「"簒奪"」ロスト・キング 500年越しの運命 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
"簒奪"
今作品を鑑賞する前に、何かを検索(多分、『パリピ孔明』かな?w)した際、偶々検索結果欄に題名の熟語が出てきて、セーブしたのだが、まさか、今作でこれが引用されるとは、中々の偶然である
シェークスピアも碌に読んでいない自分からすれば、予習の膨大さを考えれば避ける案件の作品だろう しかし、歴史的に大悪党とされている人物が実は間違った解釈をされているのでは?という経緯は、古今東西歴史家に拠って次々と定説が覆されている昨今である 日本に限らず世界中の偉人も然り そう、今作は正に"人"は多面性を持った人生を歩んでいる、そして評価はその評価した人間の属性によって如何様にも捻じ曲げ、阿るものであるという事実を改めて白日の下に晒す内容である と、同時にその手柄を如何に掻き攫うかを描いた事も重要なプロットである
他作品のレビューで、観賞していないのにあたかも観賞したかのようなレビューをアップしてみた的なものを読んだが、正に上記の内容は、そう思われても仕方がない薄い文章に情けなさこの上ない いや、きちんと観賞しているのだが、そもそも実際の出来事のストーリー故、確かにネットで調べれば誰にでも一通りの感想文が書ける
そのジレンマに苛まれつつ、別に金貰っている訳ではないとの開き直りで続けてみようと思う
駐車場に"R"の道路標示(本当)や、実は8年も調査に費やした等々、現実と映画の誇張はその虚実皮膜故、演出なのか事実なのかのところに心が持って行かれるのが常だ 興醒めする事への恐怖とそれに伴う経済的損失、そんなみみっちぃ、しかし大事な懐具合に逡巡する心の狭さはこの際、しっかり捨てるべきと心に刻みながら・・・
リチャード三世の幻影を具現化し、二人三脚で亡骸を探すという過程はエモーショナルを掻立てられるのだが、終盤の大学や自治体の"簒奪"の件は、そのやり口の急ぎ足の説明では理解出来なかったことが唯一の残念な部分である あの部分が今作のキモだったのだろうし、其処をどうやってちゃぶ台を返し、キチンと家紋を掲げる事が出来たのかの部分を描いてみせて初めてマスターピースは嵌るのだろうと思うのだが・・・
確かに遺骨を探す事と、本人の史実はまるで関係無い そこを補強するのは歴史家であるのだが、多種多様な『ファクトチェック』の末の結論に結びつかなければならない そのチェックは歴史家に留まらず、市井のアマチュアにもその発言に門戸を開く事が肝要なことな言うまでもない そして何より大事な事は、"掠め取る"卑しさは、こうして作品に残ることを権力者は努々忘れるでないと、口酸っぱく言い続けること この努力なのだろう