「悲鳴を無視して執着する、美しい生活。」関心領域 jinminさんの映画レビュー(感想・評価)
悲鳴を無視して執着する、美しい生活。
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人を生きたまま焼くような虐殺が進行する横で、ユダヤ人の悲鳴を積極的に無視し、ユダヤ人からの収奪で成り立つ美しい生活に執着する主人公の一家。
転勤を命じられても、そこでの「天国」のような暮らしに留まろうとする様子は、彼らが単に上からの命令に歯車として従っただけでは無く、積極的に悪に加担していたということを示す。
後半、さすがにこの異常さに慣れきることは出来ず、ヘートヴィヒ・ヘス以外の人物に歪みがでてきたのには、むしろ人間性を感じてホッとしたくらい、救いがなかった。
実証に基づいた悲鳴の聞こえ方をシミュレートした音響、節目になる悲鳴を取り入れた重すぎる音楽もすさまじかった。
他にも、悲鳴をないものとして、鳥の声をよく聞けという狩のシーンには怖気立つものがあった。
世界のあらゆる場所で起きている差別と収奪の普遍的な構造をあきらかにし、現在進行形で人を焼く虐殺が行われている、今現在のわたしたちに向けて作られている映画。
またそれはパレスチナやシリアやミャンマーなどでの虐殺に限らず、例えば外国人労働者からの収奪で生活を成り立たせながら、彼らの苦境には耳を貸さず、彼らを使い捨てるような法案を通そうとしてる、日本の現状をも突き刺している。
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