「バディ・エクソシストvs悪魔」ヴァチカンのエクソシスト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
バディ・エクソシストvs悪魔
別に『エクソシスト』を見たからという訳ではないが、こちらは別の“エクソシスト映画”。
カトリック教の総本山ヴァチカンのローマ教皇に仕え、生涯に数万回の悪魔祓いを行った主席悪魔祓い師(チーフ・エクソシスト)、ガブリエーレ・アモルト神父の回顧録を映画化。
神父は実在の人物。2023年に死去。回顧録なので実話が基。相当脚色はされているだろうが。
こういう“エクソシスト映画”って実話ベースが多い。金字塔の『エクソシスト』然り。
悪魔との壮絶な闘い。
嘘か真か。多くの記録も残され、あからさまに嘘とは言い難いし、かと言ってにわかに信じ難い。
しかし、それがまた興味惹かれる理由。人知を越えたもの、信じ難いものを覗いてみたい…。
本作はそんなに深淵なものではなく。いい意味でB級エンタメ・ホラー。
氾濫する“エクソシスト映画”の類いの一つだが、『~信じる者』なんかよりはずっと面白かった。
話もオーソドックス。悪魔に憑かれた少年。
教皇の命で、アモルト神父が悪魔祓いに当たる。
アモルト神父役にラッセル・クロウ。厳つい顔と体格で悪魔より怖いんじゃね?…というのはさておき、そこは演技巧者。教会から問題児とされているアウトローな感じはぴったり。でも、ラジー賞ノミネート…。
若い神父のトマースが補佐役。ベテランと新人神父コンビのバディ・ムービーな赴き。
悪魔と対するにはその悪魔が何者か知らなければならない。
調べると浮かび上がってくる、中世時代に舞台の修道院であった事…。教会やある悪魔祓い師や歴史の闇…。恐ろしい陰謀…。謎解きサスペンス風。
そして明らかになった悪魔の正体は、予想だにしなかったヤベー奴。“地獄の魔王”とも言われるアスモデウス…!
対する為、アモルト神父らは各々の罪を告解。
アモルト神父が抱える罪…。
トマース神父が抱える罪…。
付け入る隙=心の弱さを見せてはならない。
そして遂に、悪魔との壮絶な闘いが幕を開ける…。
クライマックスは大音響のもはやアクション。
真面目にやってこれだったらアレだけど、割り切った無難な面白さ。畳み掛ける終盤は痛快でもあった。
本当に『~信じる者』なんかより遥かにマシ。寧ろこちらの方が正統続編でよくね?
悪魔が宿るとされる場所はまだまだ世界各地に。
バディ・エクソシストの“次”も匂わす。
悪魔ども、我が信仰心尽きぬまで、地獄の果てまでも…!