イノセンツのレビュー・感想・評価
全140件中、21~40件目を表示
子供故の残虐性、無邪気さは狂気をはらむ
穏やかで眠たくなるような序盤だが退屈には感じさせない不穏で静かな展開だが、徐々に確かに強大になる力
感情がコントロールできないことからの暴走、とも言いきれないところがこの映画の深みであって、大人であってもその狂気は毎日のように世間を賑わせている
終盤、少女の決心には心動かされるものがある
そして最も静かで壮絶なラストバトルには息を呑む
勝ったがそこに善悪は存在するのか?
とんでもないものを観た感覚だ
大友克洋作『童夢』は読んでいるが、北欧ならではの寒々しさと無駄も派手さもない冷たい雰囲気が物語に混ざり合い感情に訴えかけるものとなっていた
めちゃくちゃ面白い
次は私?!
大規模マンション内で起きる連続殺人事件、超能力少年少女たちによるサイキック・バトル、そして問題のラストシーンが、大友克洋による漫画『童夢』にそっくりだという。監督のエスキル・フォクト本人が白状しているので間違いないだろう。私は本作を観ていてパク・フンジョン監督の『The witch』をふと思い出したのだが、ド派手なアクションの代わりにこの映画、恐怖がジワジワと忍び寄ってくる北欧らしい静かな雰囲気が特徴だ。
自閉症の姉アナを持つ妹のイーダ、テレパシー能力に優れたアトピー少女アイシャ、そしてアナと同等のサイコキネシスが得意技のベン。ほぼ育児ネグレクト状態のベンは近所の子供たちから除け者にされているられっ子で、引っ越してきたイーダに自分の能力を見せて友だちになる。アイシャは言葉が喋れないアナの気持ちを伝える通訳のような存在で、超能力ごっこで盛り上がった4人はすっかり意気投合仲良しに。しかし、心に闇を抱えていたベンは次第に狂暴化、女子3人でなんとかベンの暴走を食い止めようとするのだが...
4人の中で最も強力な能力を持っているのが、実は自閉症のアナであり、さすがのベンも一対一の勝負では歯が立たない。しかしこのアナ、アイシャのヘルプがなければ喋ることもままならず、肝心な時に「ウ~ん、ウ~ん」うなってるだけてまったく役に立たない。このじれったさが実に効いていて、静かなトーンながら緊張感が常に場を支配しているのである。身の危険を察知したノンケ少女イーダはベンをノラネコ戦法?で排除しようとするのだが.....
アナの血を引いているイーダ、そしてマンションの窓から、アナ姉妹vsベンのラストバトルを観戦していた子供たちも、おそらく超能力者だったのではないか。つまり、北欧の森に佇むこのマンションは超能力者の子供たちだらけだった、という設定だ。彼ら彼女らはアイシャやベンのように、移民のワンオペ家庭で親から満足な愛情を注いでもらっていない子供たちだったのではないだろうか。この点、両親がちゃんと揃っているイーダ姉妹の家族とは若干異なっているのである。
親に潰されそうになった子供は大人の気持ちを読むようになると、『ナイトメア・アリー』のインタビューでギレルモ・デル・トロが語っていたが、ベンやアイシャの場合もまさにそれ。現在3組に1組が離婚している日本においても、親の愛情に飢えている子供たちがおそらく急増中のはずであり、もしかしたらもしかするのである。恐るべき宿敵をやっつけて一件落着の姉妹だったが、今度はママの愛情をめぐって仁義なきサイキックバトルを繰り広げるのかもしれない。「次は私?」なんたって超能力に目覚めたイーダには前科があるのだから。
名作です。
子供たち同士の心理変化とその戦い。
子供たちの繊細な心理描写がとても上手く描けています。
悪はただの悪ではなく純粋が故の行動であり、子供たちにとってはアリを殺すのも猫を殺すのも同じ価値なのでしょう。
もちろん人も…。
この映画の魅力は何を言っても子供たちの演技が物凄いです。
少年役の演技の上手さはピカ一でこの少年じゃなかったらこの映画は成り立たないぐらいです。悪役ですが子供とは思えない最高の演技をしてくれています。
あと、おねーちゃんの役の女の子も凄く上手です。
見てない人は是非視聴を。
猫は死にます。しかも序盤に(ジョバンニ)。
夏休みにノルウェー郊外の団地に引っ越してきたイーダと知的障害を持つ姉のアナ。
意思疎通が図りづらいアナと遊ぶのがつまらないイーダは超能力が使える地元の少年ベンと出会い、姉を放置して2人で遊ぶようになる。
一方で、アナに近寄ってきたのは心を読むことの出来る少女アイシャ。
特殊な能力でコミュニケーションを取れることを知った4人の子供たちは秘密の遊びを通して仲良くなっていく。
しかし、子供たちの無垢な感情は次第に暴走を始め……
いや、面白い。
まずポスターからしてセンスを感じる。
力が反転した世界、子供が純真だとか力が弱く儚げな存在だとかそんな常識を180度ひっくり返してくる、とんでもない映画。
子供の純粋な悪意、本能的な残酷さが描かれるが、それが人間、動物として本来の姿なのかもしれない。
この残酷さは罪ではない。だからこそ厄介だ。
大人が絶対踏み入ることのできない子供だけの世界は、一見非科学的で空想の世界のようにも思えるが彼らにとっての現実だ。
力が弱くまだ世界を知らない子どもたちだからこそ、超能力という最強の武器を手にしてしまえばもう誰にも止められない。
この映画の何がすごいって描写のリアルさ。
つい最近成人した自分の中でさえ子供の頃の経験や感覚は忘れてしまっている部分が大きい。
しかし、この映画を観ている間だけははっきりと幼少期の感覚を思い出すことが出来る。
子供が作っているのではないかと疑ってしまうほど子供の感覚で作られたスリラー映画。
それでいてカメラワークや音楽などどれを取っても良い。
またホラーやスリラーの一面だけではなく死や命について呆気なくも丁寧に描いているのも印象的。
緊迫感の張り詰めるシーンと少し心が温まるようなシーンが交互にやってきたりして感情ジェットコースターだった。いい感じに思いっきり疲れた。
様々な解釈の出来そうなラストシーンも必見。
作品全体の余韻も凄く、鑑賞後に色々と深め甲斐がありそう。
北欧ホラーは一見どれも一辺倒に見えるが実際鑑賞すると全く違う顔を見せる。
観るか結構迷っていた作品だったが観れて本当に良かった。
静かな街で繰り広げられるサイキックバトル。
どのキャラクターも責められないし、逆にそこまで好きにもなれないんだけど(子供たちの演技力は素晴らしすぎる)、唯一好きだったのがアイシャのお母さん。
幸せになって欲しかった……😢
子供の遊びが狂気に変わる
退屈な夏休みを過ごしている子供たちが超能力的な不思議な力に目覚めてしまうサイキックスリラー。無邪気な子供たちの遊びが狂気に変わっていく姿を上手く描いている。これは、世界中の子供たちにも共通するものであり、周囲の環境次第で子供の生活が大きく変わってしまうという強いメッセージ性を感じた。
2023-153
見た後しばらく立ち上がれなかった
「凄い映画見ちゃった・・・」と言うのが鑑賞直後に頭に浮かんだ言葉。完成度高く、映像・脚本・子役達の演技、すべて秀逸な良くできた映画なんですが、とにかく怖い!ホラー的にじゃなく心理的に怖い!余計なものが削ぎ落とされた、北欧ならではのセンスの良さみたいな空気感のある作りが、いっそう怖さをマシマシにさせるのかも。 残酷なシーンが複数あるので、軽くオススメとは言いにくいですが、心理描写の表現方法や、説明くさいセリフを排除してるのにしっかり伝わる脚本とか、本当によくできた作品だと思いました。そして子役が素晴らしすぎる。 猫好きな人は見ない方がいいかも。
鑑賞動機:『童夢』にインスパイアされている10割
『童夢』は何度となく読んでいるが、もちろんストーリーは別物だけど、終盤の描写が思っていた以上に『童夢』でちょっとニヤついてしまった。ベランダとか赤ん坊とかブランコとか、そのまんま。そんなに好きなのね、うんうん。
最初はあまりにもやさぐれているので、大丈夫かと思ったが、子供はバカじゃないというスタンスが変わらないのは良かった。その代わり容赦もないけど。猫好きは…大ダメージを負う覚悟で。
無垢と悪意
エスカレートする力と無垢な邪悪。
起きてほしくないことばかりが起こり、見ぬふりをしてきた自分の意識を炙り出され、強い衝撃と重さに縛り付けられる、あまりにも恐ろしい映画だった。
まっすぐな感情のままに行動する子供たちだからこそ危うい。
悪意を孕まないただのサイキック遊びがどんどん意志を持ち始め、強い悪意に変わっていくさまがどうしようもなく辛かった。
ただ愛されたかっただけなのだろうけど。
最初の凶行、ズーンと衝撃を受けつつ、流れるような行動のシークエンスに目を奪われてしまった。
虫や小動物に対する残酷な行動って子供のころのあるあるだと思う。
大なり小なり誰しもが経験することじゃない?
ただしその中でも無意識にボーダーラインは引いているもので、その辺の境界の無さが露呈するシーンはとても印象的だった。
感情も感覚も知能も見えなかった姉の中身が少しずつ見えてくる瞬間、妹がちゃんと嬉しそうに笑ってくれたことにホッとする。
そしてテレパシーの遊びの中でどんどん「人間らしく」なっていく姉に私も嬉しく思っていた。
これってどういう感情なんだろうね?
障害があるだけで最初からずっと人間なのに、意思疎通ができないだけで途端に「人の形をした何か」みたいな認識がうまれてしまうような。
でもやっぱり妹を守るように立ちはだかる姉の姿にはかなり胸が熱くなるし、サイキックなサポートが無いときのフワフワした状態に戻ると少し残念な気持ちになってしまう。
普段は意思疎通が難しいからこそ、ほんの少しでも感情的な部分や本人の意志が見えた時のコントラストでグッと来るんだろうけど。
派手な演出はないけどどのシーンもインパクトが強い。
圧倒的な恐怖や精神的な負担が大きく、観ていて非常に疲れる上質なホラー映画だった。
タブーとされる感覚もストレートに表現して切り込む姿勢を感じる。
透明な空気を感じる北欧映画独特の映像美がとても好き。
子役がすごい
不思議な力がなぜ身についたのかは説明されていないが、幼少期の精神的な不安定さがうまく描かれている。なにより子役の演技と撮り方が凄く良く、言葉がなくても不安や恐怖、苛立ちがわかる。各家族人種がバラバラなのは何かの意図があるかもしれないが、イーダちゃんかわいい。
良質なホラー しかし不快指数高スギ
子供の純粋さ 故の残虐性みたいなものがとても上手く描かれてる。
しかし、動物好きな自分にとってはみるのがしんどかった。猫好きならやめておいた方がいいです。
見た後めっちゃ疲れたな。
音の使い方から何から本当に不快でゾクゾクしてホラーとしては良質な作品です。
公開してすぐ行ったのに、席に空きが多かったし過小評価気味ではありますね。
大友さんの作品が好きなので童夢も読んでますが、終わりとかそのまんま過ぎて影響受けたとかそういう次元か?ってなったので、ちゃんとしてください。
無垢で残酷な子供が超能力を持つと・・・・
子供の頃、蟻の巣に水を流して楽しんでいた自分を思い出した。
悪いことをしているのはわかっていても、ゾクゾク感に酔いしれてやめられなかった。
この映画のベンジャミンもそういう気持ちで、悪意というより興味本位で超能力を悪用していたように感じる。
幼くて他人の痛みがわからないから、遊び感覚で他人を傷つけていた。
対照的に、障害があって言語が使えないが共感力が高いお姉さんと、正義感が強い妹が、共に敵を倒すといった流れだろうか。
面白いけど、終始暗く、どことなく不気味な雰囲気なので好きな映画じゃなかった。
超能力の危険さを知り、使い方を探りながら成長していく、エスパー魔美のような超能力者が好きです。
ギョッとするシーンが2度ほど、、
有りましたがそれほど怖さは感じません。
子ども達によるサイキックバトルが、家族の関係も絡めて描かれています。
子ども達の演技が秀逸なのと、カメラワークも面白くて、結構楽しめました。
童夢は昔読んだけどほとんど覚えてませんね。。
親が知らない、子どもたちの世界
ちょっとした悪戯が、どんどんエスカレートしていく、そしてそれによって友情や家族愛が歪んだり強まったりする。
きっと誰もが子ども時代に持った、子どもだけの世界や秘密を追体験するような映画。
子どもゆえの無邪気な弱いものへの攻撃の描写が、
一番怖かった。
そこ以外は最後までハラハラできた面白い映画でした!
『童夢』を読んでる人も、そうでない人も。
割引になる曜日、間違えて正規の料金で観ちゃったよ。
でも、面白かったからいいや。
途中、ずっとネコ飼ってる自分には耐えられないシーンがあって、しばらく眼を瞑ってたけど。
大友克洋の傑作『童夢』に触発されて作った映画と、かなり前から聞かされてて、観たいと思っていた作品。
『童夢』のようで『童夢』じゃない。
子供、団地、超能力などはそのまま。
あとは自由に作っている。
先が読めないので緊張感がある。
帰宅して『童夢』を読み返すが、やはり面白い!
俺は『AKIRA』より、こっちの方が好き。
世界中、マンガも映画も音楽も、触発しあって、影響受けあって、もっと面白いもの、もっと良いものが出来ていくといいな。
幼さゆえの悪意の暴走
サイキック映画ですが派手なVFXは無く、箱庭の様な団地内で淡々とお話しは進みますが、最後までちゃんと心を掴み続けてくれる稀有な作品でした。
子供特有の残酷さや繊細さがよく表れていて、時よりフェードアウト?する場面も効果的だったと思います。
劇中での「ママあのね、、、」には重大な事が隠れていました。
時間に追われる子育てですが、子供と話しをする際は、焦らず注意深く聞く事を心がけたいもので、20年前の自分に言ってやりたいです。
さて来週は、この映画の対局にあるサメ映画を観に行きます。
これは超怖い。。。
超能力ものは好きなのですが、この映画は怖い。そして終始、不穏な空気が流れ不気味だ。
途中で劇場から逃げようかと思ったほど不気味でしたが、でもとても面白かった。
たしかに心に闇をかかえる子どもに、こんな能力が身についたらこうなるだろうな。
タイトルのイノセンツはなるほどです。
子供の無邪気さと加害性
監督は童夢を読んで影響を受けたとのこと。童夢のような派手なアクションはないが、子供の持つ無邪気さと加害性が描かれていて最初から最後まで不穏で気が抜けないサスペンスホラー。
演技に見えない子役の演技が達者過ぎて不穏さに拍車をかけている。
子供達は無邪気さの中にも苦しみを抱えていて、特に主人公の少女が7歳にして自閉症の姉のヤングケアラーをさせられてる行き場のない閉塞感がこちらにまで伝わってくる。
白夜の団地の静けさが怖い。
※猫が酷い目に遭うので苦手な人はご注意。
某作品と似ている、という指摘も頷ける部分はあるものの、無垢と残虐を日常生活の中に埋め込む世界観が強く印象に残る一作
作中のいくつかの場面で、表現にそれなりの規制がかけられている(だからこそ”うまく見せない”手法が洗練されている)ハリウッド映画では見ることのできないような描写が含まれるため、その生々しさ、不気味さが肌に合わない人もいるかも。
しかし全体的に、抑制の効いた演出は効果的で、かつ主人公の少年少女の演技も真に迫るものがあり、サイキックスリラーとして非常に楽しむことができました。
子供達の、超常的な力を得たことを無邪気に喜ぶ表情と、それを他者への攻撃手段として用いる際に見せる残虐さとが、「無垢」さの両面であることを、様々なエピソードを通じて語っています。孤独感と暴力のエスカレーション、その一方で周囲の人々は全く普通に日常生活を営んでいる、という対比的描写がとても鮮烈です。
鉄柱が折れる、水面がさざなみ立つ、といった描写で超能力を表現する手法には、確かに日本のアニメや漫画、特に大友克洋の影響を見出すことができます。一方でエスキル・フォクト監督はそれらの影響を公言しているし、そうした描写の類似性を差し引いても十分独特の世界観を打ち出していて、一つの映画作品として満足できる内容でした。
昔少しだけ読んだ『童夢』を、改めて読み返したくなりました!
サイコスリラー
予告をさらっと見た印象では、アベンジャーズの様な特殊能力を持った子供達の、スタンドバイミーの様な、青春物語かと思いきや…まさかのサイコスリラー😱
怖い❗怖い❗
けど、子役のスキルが凄すぎる‼️
冷静になると、突っ込み処満載だけど、その演技力に、のめり込まされる。
全140件中、21~40件目を表示