「怖いと恐いは意味は同じでも客観的心情からは恐いであって欲しかったかな」ヴァチカンのエクソシスト 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
怖いと恐いは意味は同じでも客観的心情からは恐いであって欲しかったかな
「グラディエーター」「レ・ミゼラブル」のラッセル・クロウが悪魔祓いを務めるとあって注目していた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…う〜ん、まあまあw
まあまあだけど、個人的には火薬使い過ぎで派手感一杯で…改めて1973年「エクソシスト」の偉大さを感じてしまう。
実在の祓魔師(エクソシスト)のガブリエーレ・アモルト神父の著書を映画化し、その主演がラッセル・クロウならそりゃあ注目はするでしょう。ましてや夏にホラー映画は定番だしw
悪魔祓いは映画や小説、漫画などでよく知られる存在であってもそれは創作物の中が大多数であり、実際にあってそれがどれ程の物かは正直分からない部分も多い。
20世紀から21世紀にかけて形骸化していた祓魔師は教会制度の見直しにあたって廃止されたとも聞く。
ただ完全に無くなった訳ではないらしく、それを求める人も一定数居て、それで救われた人もいるとの事。日本でもお祓いなどは普通にあるし、イタコや狐払い、霊能力などオカルティックな物は普通に存在する。
眉唾物と言えばそうなのかも知れないが文化が違えば、信じるものも違う訳でそれが精神的支柱であっても良いと思う。
少なくとも悪魔祓いが嘘でしたと完全に否定されると夢もロマンも無いと考える訳です。
で、実在の神父の著書を映画化したとあって、怖い怖いホラー映画を堪能出来ると思ったらちょっと違った。
もう爆発バンバン。火柱ドカドカ。悪魔の力、広範囲過ぎ。何よりも舞台となる修道院に呪われ過ぎる原因てんこ盛り。
ちょっと派手過ぎて予想と違い過ぎて、「ん?コンスタンティンか?」と思ってしまった。
監督のジュリアス・エイバリーは過去に「オーヴァロード」でもドッカンドッカンやっているのでそういう気配は感じていたけど、ちとやりすぎ感はあるかな。
また、ラッセル・クロウ演じるアモルト神父がなかなかファンキーでお茶目な感じ。実力派のアウトロー感が良い味を出してはいるけど、その分相棒のトマース神父が影が薄く感じる。また風貌や言動行動から「アオラレ」を思い出すんですよね。見た目はブラックサンタっぽいけど。
実在の人物をモチーフにしているのであれば、もっとじわりじわりとヒタヒタするような怖さの方が良かったかなと。
そうする事で物語の本質の原因にもっと深く掘り下げられたし、エクソシストの本質も垣間見えたかなと。
特殊効果の影響が強過ぎてそこがブレた感じがするんですよね。
そう思うとやっぱり「エクソシスト」は偉大だな〜と感じてしまう。
数多の悪魔祓い映画があるけど、個人的にはあれを超えるものは無いと思うし出会ってもいない。
また作中でも「エクソシスト」のオマージュ的な描写はある。
もう半世紀近く前の映画にいまだに捉われていると言うのも因果な話。
もう少しじんわりと緊迫感が漂い、琴線を触れるような恐さを期待していたので個人的にはちょっと残念。
「こわい」と言う漢字は「怖い」と「恐い」があるが、どちらも意味は同じで使い分けにも特に意味を成さない。
だが怖いよりも恐いの方が意味は同じでも客観的心情からはより「恐い」の方が強調されている感じはする。
そう思うとこの作品はより「恐い」であって欲しかったかなと感じます。
まあ個人的な感想ではあるのですが。
観る側のジャンルの枠を取り外して、この作品をホラーアクション映画として考えると…あ、やっぱりそれは「コンスタンティン」になるのかw