枯れ葉(2023)のレビュー・感想・評価
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ラストシーンは定番かも。静かで穏やかな恋。すれ違いがあってヤキモキする。
◆時系列無視してのっけからラストシーンの話。恋愛ドラマの最後の場面で、まあそれまで色々あったけど、結局ハッピーエンドで2人が後ろ姿で去っていくってのは定番かもしれない。僕も含めて観客の多くが、どこかで見たことが有るような場面だとか、むかし見たあの映画のオマージュまたはパクリだなんて思ったのではなかろうか。犬の名前がチャップリンだからチャップリン映画でもあったような気がした。ちなみに悲恋だと1人で後ろ姿で去っていくのが有ったような無かったような。
あと、ハッピーエンドなのにエンドロールで流れる「枯れ葉」ってたしか失恋の歌だった気がするが、歌詞の日本語字幕ちゃんと見てなかったのでよく分からないが。
◆静かで穏やかな恋、とはいえ2人はドキドキワクワク盛り上がってる。ここで言う ” 静かで穏やか ”というのは、ハリウッド映画やフランス・イタリア映画と比べてという意味だ。ハリウッド・フランス・イタリア映画、或いは日本のトレンディドラマに毒されてるのかもしれない。
例えばカラオケバーでの最初の出会いの場面。ハリウッド映画だと、「ハイ、わたしアンサ、ハイ僕はホラッパ」なんて感じで、見てる僕は、 「いきなりナンパかよ!」 とか思うわけだが、アンサとホラッパは何となく意識してチラ見して目があう程度だ。 これはこれで逆に「おまえら中高生か!」とか思うわけだが、実際は日本も欧米もこちらのほうが実状に近いかもしれない。
ところが、そんなに親しくなったとも思えないのに、いきなり一人住まいの女子が男子を自宅にご招待。ここで僕は40過ぎたアンサ(アルマ・ポウスティさん)に「パパはお前をそんな娘に育てた覚えはない」とか突っ込んだ。女は食器とワインを、男は花なんか買って2人ともルンルンウキウキ気分。
そしてこれがフランス・イタリア映画なら食事後、2人は確実にベッドインだ。なんなら濃厚なセックスシーンがあって、オッパイ出るわボカシは出るわで朝を迎える。ところが、食後2人はソファに座ってなんかぎこちない。しかも間がヒト1人分ある。ここで僕は再び、「おまえら中高生か?何で家にお呼ばれしたんだ !」と突っ込むわけである。
それから口喧嘩も特にハリウッド映画に比べて静かだ。アンサ「アル中はゴメンよ」、ホラッパ「指図はゴメンだ」とか言い合うが、少し口調が強いだけで大声で怒鳴り合うわけではない。ハリウッド映画では、ケンカの場面が大声でうるさくて、耳をふさいで字幕だけ読んでることがあるから余計に静かだと想ったのかもしれない。
◆ラブコメも含めて恋愛ドラマと言ったら ”すれ違い” である。僕も古今東西の恋愛物に精通してるわけではないが、これがない恋愛物なんてないんじゃないか? ドラマの中の2人は知らないのに見てるほうは分かってるから「あーもう違うのに何でこうなっちゃうんだ」とかヤキモキする。
考えてみると、知り合いでもない、しかもフィクションの2人のスレ違いに勝手にヤキモキして悶えてるなんてアホな話だが、まあヤキモキが面白くって見てるのだから良しとする。
今回は「ああ、本命じゃないやつと何で寝ちゃうかな、ホントにもう」ってのがない分だけ助かっている。
最初にホラッパが電話のメモを失くしてスレ違う。だから2度目のメモは財布にしまいチャック付きのポッケにしまいしっかり閉める。これでスレ違うこともなく万全かと思ったら最後にトラム事故だ。見てたときは「あー何てこったい。何でこーなる」と思ったが、今考えると「恋愛スレ違い物で事故・病気って定番じゃね?事故るって当然じゃん」とか思ったりもする。フムフムよくぞ(?)事故った。見てるときは事故が定番なんてことは思いもよらず、消えた男、悲しむ女ってことでこっちも意気消沈。
話は前後するが、男が以前2人で見た映画館前で、女が現れはしないかと何時間も待つが諦めて去ったあと、女が現れてタバコの吸い殻を見つける場面。 今まで様々なドラマで何度同じような場面を見てきたんだろうと思うぐらい定番だがヤッパシ面白い。「あー、もう少しで会えたのにー」と知らない他人に思うわけである。
◆印象に残ったセリフに場面
・アンサが女友達とソーダを飲む場面でのセリフ。多少違うかもだが。
「男なんて同じ型の鋳型、ブタと同じ」
「違う、ブタは賢くて優しい」
「ブタに乾杯」
ちなみにソーダの色は赤と青で、とてもきれいで印象に残った。
・何の場面か忘れた
「家でゴロゴロしてるが、理由もなく出かけない」
・ホラッパが上着を友達に借りる場面
「上着を貸してくれ、大事な会合がある」
「女か、お前でいいとはな」
女だと察するのと、おちょくるのがいい。
◆時々出る歌が2人の心情を歌っているところが良いと思った。
◆2人で最初に見る映画がゾンビ映画なのが笑えた。最初はコメディとかロマンチックなのが良くねとは思うが、実際に有りそうな気がする。
このゾンビ映画、作品名は忘れたがアダム・ドライバーが出てるやつで何年か前にやっていた。監督は「パターソン」の監督。こちらも監督名忘れたが有名な人。
枯葉舞い散る北欧人情劇場
知ってるけど観たことない映画や監督さんの作品シリーズの本年トリは、フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキです。人生に疲れた何の変哲もない中年男女のラブストーリーで、よくこの内容で映画を作ったと感心しました。ドラマティックな盛り上がりもなく、主人たちの過去や感情すらも排し、徹底的に余分なものを削ぎ落としたシンプル過ぎるセリフなのに、シーンのあちこちから監督の主人公たちへの暖かい眼差しが感じられ、画面から眼を離せませんでした。また、あちこちに監督の映画趣味が見られるのも楽しかったです。衣装や小道具がブルーや赤などの原色使いが初期のゴダールっぽいと思ったら、映画館のポスターが『気狂いピエロ』だったり、かかっている映画がジャームッシュの『デッドマン・ドント・ダイ』だったり、これらの監督作品にどこか通じるものがあります。役者さん達は馴染みのない人ばかりだけど、そこがいいのかも。
"会えない時間"が愛(相) 育てるのさ ♪
映画の舞台となるフィンランドは、「ムーミンの国」「国民幸福度が世界1位」「国民ひとりGDPが世界1位」「貧富差が少ない」という良いイメージばかりだが、
社会からの恩恵を受けられない貧困労働者のふたりが 本作の主人公なのだが
2人が生活する社会環境にも、現代の富の象徴である"物資的裕福さ"は存在せず、
スマートフォンも普及しておらず、誰も持っていない。
パソコンも高価な為に、昔ながらのPCバンに行くしかない。
楽しみは、映画鑑賞と、40年前には日本にもあった KARAOKEバー店
これだけだと、40年以上前の日本と同じだが
TVも大した番組はないのだろう。
唯一、時代感がある 1局しかない「ラジオ」から毎回流れてくるのは、
国民が期待する音楽ではなく"ロシア・ウクライナ戦争"の暗いニュースばかり
ラジオから聞こえる内容で、この映画の舞台が2023年なのがやっと判る。
こんな気晴らしがない社会では、労働者が腐るのも無理はなく、寒さが厳しい北欧州なので、自殺率が高い。
希望がない社会を映す映画に、子供は登場しなかった。
とうぜん 子どもの為のモノもない。
映画のラストに流れるのは、有名なシャンソン「枯葉」
雰囲気がある とても良い歌だ。
しかし、映画を観終わって、どうも この歌のイメージと映画から感じたものに差異があり、
帰宅後に、調べてみたが、「枯葉」の歌は、映画「夜の門(Les Portes de la Nuit)」の中で使われた曲であり
歌詞の内容は。。。。。ちょっと この映画とはかけ離れている。
フランス語が判らないフィンランド人監督は、主題曲の"表面的心地よさ"だけから、この曲を選び
この映画の題名にしたのかもしれないが、
この映画は、何かを"きちんと問題定義"されたわけでもなく、単に ふたりの貧困者が、日々の生活に追われて、自分に与えられた選択肢もなく
成るようになった 悲惨さを魅せているだけで、この映画から生み出されるものはない。
役者は、自然な演技をしており、映画の中では、日常から、さりげなく切り取ったようなシーンが続く。
撮影は ちょっと低めの固定カメラが中心で、動きはなく、欧州独特の撮影だった。
ストーリー的には、キスシーンもベットシーンもない 典型的な昔ながらの恋愛映画
古典的恋愛映画では「主役男性は、不器用でシャイ もしくは 不良」「お相手となる女性主役は、お嬢様」なのだが、
本作の主演男女とも ルールを守れない身勝手で ちょっと腐った 何も努力をしない貧困者
そんな、貧困者に対して、神様は甘くはなく、恋愛の手助けはしてくれない。
すべての者から,見放されて、取り残された 映画後の"ふたりの人生"は、ろくでもない事が予想され、映画が80分で終わった事に鑑賞者は救われた。
この映画の 続きがあり、映画に残りの20分間があったら、
2人の顛末は さぞかし悲しい展開に成っていたと思われます。
昔ながらの、男女のすれ違い映画なら「めぐり逢い(1957)」を観たくなりました。
竹田の子守唄
落ち着いてみることはできるおすすめ枠。&2023年の映画の振り返り(その2)
今年441本目(合計1,091本目/今月(2023年12月度)42本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
大阪市では今日から公開という変わったスケジュールでした。
それにしてもこの超硬派な内容、シアタス心斎橋(イオンシネマ系列)で扱っているようなんですけど、意味あるんでしょうか…(普通は無難なアニメが多い)。
ということで、硬派な映画がみたいならシネリーブルということでそちらに。
まず映画の描写内で「驚くほど」時期を推測できるところが少ない、というところがあります。もっとも多くの方が書かれている通り、ロシアのウクライナ侵攻や、スマホを使っているシーン(1か所だけでしたっけ?)があることから、2023~ということはわかりますが、こうしたシーンが出る割に、舞台はフィンランドですが「反戦とも何とも述べていない」という映画です(「戦争」の話はラジオかテレビかで言っているシーンでしか出ない)。
見ていて「落ち着く」映画ではあるのですが(人を不愉快にするような描写はまるで出てこない)、一方で「この映画の「枯れ葉」が何を意味するのか」という点まで考えると答えが出なかったりします(調べた方もいらっしゃる模様。どうもそれで正しいことを確認。他の方の投稿確認のこと)。こういった事情があるので「木の話なのか」「葉っぱの話なのか」というのは全然違うし、まして「人にたとえて」「年老いた老婆などをこのように表したもの」でもありません(主人公は多少年を取られていると思いますが、それで老婆というなら全員老婆になってしまう)。
こういった点があいまって「映画として見る分にはいろいろ考えさせられる部分は多いが、何が枯れ葉なのだろう?」という点がわからず結構混乱しそうです(しかもフィンランド映画であり字幕などは丁寧ではあるものの、妙にこなれない日本語が出てきてわからない部分も出てくる)。こうした点がやや厳しいかなぁ…といったところです。
よく私はフランス映画について「余韻を残すタイプ」だと書きますが(そうでないものもあるけれど)、これに近い形です。言語こそフィンランド映画ですが、限りなくその「典型的な」フランス映画という部分に結構似ているなといった印象です。
採点にあたってはとくに差し引く要素はないので(ただ、何度か見るのが想定されていると思います)、フルスコアです。
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(減点なし/参考/2023年の映画の事情)
2021年、2022年とコロナ事情で映画館が全部閉まったり、20時ルールや「1つ座りルール」ができたりとしたこの数年間ですが、やっと平常に戻りつつあるのが2023年の5月の5類移行の後で、2024年はそれが本格的に「1年」あるのでそれが試される年なのだろうと思います。
そんな中でも「ベスト3」については前のポストで書きましたが、ほか気になった映画をいくつか紹介。
「君は放課後インソムニア」 → 石川県を舞台にする高校生の恋愛と天文ネタ。ただし映画では天文に関することは少な目(原作アニメのほうではどんどん出てくる)。ここは評価が分かれそう。
「 ルー、パリで生まれた猫」 → 実話ものではないですが、実質的に実話ものといっても差し支えがない作品。登場人物も数名と猫「だけ」で(エンディングロールもあっさり)、「子供が猫を飼うということはどのような道徳的責任が求められるのか」「親は子に対してどのような命の大切さを教えるのか」といった論点があります(フランス映画)。
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ヘルシンキの{ボーイ・ミーツ・ガール}
フィンランドの首都ヘルシンキで
スーパーの店員として暮らす『アンサ(アルマ・ポウスティ)』は
期限切れで廃棄すべき商品をくすねたことが原因で失業。
そして同時期に、工事現場で働く『ホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)』とカラオケバーで出合い、
二人は互いに一目惚れ。
しかし『ホラッパ』はアル中。
職務中の飲酒がバレ、次から次へと転職を繰り返すさ中。
共に厳しい現実に直面する二人の恋の行方は・・・・と、
プロットだけを追えば典型的な{ボーイ・ミーツ・ガール}。
しかし、主人公の二人の年齢はどう見ても四十歳近くで
立派なおばさんとおじさん。
それでも、しっとりとした{ラブストリー}を成立させてしまう、
監督・脚本の『アキ・カウリスマキ』の手腕には敬服。
81分尺の小品。
ため、科白を切り詰め説明を省略し、
シーンを巧みに繋ぐことで極上の短編に仕上げる。
あまりにそっけなさ過ぎて、
言葉による説明過多の直近の邦画に慣れてしまうと
かなりの物足りなさを感じてしまうのでは。
が、背景も含め淡々とした描写が独特の雰囲気を醸す。
二人の現状を判らせる、冒頭のシークエンスはとりわけ見事。
ほんの短い時間で労働者が体よく使われている社会の状況と、
空虚な生活を見せ、
これで鑑賞者は一気に感情移入。
また、本編の舞台は現代。
ラジオから流れるロシアのウクライナ侵攻に関するニュースの
日本での報道内容とは随分と異なることの驚き
(陸で国境を接する国の論評は違う)。
意図的に病院を攻撃するのは、社会の混乱を目論むロシアの常套手段である、
などを聞けば更に厭世的な気分になろうというもの。
そこに1960~80年代の音楽もたっぷり盛り込み
(中には〔竹田の子守歌〕もあり)、
最後にはタイトル通りの〔枯葉〕に持っていく巧さ。
人生の秋に近くなって咲いた恋でも、
まだまだ先の幸せを期待させるとの。
そしておそらく
監督が偏愛するであろう映画の数々が
ポスターに仮託し貼られている。
〔若者のすべて/Rocco e i suoi fratelli(1960年)〕
〔気狂いピエロ/Pierrot Le Fou(1965年〕は印象にも残るが
初めてのデートで観る映画が
『ジム・ジャームッシュ』の〔デッド・ドント・ダイ(2019年)〕
なのには笑ったが。
ひょんなことから『アンサ』が飼うことになった犬の名前が
『チャップリン』なのも、
「放浪紳士」は最後は概ね、
背中を向けて去るのを想起させもする。
古き良き時代の映画へのオマージュも
随所に感じるところ。
本作もよりドラマチックな要素を付加すれば
十分にそうした作品群と近似する。
登場する映画館の名前が「Ritz」なのは
皮肉な名称にも思えるが。
アンサのウィンクがかわいい
パーフェクトじゃない日々
カウリスマキに「アナログ」撮って欲しかった
2023の最後はこれだった。失敗がないと思ったし、いい気分で終わりたかったから。そしていい気分で映画館を出て来れた。
フィンランドの他愛もない男と女の話でしかない。ラジオからウクライナのニュースが流れ、世知辛い世の中の視線の中で仕事先を解雇されるふたりが出会ってくっつくまで。カット選択、感情、ミニマル表現の中でふっとエモーションが動くのが素敵だ。今時名前も知らないふたりが出会っていい感じになって、電話番号の紙を渡してそれがポケットから落ちて風で飛んであえなくなって、別れた映画館でいつか会えるとずっと待ってて足元にたくさんの吸い殻を映して、それを女が観る、なんて映画が観れるなんて。歳とったいかれた男女は素晴らしい。男がまさかの禁酒を実践し、電話をかけた時のアルマ・ボウスティの犬に出ろという視線と、その後電話出た瞬間にすぐに来て、というスピード感が素晴らしい。
なんだかんだで年末はベンダースにカウリスマキという、やっぱりあなたたちの映画は映画的喜びに満ちてます、という感じ。
そういえば、映画化された北野武の「アナログ」はこんなテイストの映画で観たかったな、と思った。
カウリスマキの帰還‼️
お帰りなさい、カウリスマキ監督‼️6年前の引退宣言があったので、もう新作は見れないと思っていたので、メチャクチャ嬉しかった‼️しかも内容はラブ・ストーリー‼️しかもチョット古風でノスタルジック‼️そしてチョットすれ違い気味‼️加えて全編に映画愛が溢れている‼️仕事をクビになった女性アンサと、アル中気味の作業員の男性ホラッパ。二人はカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合い、再会の約束をするが・・・‼️電話番号のメモを無くしたり、アル中であることを責められ気まずくなったり、酒を断って会う約束をした矢先に事故にあったり‼️ビミョーに心地良いすれ違い具合ですよね‼️主演の二人も大きなリアクションは無いのですが、微妙な表情の変化で互いのことが気になる心情を表現していて、素晴らしかった‼️そして音楽‼️二人が出会うカラオケバーや、ホラッパが同僚と出かける酒場で流れる音楽‼️クラシックからカラオケ、バンド演奏まで実に多彩で、特に酒場での女の子2人組マウステテュトットの演奏シーン‼️「悲しみに生まれ、失望を身にまとう」という楽曲が耳から離れない‼️サントラ欲しい‼️もしくは彼女たちのCDでもいいから‼️そして、アンサのラジオから流れるロシアのウクライナ侵攻のニュース‼️こんな素敵なラブ・ストーリーが展開されてる一方、現代の社会情勢を批判する姿勢も忘れない‼️サスガ‼️最後に映画愛‼️二人がデートで通う映画館で流れるジム・ジャームッシュ監督の「デッド・ドント・ダイ」‼️なんでこの映画が上映されているのか意味不明なんですが‼️あと映画館に貼ってあるポスター‼️多分今作に多大な影響与えているであろうデヴィッド・リーン監督の名作「逢引き」、ジャン・リュック・ゴダール監督の「気狂いピエロ」、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「若者のすべて」、ロベール・ブレッソン監督の「ラルジャン」などなど‼️改めてもう一度観直したくなります‼️そしてホラッパがアンサのために酒断ちを決意、持っていたボトルを二本、洗面所の流しに捨てる‼️その次のカットで青空が広がる演出は、まるで小津安二郎監督作みたいでした‼️そしてアンサが飼っている犬の名前はチャップリン‼️もう言うことありません‼️映画ファンの心を鷲掴み‼️退院したホラッパへのアンサのウインクもホント素敵‼️カウリスマキ監督からの我々映画ファンへのウインクであり、我々映画ファンからカウリスマキ監督へのウインクでもあります‼️カウリスマキ監督、次作も期待してますよ‼️
不器用な恋
チャップリンや小津安二郎が好きで
未来よりも過去を敬愛するアキ・カウリスマキ監督の作品。
不器用な中年男女の恋。滋味だが味わいが
ある役者の方々の演技。
不当解雇やアルコール依存性からから生活
の日常。その中で戦争のニュースがラジオから
ながれてくる。カウリスマキ監督らしい。
音響の使い方も良かった。メモ書きを無くす
シーンも。然り気無くクスッと笑う表情も
じわじわくる。携帯が出てこないのも良いよね。あと、監督の愛犬も可愛いかった。
ミニマルな環境下で過ごす彼らの現実。
今の時代に問いてくる映画なのでは。
忙しい最中、少し落ち着いた時に
観ても良い映画。
素敵なラストシーンでした。
感情を排した先にある、淡々とした心地よさ
労働者階級における、中年のシンプルな恋愛を描いた作品。
ほとんど感情表現がなく、セリフと虚ろな目線で語られるので、どこかロボットのように感じられるが、人間の器として逆に奥底の深いものが表現されている感覚がある。
ところどころに皮肉めいたユーモアがあり、くすっと笑えるところが、ちょっとしたスパイスとなる。
直近のPERFECT DAYSとは、同様な職業を扱い淡々とした、という点では似ているが、あちらは優雅でのびのびとした世界観、綺麗な面(だけを)描いているが、こちらはよりリアルに労働者を描いており、社会性を反映したものとなっている。
恋愛を扱っていることで、重すぎず、心地よくみることができる。
途中、電車で見送るシーンは、まるでシンデレラの馬車のようであった。
年末に落ち着いて観るにふさわしい作品であった。
2023年劇場鑑賞119本目
“懐かしさ”が沢山詰まった物語
分別せぇ
傑作
フィンランドのカウリスマキ監督が引退宣言を撤回し6年ぶりに撮った映画は、目の覚めるような傑作だった。監督自身が語っている。「無意味でバカげた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、人類に未来をもたらすかもしれない、愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました」と。映画のなかではウクライナの惨状を伝えるラジオが流れ、それを聞く主人公アンサの失望感と怒りのセリフ。映画作家であるならば全世界の危機である現在に映画を撮らないでどうするのか。
さて本編。カウリスマキ独特の無表情かつ無動作の人物描写は相変わらずで、その映像に磨きがかかっている。ノスタルジックな雰囲気と音楽、それに色彩が魔法のように美しい。コメディー要素もあって笑いも忘れない。冒頭あたりのシーンで電車に乗っているアンサの厳しい表情からなみなみならぬものを感じた。監督の気概というかね。苦しくとも自分らしく強く生きる、他人には決して媚びない。または、運命には抗うことができない、という覚悟。そういった人間そのものを見せつけられた。物語も思いがけない方向に転がり目が離せない。途中、やせ細った野良が加わる。この犬がめちゃくちゃ可愛いのだ。おれは犬さんは苦手なんだけど、この犬さんとなら友達になれる気がした。しかも“チャップリン”と名付けられ可愛がられる。ラスト近くでずっと表情が硬かったアンサが微笑む。このシーンにはたまらなく胸をうった。邦画のやかましく幼いラブストーリーとは対極の表現。そういえば音楽も多彩でおもしろかった。バーで若い女性ユニットが歌うシーン、暗い歌詞で音程がずっと低い、でもそのメロディーがやけに心にひっかかる。あとチャイコフスキーの「悲愴」もいいところで流れる。エンドクレジットで確認したらムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルのメロディア音源。
枯れ葉は輝く
葉はいつしか若かりし頃の彩りを失い、老いて朽ちていく。しかし、枯れても美しく、冬の訪れを感じさせる秋の輝きとなっているのが葉の最期・枯れ葉だ。人間だって葉のように一生輝けるし、輝きを求めることに年齢は関係ない。どんなに過酷な状況に立たされても、いくら老いて孤独になろうとも、希望だけは持ち続けたいと強く思えた作品だった。
セリフが少なく、行間は多く、観客に感じとる力が求められる。ひょんなことから始まる恋物語。過酷な環境下で生きる2人が、お互いに見出した魅力。メロドラマとしてだけでなく、「PERFECT DAYS」のような今を生きる人全てに送る、最高の人間ドラマでもある。優しい光に包み込まれた、趣深い音楽たち。日本の曲だってたまらない。名画座で上映されるような作風であるため、最新作なのに、旧作を見ているような気分になれる本作。ジム・ジャームッシュの「デッド・ドント・ダイ」が出てようやく、現代であることを認識させる。
この映画を見て1番に感じたのは、まだまだ映画好きと名乗るには勉強が足りないなということ。いい作品であることは十分に理解できるけど、この物静かさには耐え難く、81分という短尺でも中々ハード。本作を絶賛するには、名画座で流れるようなコアな作品の鑑賞と知識が多く求められる。いやぁ、頑張らないとな。
なんだか古い映画のよう
淡々とした映画
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