ロスト・キング 500年越しの運命のレビュー・感想・評価
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切ないラブ・ストーリーとも
観終った後、自分が何でこんなに心奪われるのだろうと考えた所、
依然観た、また私の中ですれ違いラブストーリーの大本となっている”天国から来たチャンピオン”を想起させるとこがあるのだろうと思います。
やはり根底は”愛”ですね。
亡くなった人への愛、現在自分と関わっている人への愛、すべてです。
この映画は500年越しの運命という副題がついていますが500年越しの愛 だと思います。
劇場でじっくり見る映画です。
味わって観て下さい。
シェイクスピアについての一考察‼️❓
半世紀ほど前、高校の文化祭でシェイクスピアの舞台のために真夏の夜の夢を丸暗記した、受験期の一年を潰したが、死にたい気持ちがなくなった。
それからシェイクスピアを研究することにした、あくまで趣味で。
多くの史実を故意にねじ曲げエンタメに転換していることに気づいた、司馬遼太郎もほとんど史実をねじ曲げている。
とゆうことで、シェイクスピアがねじ曲げた史実を修正する主婦が奮闘する実話の話、大学の姑息さがえぐい。
主人公の正気と狂気の境界線が実に上手い、さすがシェイプオブウォーター。
淡々と進行するが、いろんなことが危険スレスレ、これが実話なんだけど、希少なる成功例なんだろう。
でも、想いは届く実話は心の糧になる、是非。
ちょこちょこ出てくるリチャード3世が、この作品の全体に面白みを加え...
ちょこちょこ出てくるリチャード3世が、この作品の全体に面白みを加えてたのかも、と見終わってから思った。
そうじゃないと、フィリッパのひとり舞台になる箇所が多いし、単調な感じになっていたのかも。
権力を持つ側のいやらしさが本当に腹立たしいし、悔しいけれど、でも、フィリッパはやり遂げる。
エンディングでそれがわかって、溜飲は少し下がったかも。
感情を入れてはいけない。
特に女性はそれでダメだと思われる。
このアドバイス、なんか妙に納得した。
女性の方が、感情まで見ているかもしれない。
男性の方が、割り切って感情抜きで判断するかもしれない。
私は女性なので、感情抜きはちょっとと思うものの、確かに気をつけるべきだなと、こんなところで思ったりした。
ド素人だって、やり遂げられるのだ。
運すら味方にしてしまう。
これが実話ベースだからなおよい。
何故か・・
土葬でなければ不可能なおはなし
火葬の国の私達に理解し難いお話で、土葬ならではの実話。しかし土葬後最後に残った骨とても、仮に日本の酸性土壌でしかも高温多湿の場合は100年以内には全て土に還るわけで。本作のように500年もイギリスだとしても、形そのままに存在するのでしょうかね。いえ、実際に見つかったから本作が出来たのですけれど。
ポイントは、一人の主婦の異様な執念により遺骨が発見されるまで、を描く。2人の少年を抱え離婚した主婦にとって、とんでもないハードルで、その仔細が映画の要。ですが、彼女フィリッパとリチャード三世の出会いが冒頭の演劇だけ? なによりシェイクスピアの国ですので、一般人でも十分な知識がありましょうが、戦国武将についての日本人の知識程度には。それにしても、職を放棄してまでのめり込む意欲が分からない。分からないけれど、主演をサリー・ホーキンスが演ずることによって、さしたる疑問にもならないのです。
そう、サリー・ホーキンスのまあ驚くほどの細やかな演技は圧巻で、10年ほど前のイベントの再現ドラマにおいて観るべきは彼女の演技となりましょう。眉ひとつ、小皺ひとつ、瞬きひとつ、で演技する、驚くべき繊細さで、リチャード三世との出会いを観客に納得させる。ほとんど少年の風情で、本音の悲しみまでも観客に伝える演技がなされる。「ブルージャスミン」2013 や「シェイプ・オブ・ウォーター」2017 なのに「GODZILLA ゴジラ」2014 にもそれ以降のゴジラにも出る不思議。米国の名優フランシス・マクドーマンドに共通する隠された真の力強さ。ステレオタイプの美人女優とは対極で、いぶし銀のように輝く。
既に名匠となったスティーブン・フリアーズの手練れの演出にそつはなく、無難過ぎ途中のテンポの悪さには画面も停滞気味でしたが、なんと言っても映画化に際し、そのまんまのリチャード三世を彼女にしか見えない幻覚として画面に登場させるアイデアは素晴らしい。後世の解釈による誤解を解かないと浮かばれないとばかり、フィリッパのここぞの時に現れる。ほとんど今はシングルの彼女にとっての彼氏そのものとして。
それにしても、街全体が21世紀の今にも関わらず、そのまんまヨーク朝時代としてロケが可能なんですね。これが日本と根本的に異なる。家で夕食とってから観劇に出かけられる社会って凄いよね。「007 スカイフォール」が登場するのは実話の年度に合わせるため。ベネディクト・カンバーバッチが登場するのはDNAによりベネディクトがリチャード3世の血縁者だったから。映画の終盤には大学の権威主義が邪魔をし、ちょっと後味悪いですが、ラストのテロップで王室からフィリッパが顕彰されたとのことで、安心しました。
見る前から期待し過ぎたか?
死人に口なし、歴史はロマン…で、いいの?
15世紀の英国王リチャード3世の遺体捜索と彼の真の人物像を解明する実在のプロジェクトに基づいた作品。
後の王朝によるプロパガンダと創作物により暴虐の王として伝わるリチャード3世。歴史小説やゲームの影響で、戦国武将や幕末の人物に「真偽不明だけどなんとなくのイメージ」がテンプレ化している日本にいると、創作物や伝承の影響力はよくわかる。
そういう背景はあるものの、本作はリチャード3世の真の姿を検証する物語ではなく、プロジェクトを牽引した女性・フィリッパ・ラングレーの挑戦の物語である。リチャード3世が古いレッテルを貼られたままいいように描かれることに憤慨し、アマチュア歴史研究家やプロの学者の中にぐいぐい飛び込んで様々な説を重ね合わせ、一次資料を探し伝承の矛盾や不合理を纏めていく行動力は、日常のフィリッパの内向的な振舞いとの対比もあって目を見張る。
証明や推測だけでなく、直感や情熱で物事を進めていく描写も多々あり、研究者の姿勢として賛否が分かれるかも知れないが、実際の墓所が発掘可能な場所にあった経緯を調べると偶然に好材料が重なっていたことがわかり、こういった奇縁もこのプロジェクトには重要だったことがわかる。
また彼女の前に幻覚のリチャード3世が現れるのだが、彼を都合の良いお助けヒントキャラではなく、フィリッパの内心を整理したり、インスピレーションの象徴として使うところに事実ベースの作品としての誠実さを感じた。
遺体が伝承の様に川に流され散逸していたわけではなく、副葬品もない小さな棺に押し込められていたとしても「埋葬されていた」というのはキリスト教圏の死者の尊厳において重要だったのではないだろうか。
フィリッパにとって遺体探しはリチャード3世の実像を解き明かす通過点に過ぎず、彼女は現在もリチャード3世の実像を認知させる活動を続けている。彼女の活動が、歴史のロマンだけでなく真実や一次資料を重要視する姿勢に繋がることとを願ってやまない。
『#ロストキング500年越しの運命』試写会 彼女の実話の物語 女性...
奇跡の推し活
鑑賞前に、できればリチャード三世がどんな人物かというのを知っておいた方がベター。一応序盤でシェークスピア劇を見るシーンがあるけど、あれだけではちょっと理解しにくいかもしれない。
その戯曲から暴君というイメージが付いてしまったリチャード三世にシンパシーを感じた一介の主婦フィリッパが、彼の真説と未発見の遺骨探しに没頭する…これがほんの10年前に起こった実話というのに驚き。そもそも、それまで謎を明かそうという動きは起こらなかったのだろうか。それだけ彼が嫌われた存在だったのかもしれないが、にもかかわらず“推し活”し続けたフィリッパの情熱に乾杯。
イマジナリーフレンドのようにリチャード三世を登場させたのは、ともすればフィリッパの行動に共感しかねない観客への緩衝材なのだろう。協力的な人物や、対立概念となるアコギな姿勢を打ち出す教育機関など、背景も分かりやすい。
それにしてもイギリスでのシェークスピア絶対主義は予想以上。日本に例えるなら吉川英治か。『宮本武蔵』も実際の武蔵とはかなり異なっていたと言うぐらいだし、著名だからといって好き勝手に人生を書かれてしまうのも気の毒な話だ。
チャーミングなサリー・ホーキンス演じるフィリッパのラストの独白が説得力大。
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