劇場公開日 2023年9月1日

アステロイド・シティのレビュー・感想・評価

全222件中、1~20件目を表示

3.01950年代のアメリカと演劇界の知識がないと解像度がだだ下がるハイコンテクスト作品

2023年9月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

  1955年のアメリカ、かつて隕石が落ちた田舎町「アステロイド・シティ」。隕石が落ちた日を祝う式典に、ジュニア宇宙科学賞の子供とその家族が招待される。そこに宇宙人が現れて……
 そんな「新作劇」を紹介するテレビ番組、という入れ子構造の映画だ。物語は幕ごとに区切られ、アステロイド・シティのポップな色合いの場面の合間に、4:3のモノクロでテレビの司会者による解説が挟まれたり、舞台裏が描かれたりする。この司会者がカラーの劇中場面に一瞬登場したりと、メタ的表現も駆使される。

 ウェス・アンダーソンの作風なのだろうが、登場人物が感情の起伏をあまり表情に出さない。それに加えて超ハイコンテクストな設定。この設定の背景にぴんとこなかった私のような観客は、感情移入を拒まれている気分になり、人物の挙動を淡々と追うだけになる。
 低難易度で楽しめる部分としては、劇中劇部分のポップでかわいい色合い、いつもの豪華なキャスト、実はジェフ・ゴールドブラムだったらしい(舞台裏の場面でジェフは出ていたっけ? 見落としたかもしれない。宇宙人の衣装を身に着けて演技したらしいが)宇宙人の愛嬌ある動き、何となくおしゃれでツウな映画を観たというふんわりした満足感などだろうか。
 私の隣の人は、いびきをかいて寝ていた。

 パンフレットを読んだところ、主な登場人物にはそれぞれ実在の劇作家や俳優などのモデルがいるようだ。ウィレム・デフォー演じる演技講師(実在のモデルあり)が俳優たちに演技を教える場面は、当時のアクターズ・スタジオでのメソッド演技の講義をイメージしているという。ミッジを演じたメルセデス(スカーレット・ヨハンソン)のモデルは主にマリリン・モンロー(これだけは何となく分かった)、オーギーを演じたジョーンズ(ジェイソン・シュワルツマン)のモデルはジェームズ・ディーン(全く分からなかった)。などなど。
 プロダクションノートを読んでも、「そうですか……」という感じである。

 例えが適切かどうか分からないが、私のこの解像度の低さは、外国人(日本マニアを除く)が「銀魂」を読んだ状態に近いのではないか、とふと思った。
 日本人は江戸時代に関しての歴史的事実の知識があり、元々イメージを持っているからこそ、そこからあえてずらした描写について本来の姿や言葉の表現とのギャップの面白さが直感的に分かるし、アレンジされた名前の登場人物についてもそのモデルについて、説明なしにすぐ連想できる。海外の人たちは、その辺は当然ピンとこないだろう(その辺抜きでも海外で受けていることもまた事実だが)。
 それがハイコンテクストということで、設定に対して解像度の低い環境の人間が作品の評価をすることの難しさを生む部分だ。
 ジェフ・ゴールドブラムは自らの役について「エイリアンはメタファーだ」と言っているが、あの町山智浩氏(持ち上げる意味ではありません)でさえ「何のメタファーかわからない」と降参状態である(いや、もしかしたらエイリアンの意味するところはアメリカ人でも分からないのかもしれないが)。

 ただ、淡々とシュールな展開のひとつのパーツとして描かれる身近な人間の死(本作ではオーギーの妻)、それを受け止めるオーギーたち家族の姿に妙なリアリティを感じる瞬間があった。残された家族の日常は続いていき、子供は無邪気に悲しみを乗り越える。
 アンダーソン監督は20代の時に両親を相次いで亡くしているそうだ。それを踏まえると、オーギーの妻を演じるはずだった女優(マーゴット・ロビー)の登場が何だか物悲しいファンタジーのようにも見える。
「時が全てを癒すなんてことはない、せいぜいバンドエイドさ」監督の実感がこもったオーギーの言葉には、何故か不思議と観ているこちらの心を慰めるような響きがあった。

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ニコ

3.5At the Cinema with Wes

2024年5月7日
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One reason to love Wes is that even if the film isn't necessarily a masterpiece one can at least enjoy the charming ditty of a colorful storybook tale with the dry humor acted by Wes' A-list friends. A tongue-in-cheek exploration of America's atom bomb nucleus, Wes keeps a simple story entertaining by giving equal time to its abundance of characters, as well as to the story's fictional writer.

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Dan Knighton

5.050年代アメリカの明るさと不安さ

2023年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1950年代、「古き良きアメリカ」がまだ残っていた頃の架空の物語だ。全てはこの監督らしくカリカチュアされ、舞台となる町「アステロイド・シティ」は殺風景ながらもなんだか楽しげな雰囲気がある。本作は劇中劇のスタイルを採用している。この街で展開されるのは筋書きのある演劇で、その舞台裏をテレビ番組で紹介している。一種のメタフィクションだが、このスタイルであることが重要だ。
アステロイド・シティは隕石が落ちてそのクレーターを観光名所としてできた街だという。宇宙への憧れと科学信仰の強かった同時代を背景するかのように、街では天才の子どもたちに化学賞を授与するセレモニーが開催されている。その授賞式の最中に宇宙人が来訪して、町は軍隊によって封鎖されてしまう。科学をたたえ、宇宙に憧れるが、漠然とした不安が漂う時代でもあったのだろう。明るい作風に不穏な空気が漂い始める。
そうした科学の明るいイメージと宇宙への憧れも恐怖も、そしてあるいは原爆開発競争を助長した冷戦に対する不安も、世間はテレビというイメージ発信装置を通じて得てきた。カリカチュアされた演劇空間をテレビで見せるという複雑な物語構造は、50年代の「古き良きアメリカ」も科学への未来イメージも宇宙も、何もかもテレビというメディア空間がもたらした幻想だったのではないかと言っているようだ。楽しい映画だが、鋭い見解を内包した作品で、近年のウェス・アンダーソン作品の中でも特に好きだ。

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杉本穂高

3.5理解しようとかいうおこがましい気持ちは捨てようと思う

2023年9月30日
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村山章

4.0またひとつ風変わりで愛おしい作品が生まれた

2023年8月31日
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そこは淡いパステルカラーで彩られたアメリカ南西部の町。何もない砂漠地帯に取り残されたかのようなこの地に、様々な目的に持った人々が集まってくる。冒頭で明かされることだが、本作は特殊な要素を持っている。それは一言でいうと「演劇」「舞台」という構造なのだけれど、思えばアンダーソン作品にはこういった表現手法が幾度となく顔を出す。加えて「天才マックス」では屁理屈な高校生役だったシュワルツマンが、あれからひと回りも二回りも歳を重ねたかのように3人の子供の父親役を演じ、さらに作中では各分野に秀でた天才少年少女が登場するなど、往年のアンダーソン作品のトレードマークが次々と登場。全体のテイストはとてもスローでいつもとだいぶ異なるものの、一方、中盤で起こる”ある出来事”は、胸の高揚とノスタルジーが最大値に振り切れて押し寄せてくるかのよう。こんな意表をついた掛け合わせを堪能できるのもアンダーソン作品ならではだ。

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牛津厚信

5.0色彩と映像が美しい、不思議な話

2025年3月22日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

幸せ

萌える

何の予備知識も無いまま、色彩と映像に惹かれて鑑賞。
監督の名前は有名だし、気になる作品が幾つもある。でも監督の作品を初めて観る。

モノクロで始まり、変わった趣向で話が進む。
映像は終始美しい。
時に絵画や写真を観ているようだし、シンメトリーの構図、アシンメトリーも美しい。
グリーンライトに照らされ、宇宙人との遭遇には驚いた。
スカーレット・ヨハンソンの美しさに見惚れた。
出演者が、何処か不思議な個性や魅力があり、衣装もよく似合っていた。
車もインテリアもセットも好きな感じで、観ていて楽しいのだけれど、話は不思議。
途中、睡魔に襲われそうになりながら鑑賞。

監督の魅力でしょうか。
他にも気になる作品に期待してしまう。
私は好きな映画でした。

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naomi

0.5おっぱいですら、もう観たくないと思うほどキツイ。

2025年3月16日
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鑑賞方法:VOD

難しい

観客に対して、話の本筋を敢えてわからせようとしない、作り手の姿勢。

そのくせ、メタファーがあちらこちらに散りばめられ、それを観客に見せつけてくる感じ。

加えて、対象美や色調美など、視覚的に注目をあつめようとする意図。

この3点を組み合わせた映像を浴びせられると、本当に気持ち悪くて、吐きそうになった。

手足を拘束され、目の前数十センチの所で、同性のオ◯ニーをまばたきもさせてもらえないまま、凝視しているような感覚に襲われる。

しかも相手は興奮もせず、声も出さず、無表情でひたすらオ◯ニーしてる感じ。

こんな拷問映画ってあるんだなあと。
世界は広い。
開始43分頃、貧相なおっぱいをしっかり見たあとに、
鑑賞脱落した。
人を選ぶ映画だなと思った。自分には無理だった。

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ソビエト蓮舫

3.0めちゃムズ

2025年3月15日
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鑑賞方法:VOD

難しかったなあ。いろいろと解説を読むとそうなんだーとは思うが、なかなかついていけなかった。元気があったらもう1回見よう。

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ouosou

3.0微妙

2025年3月1日
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物語のメインストーリーが劇中劇(つまり架空と明言されてる物語)なので、さながら夢オチのような話。
全く物語に入り込めなかった。

物語を多重構造にする必要はあったのか?と思う。

宇宙人の造形は良かったかな。

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フリードニヒ

2.5わからなかった

2025年2月7日
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鑑賞方法:VOD

知的

難しい

劇中劇に見せかけた映画なのかもしれないけど、
劇も、劇中劇にした意味も、いまいちよくわからなかった。
最後の方で、主人公らしき男が、現在の心境を語ってくれるんだけど、
それでやっと、そうだったの?そんな気持ちだったの?と知らされるくらいで。
何を見せられてるのか、終始よく分からなくて残念だった。

この映画。なぜかうちの犬がよくクギズケになっていて、特に宇宙人が登場するシーンは、
ソファに飛び乗ってガン見してて。映像ながらに宇宙人が不思議で怖かったんだろうなと思うと、それだけはちょっとおもしろかった。

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テツトモ

1.5【近年増え続けるセンスある風映画】

2024年12月26日
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鑑賞方法:VOD

訳が分からない。
そして、その訳の分からなさも、『ボーはおそれている』などの心地の善いものではなく、ただただ眠気に押勝つのに一苦労する映画でした。

他の映画でもよく見られる『暗喩』や『メッセージの示唆』等は必要ですし、映画に必要な大事な要素だと思います。
しかし、この映画はそれを極端にやりすぎている。『意味のわからない』『読み取り困難』な映画を作れば、センスのある先鋭的な思想を誇示できるとでも思ってるのでしょうか?
ピアノをそれっぽく不協和音で弾いてみたら、それっぽい一曲が出来た。みたいな感じですね。
中身は無いようにすら、思えます。

ですが、映像自体は物凄く好みでしたし、場面の一つ一つを切り取ってポスターにしても違和感のないような画面色で、素晴らしいカラーグレーディングだと感服致しました。

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芥

3.5分からん

2024年9月22日
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ままま

3.5インスタ映え映画NO1

2024年9月1日
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全体的にパステルカラーでかわいい。原宿映画
オシャレ〜この町行きて〜って思ってたらいきなり原爆が映ってびっくりした
捨て猫拾うヤンキーのようなギャップがあった

宇宙人が出てくる映画で一番好きかも
他の作品は宇宙人がやってきたら「ぎゃーー!!緊急事態宣言!大統領の生放送!」ってリアクションになるけど、アステロイドシティでは終始「..え?」みたいな顔をしている
宇宙人も「..あっ…」みたいな挙動をしている。宇宙人史上一番面白いリアクションをしてた
お前は来た側なのになんでそんな驚いてるんだよ
好きな宇宙人第一位👽

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真平

1.0さっぱり

2024年8月16日
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断片的には笑える所が多いのだけど、ストーリー的にはさっぱり分からない。何が言いたいのか?
グランドブタペストホテルと同じ監督作品でこれも楽しめなかったので、頭が良くて理解出来る人には面白いのだろう。
ブタペスト同様、監督独特の撮り方・言い回しだったし、映像は全てポスターになれる程美しい色調でした!

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見聞

4.0「ウェス・アンダーソン流「マーズ・アタック!」リメイク映画 」

2024年7月15日
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jin-inu

3.5メッセージの深さに気づきにくい

2024年5月25日
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隕石が落ちた小さい街に訪れた人たちの話。

隕石がどうとか宇宙人がどうとかは
正直どうでもよくて、
映画やドラマの意義を見出すような作品でした。

アステロイドシティという物語は
劇中劇であり、劇中劇の作家、俳優の葛藤も
描かれていました。

正直一度観ただけでは全てを感じることは
凡人の僕には難しかったですが、
ウェス監督のポップな映像、
独自のカメラワークを楽しめたので良かったです。

特に今作は砂漠地帯の街が舞台だったので
彼の色遣いがよく映えてました。

解説サイトを見て気づきましたが、
50年代映画の要素が盛りだくさんみたいです。
西部劇、宇宙戦争、マリリンモンローなど。
それらをおさえて改めて観ると
また新しい発見があるかもしれません。

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マスノブ

3.0感想メモ

2024年5月16日
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ヒラめ

1.0何でもいいけど

2024年5月15日
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鑑賞方法:映画館

モノクロシーンは必要?

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ムーラン

2.5感性で見る映画?

2024年5月14日
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鑑賞方法:VOD

同じ監督の「グランド・ブダペスト・ホテル」がすごく気に入ったので期待していた映画だが、あまり面白くはなかった。少なくとも「グランド...」は一応、普通に理解できるストーリーだったが、この映画は何を言っているのか全然わからない。

こういう不条理系の映画は、内容を分析したり意味づけをして楽しむ人か、あるいは、この不条理のセンスを感性で楽しめる人なら面白いのだろう。映像だけはよかった。

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iron

2.0ユニークな設定、豪華なキャスト、地味なシナリオ

2024年5月10日
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鑑賞方法:VOD

知的

難しい

寝られる

今夜(2024/05/10)観ました。

トム・ハンクスが好きなのでチェックしましたが、流し観が限界でした。先日観ようとして断念した『アド・アストラ』程ではありませんが、序盤から不可解な展開に食指が伸びません。

エイリアン侵略なら『マーズ・アタック』のが万倍面白いですし、ユニークな設定なら『バービー 』が遥かに優っています。
いずれにせよわざわざ映画館へ行って観に行く程の作品ではありません。

アマプラから観られるので試しに観てみてはいかがでしょう。ホンネはあまりお勧めはしません🙂‍↔️

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蜷川吝塀