ人が多く、関係のある人以外のコメントが少ないのです。それ以外の人に多く勧めたいのに。
私は施設の関係者ではありませんが、就いていた仕事の関係で、この映画で思い出されたのは、見学などの経験がある、特別養護老人ホーム、刑務所の保護房、家族の要望に従って監禁しているだけではないかと疑いたくなるような劣悪な私立の精神病院、障がい者施設などです。声や音、臭いも含めて。虐待をする職員も出てきますが、低賃金で、入所者に振り回され、なかなか生きがいを見出しがたい環境で待遇も悪いことからすれば、強くは責められません。最近では一番考えさせられる映画でした。
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