「1日経ってじわじわ来た」関心領域 テトさんの映画レビュー(感想・評価)
1日経ってじわじわ来た
鑑賞中は不協和音の単調な音楽、叫びのような声、急な赤い画面等々、正直気持ち悪くて、クレジットの時には早く出たくてたまらなく。はー、また変な映画にお金を払ってしまったと後悔しながら帰路に着きましたが…1日経ってジワジワきました。
アウシュビッツが出てくるということで、
今起こっている世の中の紛争など他国にもちゃんと関心を持ち続けよう、 というようなメッセージが込められているのかな?と思いましたがそれだけじゃなかった。
ずっと続く赤ちゃんの泣き声が気になっていたのですが…
あの司令官の奥さんは自分の子供の様子すら関心を持ってなかったのでは?
考えてみたら、夜に女の子が廊下でポツンとしてることに気づいたのは司令官。
奥さんは、男の子が外の看守とユダヤ人とのやりとりを聞いて心を痛めてることにも気づいてないだろうし、そもそも子供を連れてその環境にいくことで、子供にどんな影響があるかなんて考えてなかったんだろうなあ…とか考え始めたら、
その人を中心に同心円状に広がっていく関心領域の図が頭に浮かび、
自分のこと、家族のこと、身近な人のこと、…その先に世界の情勢のこと、と続いていくのかなあと。
奥さんと司令官の関心領域の大きさが対象的に描かれていて、
関心が自分の夢、願望の実現だけの奥さんと、一方、家族、同僚、そして実はユダヤ人についても関心領域に入ってるのでは?と思える司令官(人が集まった様子を見てどう殺すか考えてしまう自分にかなりストレスがかかっている様子だった)
個々の関心領域の広さと幸福度の関係性、はたまた社会全体の幸福度とは…
とグルグル思考するに至り、
さらに、日頃の自分の関心領域についても意識することにもなり、
なかなか自分が今後生きていくのにいいキッカケとなる映画になりそうな感じです。