駒田蒸留所へようこそ

劇場公開日:2023年11月10日

駒田蒸留所へようこそ

解説・あらすじ

世界からも注目されるジャパニーズウイスキーを題材に、崖っぷち蒸留所を再興させるべく奮闘する女性社長と新米編集者が、家族の絆をつなぐ幻のウイスキーの復活を目指す姿を描いた長編アニメーション。

亡き父の跡を継ぎ、家業である「駒田蒸留所」の社長に就任した駒田琉生。経営難に陥った蒸留所の立て直しを図る彼女は、災害の影響で製造できなくなった幻のウイスキー「KOMA」の復活を実現させるべく奮闘する日々を送っていた。そんなある日、自分が本当にやりたいことを見つけられず転職を繰り返してきたニュースサイトの記者・高橋光太郎が、駒田蒸留所を取材に訪れる。

琉生役で早見沙織、光太郎役で小野賢章、蒸留所の広報担当で琉生の幼なじみ・河端朋子役で内田真礼、ニュースサイトの編集長・安元広志役で細谷佳正が声の出演。「花咲くいろは」「SHIROBAKO」のP.A.WORKSがアニメーション制作を手がけた。

2023年製作/91分/G/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:2023年11月10日

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映画レビュー

4.0働く大人の等身大のドラマ

2023年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

とても上質な人間ドラマなのでもっと話題になってほしいなと本当に思ってる。ウイスキー蒸留所を持つ会社を経営している一家の長女が、若くして社長となって、会社を立て直す。押し付けではなく自らの選択として会社を守ることを選択した彼女に、ダメなウェブライターが感化されていく。震災で会社の経営が行き詰り父が他界し、早くから自分の道を決めた女性社長と、自分のやりたいことがわからないライターの対比で、「仕事ってなんだろう」というだれでも直面する問題を鮮やかに描いた。これまでも働く人を題材に多くのテレビアニメを手掛けてきたPAワークスならではの作品なのは間違いなく、こういう等身大の大人の悩みをしっかり描けるアニメ作品があるということは、素晴らしいことだと思う。
おそらく、この作品はドラマの「重版出来」とか、「獣になれない私たち」とか現役で働く女性たちへの共感を狙える内容だと思うけど、そこまで届いていないかもしれない。ちょっともったいない。

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杉本穂高

3.5ウイスキー造りの話を、未成年にも観てほしいという高難度の企画

2023年11月10日
Androidアプリから投稿

楽しい

アニメ制作会社P.A.WORKSが手がける「お仕事シリーズ」の第5弾だそう。過去4作ではそれぞれ旅館、アニメーション制作、町興し、水族館という職場や業種で働くことを通じて成長していく女性たちの物語を描いてきた。一方で今作は、駒田蒸留所の若き女性社長・琉生が幻のウイスキーを復活させるべく奮闘する姿を、取材する新米編集者・光太郎の視点から語りつつ、当初やる気のなかった光太郎が仕事の責任や面白さに気づいて成長する過程も描いていく。光太郎がいわば映画の案内役となり、蒸留所での製造工程や琉生と従業員の働きぶりを見聞きすることで、お酒に詳しくない観客にもウイスキー造りの概要を伝える格好だ。

私自身ウイスキー好きで、ニッカの余市蒸留所を訪問したこともある(大人気の蒸留所見学はあいにく予約が取れず、ミュージアム入場と試飲どまりだった)が、アニメでも蒸留所設備の質感や雰囲気がリアルに再現され、仕込みから蒸留、長期の樽熟成といった工程も分かりやすく伝えられていると感じた。

キャラクター造形に関して、記者としてのキャリアが皆無に等しい20代半ばの光太郎が、取材対象の蒸留所社長の琉生に対し、歳が近いからか女性だからなのか、タメ口まじりで話すのには何度もいらいらさせられた。記者として社会人として未熟な面を強調することを意図した脚本だとは思うが、それ以前に人として他者との接し方に問題があるように感じられ、彼の成長にいまひとつ共感できないままだった。

観ながら気になっていたことがもう一つ。ウイスキー造りの話であるのに、肝心のウイスキーの魅力、琥珀色に透き通る見た目の美しさであるとか、うっとりするような芳醇な香り、味わった時の感覚的な喜びや高揚感のようなものが、ごくごく控えめにしか表現されていないことだ。味と体験が素晴らしいからこそファンが増えて経営が成り立ち、またそうした味と体験を提供することこそがウイスキー造りに携わる人々のやりがいや誇りであるはずなのだが。想像するに、観客の年齢を問わないG区分で劇場公開するため、酒の美味しさや飲酒の愉しさを描写するという部分で妥協せざるを得なかったのではないか。「酒そのものや飲酒する行為を魅力的に描いたせいで未成年の飲酒を誘発した」などと批判されるのを未然に防ぐため、描写を控える判断になったのでは。もしそうした自主規制がなかったなら、ウイスキーに興味がなかった光太郎が次第に味がわかるようになり、終盤で完成する銘柄を堪能して感動するという展開になったのでは、と酒好きの私は妄想してしまう。

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高森 郁哉

4.0ウイスキーの認知度あげていきましょう!

2025年8月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

 Dアニメストアにて何度目かの視聴です。P.A.WORKS
がいわゆる「お仕事シリーズ」の題材として日本のウイスキーを選んでくれたのは嬉しい。SHIROBAKOほんとに最高でした。
 クラフトウイスキーは世界にも日本にもどんどん増えてますね。劇中でもウイスキー冬の時代の話がありましたが、今は空前のウイスキーブーム。新発売のハイボール缶が、ハーゲンダッツの期間限定より早いスピードで出てています。飲みきれない。
 駒田蒸溜所のモデルは三郎丸蒸溜所とのこと。富山県のアニメ製作会社と富山県の蒸溜所で、協同で世界に発信するのがとてもいいと思います。今度富山を旅せねば。
 作品内容はきれいな画と音楽とはやみんでとても観やすく仕上がってて、ウイスキー入門のような話。蒸溜所って、醸造所とは違うの?という話もある。タイトルもわかりやすさに大きく寄せている感がある。個人的には「白箱」くらい業界用語で攻めてほしかったが、そもそもこのタイトルでもウイスキーだと認識しない層も多いのかも知れない。ウイスキーとアニメが好きという私みたいな層はまだまだ少数派か。
 しかし「ようこそ」といっても、本来蒸溜所は来客がメインの施設ではないですよね。山崎蒸溜所を筆頭に、工場見学をしている所は多いとはいえ。このタイトルだとプロモーションムービー感が強く、内容も含めて丸い企画になっているなと。それくらいウイスキー入門者が多いと踏んだのだろうし、実際そうなのかも。
 本作品の登場人物は、蒸溜所関係者とその取材の記者。いわゆる身内が大半だった。だが私のように全く関係者ではないが、ウイスキーに支えられて生きている人はたくさんいて、独楽の復活を願いクラウドファンディングに応じたのもそういう人たちだろう。「独楽は家族の酒なんだ」と兄妹が心を1つにして奮闘し、最後には母親が微笑むシーンはとてもよい。だが身内だけの物語として描写されている時、1ファンの私はちょっぴり寂しかった。惜しくも過労死された先代は「ほしい人のもとへ」と残った独楽を売ったそうだ。ちゃんと愛飲する客を思ってくれているのが嬉しかった。
 またこの映画の主題は「継承」でもありましたね。蒸溜所は何百年とか続いている所が普通にあります。愛される味を繋いでいくのはまさに伝統工芸です。それはウイスキーだけではなく、先輩の記者から後輩へ仕事の心構えの継承がある。いと、ですね。
 しかし琉生ちゃんのBL趣味要素はなんなのか。原酒の味と香でBLの場面がイメージされるとは筋金入りですね!え、「三郎丸」もBL作品の登場人物か何かですかね。高橋くんが原作を読んできて、琉生ちゃんの二次創作にコメントするシーンは、はっきりとリンチです。やめてあげてーって

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とびこがれ

4.0繋がる家族のお酒

2025年8月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

「糸」で周る「独楽(こま)」、
その味は人と想いと時間が、次へ次へ繋いでいく、家族のお酒。

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上みちる