劇場公開日 2023年11月23日

  • 予告編を見る

首のレビュー・感想・評価

全688件中、21~40件目を表示

3.0忍者のご利用は用法用量を守って正しくお使いください。

2024年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

早速ですが、戦国時代を舞台にした作品で忍者を多用する作品は控えめに言って〇ソです。

もちろん架空の人物を中心とした創作の物語でならまだいいのですが、実在した武将と史実を軸に据えた大河ドラマのような作品で忍者を多用するようでは、コレはもう逃げたな…としか思えません。

確かに忍者は便利です。武将の手足となって、その企みを実現させてくれますし、歴史的事実にがんじがらめで不自由な武将たちに変わってありとあらゆるオリジナルエピソードを乗っける事もできれば、主人公の武将が関わってない美味しい歴史的なイベントにも何らかの形でそこに居合わせたとして絡める事が出来るのです。詳細な活動記録は無いが確かに存在したというあまりに便利で自由な存在、忍者―。

世に溢れる歴史物というジャンルの中で先行作品と差別化を図るのが大変な事は簡単に想像ができます。できるのですが、それでも歴史上の有名人、人気イベントのネームバリューにあやかって作品を作るのであれば、新しい仮説や独自の解釈を駆使して頑張って欲しいなというのが基本的な私の想いです。なので主人公の有名武将をそっちのけで忍者が冒険し、恋愛し、殊勲をたて、実は歴史を裏で作っていました!的なエピソードを多用している作品を観ると、作り手側が歴史から逃げたのだなと思ってしまうのです。

そしてまさか本作が割と忍者成分高めの作品になっているとは思いもしませんでした。
一応、曽呂利新左衛門も服部半蔵も実在の人物ですが映画での扱いはほぼ自由な忍者枠であり、勝村政信と桐谷健太の空中戦は失笑ものです。
メインの登場人物がことごとく利己のために人を裏切り、他人の命を屁とも思っていない中で、このファンタジー枠の忍者たちだけが主君に忠実な姿で描かれ、かなりの活躍を見せますが、そもそも北野武監督は大義だ忠義だ言ったって戦国武将は野蛮な殺人狂という独自の解釈を持っていた訳で、そのコンセプトで作るならファンタジー忍者の忠誠心なんてかえって邪魔だったのでは?と感じるのです。

また今作でのコミカルなシーンのほとんどが、ただのビートたけしのコントを見せられている感じで、映画の雰囲気からは浮いているように見えました。
これも映画の序盤までは良かったと思うのです。利休からの書状を読む秀吉と秀長のやり取りと、それを見る官兵衛の「奉公先 間違えたかなぁ~」と言わんばかりの表情を映すところ等はグッときます。
あくまでも物語の登場人物たちは真剣なのに観客という立場で観ていると、どことなく滑稽でクスッと出来るというのが良いと思うのですが、後半(家康と会うあたりから)は物語の登場人物ではなく演者であるビートたけしや大森南朋がドンドン前に出てきてコントを演じているという風に映ります。私自身が笑い上戸な事もあり、このコントでも笑える事は笑えるのですが、映画の流れの中では不自然に浮いている印象を抱くのです。
もともと北野武監督作品って何でここでこの演出なの?という浮いた印象を抱くシーンが多いのですが、アウトレイジの1、2作目が良かったのは笑えるシーンも含めて映画の流れの中で不自然に浮いていると感じるシーンが無かったからという事もあったと思うので、本作も開き直って同じ様に撮ればよかったのになぁ~と残念に思います。

またシリアスとかコミカルとか関係なしに何人かの役者の演技が時代劇的雰囲気が皆無なのも気になりました。特に遠藤憲一と大森南朋が顕著で、この浮きっぷりは一体何なのか?木村祐一にはそもそも演技力など期待していないので彼の演技についてはまぁいいのですが、その木村祐一が結構出ずっぱりなのも含めて、ここら辺の演出意図が自分にはよく分かりませんでした。ただそのせいもあり、血統もキャリアも上等な中村獅童が本作でのヨゴレ役を好演しているのが際立ち、とても印象深かったです。
この映画で一番武勲をたてたのは中村獅童だったのではないかなと思いました。

コメントする 1件)
共感した! 7件)
モアイ

4.0お高くとまった『歴史好き』の鼻ぶちおるコント

2024年9月1日
Androidアプリから投稿

北野武映画の型破り感、これが最大化されるのが、ヤクザ映画のようなジャンル映画として固まってるもの『型』があるものを取り上げる時だと感じていて、今回『時代劇』はまさにシナジーがあるテーマ。っていうかアウトレイジも組織内の紛争なのでやってることはほぼ一緒。

そもそもコントもそうで、設定があって観客が『この役や立場の人はこう動くであろう』という予想を馬鹿馬鹿しく裏切ることで笑いを産むものなので、武さんの強みはここにあると感じている。
本作、大河ドラマや時代劇で描かれない汚い部分、もっと言うと観たくない部分を詰め込み、今までこのジャンルで描かれてきた歴史像の逆張りに徹しており、そこに凄く好感をもった。

ドラマではイケメンがクールに演じる信長は、方言丸出し男色狂人。
憎悪と裏切り者の代名詞光秀は、ハンサム西島がそそのかされながら本能寺へ。
田舎者、切れ者、俊敏、口達者が絶対条件の秀吉は、武さんがもっちゃり標準語でわりと人任せ。
戦の武将の華麗な切り合いや一番槍の誉れは、足軽の泥仕合や武将同士のなすりつけあいに。

時代劇が繰り返しすぎて、それが正解と思い込んでいたり美化している部分を、だれもみてねぇだろと馬鹿にしてくれて痛快だったし、むしろ誠実さを感じた。

基本的に笑いながら観れたが、中村獅童が友達、家族、ついには自分の命を捨ててまで得た出世の鍵となる『首』が、上にとっては大したもんでも無かった落ちにはグッときた。
もっと斬新なバイオレンス描写を見たかった気持ちはあるが、おおいに笑ったので満足。

不謹慎さで笑えない人や、そもそも笑うつもりで観てない人、自分のことを賢いと信じる頭のかたい歴史好きには、受け入れられないだろう。
歴史考証?てめぇその時代に生きてたのかよバカ野郎。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
さいてょ

3.5秀吉役は他の俳優で観たかった

2024年8月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

知的

・序盤の猟奇的な信長に引いてしまうが、徐々に慣れてくる。
・加瀬亮演じる信長役はよかった。
・秀吉・秀長・官兵衛のコミカルなやりとりは面白かった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ひろ4

3.0戦国の謎も腑に落ちる

2024年8月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

誰も信じられない愛憎劇。
そう捉えれば戦国最大のミステリー本能寺の変もなんとなく腑に落ちる。
狂気と笑いのバイオレンス!
ソナチネ的な北野ワールドは観ていて面白いですねっ

コメントする 1件)
共感した! 3件)
映爺

4.0北野映画を初めて見る人間です

2024年8月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

・北野映画を初めて見る
・浅い歴史好き。時代劇も好き。考察や解釈にこだわりがあるほど持論もなければ詳しくもない
・ラブシーングロシーンにあまり抵抗なし
・シュールギャグが好き

以上の前提がある私が見た本作の感想としては、面白かった…!!!

最初北野武を筆頭に一部のキャストの年齢が史実年齢と比べてうーん、と違和感があったが、面白かったので途中からは気にならなかった。
ちょこちょこ挟まれるシュールな笑いが面白くて笑ってしまった。主題の首をめぐる殺伐したドラマとちょうどよくバランスが取れていてよかった。
歴史に詳しい人からしたら本作の戦国武将像と解釈に違和感を覚えるのかもしれないが、時代劇やちょっと歴史が好き、くらいのレベルの自分にはこういうのも面白いと思える解釈だったので、ストーリーも終始楽しめた。登場人物がなんだかすごくリアルな人間像で描かれていた。

ただ他の評を見るに、北野映画ファンの方や歴史や時代考証に見識のある方には中々受け入れがたかったのかも…。あとは単純に内容を生理的に受け付けられない方々もいるだろうな…。
ということで非常に人に紹介しずらい作品という意味においてはちょっと悲しい。

最初に述べた何事にも見識の浅い私は普通に楽しめてしまいました…たしかに途中ちょっと長かったけど…。総じて面白かった。
終わり方もめちゃくちゃ好みでした。ラストシーンもう一回見たいな。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
さとう

3.0思ったよりマトモだった

2024年8月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
だるちゃ

3.5北野武というよりビートたけし

2024年8月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

単純

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
緋里阿 純

3.0北野武らしい時代劇

2024年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

難しい

CSで録画視聴。
去年、見逃した作品がやっと観ることができた。
本能寺の変をベースにした時代劇だが、原作、脚本、演出がいかにも
北野武らしい作品。観て良かった。
彼がやりたい時代劇がこの作品ではないか。
ただ、時間が長いのはマイナス。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ナベウーロンティー

4.0(お松)あー、あたし⁉→爆笑

2024年8月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

歴史背景をトレースしながらも、ここまでおもろくできるってサイコー。
それぞれのキャラが立ってて、特に信長の台詞回しは好きだな。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ラーメンは味噌。時々淡麗醤油。

2.0首というよりは衆道

2024年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

女人禁制の坊さんも、戦場に女を同伴出来ない武将も、修道を嗜んでいたのはごく当たり前のこと。 遠藤憲一と西島秀俊の絡み合う汚い映像を見せつけられても気持ち悪いだけ。
どうせなら、バックから西島に攻められるエンケンを撮ってくれたら笑えたかもしれない。
目黒蓮とまでは言わないが、エンケンはあんまりでしょw

秀吉陰謀説も斬新さは皆無だし、首チョンパもスプラッタームービーほどではない。
北野さんは何がやりたかったのかね?

コメントする (0件)
共感した! 2件)
蒼天の青玉

4.5首がポンポンポンポン

2024年8月4日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
てけと2

3.5カッコ良さがない時代劇

2024年7月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

時代劇というと、やっぱりカッコ良さ(生き様から所作まで)があると思うのですが、今回の信長や秀吉には全くなく、無いからこその同じ人間感がありました。

僕のイメージでは明智光秀はどこのお話しでも真面目な武将として描かれているイメージですが今回もそうでした。

やっぱり信長が浮世離れしてるから明智光秀は誰もが真面目なイメージなんでしょうか。

全編を通して今までの時代劇とは違う北野流の時代劇でとても面白かったです。
ただ、歴史を全く知らない方にはやや難しいところもあるかなぁと思いますが、思い切ってコメディと思って鑑賞すればそれはそれでいいのかなとも思います。

またHANA-BIとかキッズリターンとかDollsみたいな映画も期待しております

コメントする (0件)
共感した! 1件)
Francice

1.0映画館で観なくて良かった

2024年7月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

寝られる

上映中行こうと思っていたけど、行きそびれてしまって逆に良かった。配信で十分。

刺激的な描写は数々あれど、カメラワークってやつ?が、正面から全体を撮ってます的な単調な図が多く、もっと多角的な躍動感のある映像であれば多少は楽しめたかなぁ。

役者さん達も、あれ?この方達普段もっと良い演技する人達だよね?と…🤔
なんか硬いような?役に入り込んで無いようなぎこちなさ?何なんでしょか?

殺されてるのにさらにグロく演出したいのか無駄にグサグサ、グサグサ…ソレ必要でした?
そのうちに北野監督の
「どうだい?エグいだろ?」
「こんな時代劇他に無かったろ?」
という声が聞こえてきそうな作品でした。

民衆達の薄汚れた風貌が、あの時代ならそうだっただろうな、とリアル感があったのだけは良かったです。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
ウサギ

4.0首飛びまくり

2024年7月20日
PCから投稿

笑える

楽しい

興奮

楽しくて笑えてグロい。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
えいがまん

2.0よくこれでカンヌに出しましたね

Kさん
2024年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

北野映画は好きですが、今回はちょっと内容がなさすぎた。
外国人がこれ見てわかるんかな?
残虐シーンは別にいいけど、子供はやめて欲しいです。

あと、寺島進、しなない演技、すべってますよ!
全然笑えないし、不自然なだけ!

コメントする (0件)
共感した! 0件)
K

4.0悪くないじゃん…

2024年7月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

あまりに酷評が多いので流し見でいいやと自宅鑑賞してたらつい画面に引き込まれて見入ってしまいました。信長役の加瀬亮さんの超演技と光秀役の西島秀俊さんの熱演が素晴らしく、これは北野監督の想定を超えていたのではと思います。本能寺でのあのオチで信長不在になったあとは少しダレてしまった感がありラストまで惰性での観たといったところです。私的には全然ありの戦国絵巻、面白かったです

コメントする (0件)
共感した! 3件)
虎太郎

2.545点

2024年7月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

映画評価:45点

みんな知っているのに、
誰も詳細を知らない話し
それが《本能寺》

歴史家の方や、夢想家たちが想像を巡らし
想いを馳せる題材。

その本能寺と首をテーマに北野武が挑戦した作品
今までテレビ等には写らなかった着眼点に
正直ハッとさせられました。

割と戦国時代で当たり前だった
衆道(男色文化)を皮切りに男たちの色恋沙汰をメインにすえている。

当たり前だったけど、
イメージ戦略で映されてこなかったテーマ

他にも方言や、裏切り、お座なりなテンション
もっと腐っていて、もっと狂っている
そんな戦略時代をオブラートに包んで表現した

現代では到底理解出来ないであろう
そういう昔の日本文化が詰まっていた。

それらを知る良いキッカケではあるものの、
内容自体はそれら文化の紹介にすぎず
面白いというものではない。

歴史に興味がない人が見れば更に嫌いになりそうだし、歴史好きからすると文句が出てきそうな…

良くも悪くも一石を投じているという意味では
大成功なのではないだろうか?

個人的に一つ文句をつけるとするならタイトル
内容からして《首》ではなく《道》だと思う。
確かに首はポンポン飛んではいたけど、
伝えている内容は首ではなく、様々な人の道。

【2024.7.3観賞】

コメントする (0件)
共感した! 2件)
まぁと@名作探検家

4.0理性の解放

2024年7月1日
Androidアプリから投稿

激しくも劇的きわまりない戦国時代。首狩り族の本能こそ神におもねらない人間の本性。

欲望のままに刀を振るい、首(死)をサッカーボールのように弄び、愛欲の束縛を解放し快楽をむさぼる行為は、脳髄に刺激を加え、理性を解放し、既成概念を破る知的な行為。逆に言えば、知的な行為としての実感がなければ、快楽にもなりえない。たけしの笑いの真髄だ。

本作はたんなるコント映画、好色映画ではなく、一般化された道徳や既成概念では表現できない"人間の真実"を伝えうる物語。
船上の荒川良々に「早く死ねよ!」とか、ラストの終わり方が最高。

たけしの秀吉がすごく良かった。愚者を演じながら、戦後の翌年に足立区で生まれたたけし自身を重ねているようで、何とも言えずチャーミングで面白かった。

そして、テレビ王になって軍団を引き連れるたけしは加瀬亮の信長そのものでヒリヒリした。弥助に首をはねられて終わりゃウケるわな。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
Raspberry

4.0首が飛ぶ。グロ多め。同性愛有。

2024年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

刺激のある映画。全てが新しく感じた時代劇でした。個人的には好きな映画です。

首が飛ぶ、飛ぶ、また飛ぶ。
人間の命はとてもはかなく一瞬であると思わせる。
一瞬で今生きていた人の命が突然消える。
共感性何たらかもしれないけど、自分がもし斬られる立場だったら、
うんまあ、怖いけど一瞬で楽になるならいいのかとすごく考えてしまう。
終始グロ映像がありでございますので、苦手な人は見るのやめましょう。
ダイエットにもいいかもしれません。
いろんなホラーを見ておりますが、この映画はしばらく食欲がなくなるレベルに暇さえあれば血が飛びます。

ボーイズラブというのでしょうか。
そういった同性愛の表現も多数あります。
理解ある人であれば楽しめると思いますが、
汚いおじさん同士なので美しいものではないです。
家族や恋人とは見ないほうががいいかもしれません。気まずいです。

北野武が中心となるのかと思いきや、
明智光秀(西島秀俊さん)を中心に話が進むのですが、とにかく豪華で主役級の俳優さんが多いので、登場人物が多いのに加え存在感が全員あり、ん~この人は誰だっけ?ってなる。
キム兄さん結構な役どころですごいな~と思った。
個人的にはあさイチの副島さんが出てたのがおお…と思った。
一瞬のちょい役かと思ったら結構出てる。
奇抜なキャスティングも好き。
終わり方も意味わからんくて好き。

普通の時代劇が好きな人には勧めません。
なんかこうズバッとした刺激を求めている人、ぜひどうぞ。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
にん

3.0大河風コント?

2024年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

日本史上、初めて武力で全国を統一した男、秀吉。
そして彼は、名も無き尾張の農民の子から、天皇に次ぐ公家の最高位「関白」にもなった、日本史上最高の「成り上がり者」である。

故に、戦国時代を扱う小説、映画、演劇、ドラマの主人公として、重要な役柄としての登場回数は数え切れない。
私が知る限り、彼が主人公や準主役級である場合、本能寺の変までは信長の忠臣として描かれることが多いように思う。近年の大河ドラマであれば「秀吉」、「軍師官兵衛」(いずれも秀吉役は竹中直人)。
一方、脇役である場合、天下への野心を抱く腹黒い男として描かれる場合が多いように思う。同じく近年の大河ドラマであれば「麒麟がくる」(秀吉役は佐々木蔵之介)。

秀吉が主役で野心剥き出しである作品は見た記憶がない。そして、「首」を中心テーマに据えた作品も見たことがない。そういう意味で、この映画の設定は斬新かつ奇抜だ。それに加えて当時の男色(今風に言えばBL)を人物関係の重要な要素に据えているのも面白い。

しかし、豪華だが非常にオチの弱いコントのようにしか見えない。首だ首だと散々煽っておいて、「首なんかどうでもいい」というオチはどうだ?ふざけたことを真面目にやることで染み出るコメディ的な面白さも薄い。荒木村重(遠藤憲一)と明智光秀(西島秀俊)の演技は流石だが、BLはちっとも笑えない。全体を通して殺陣も凄味を感じるほどではない。

何というか、ビートたけしが「世界の北野武」の名を借りて、ずっとやりたかったスケールの大きいコントをやった、という印象しか残らなかった。秀吉の腹黒さ、したたかさの演技と笑いのギャップがもっと欲しかった。できたはずだ。

あっと驚く斬新な設定、芸達者な豪華な役者陣を生かし切れていない。惜しい。

コメントする 1件)
共感した! 19件)
TS